岐路に立つ中医協の分科会
■ 「小さな病院でも生き生きと」 ─ 酒巻委員
[西岡清会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
「(新)機能評価係数」について議論を行いたいと思います。まず事務局(保険局医療課)からご説明をお願いします。
[保険局医療課・丸山慧主査]
お手元の資料「D─4」と「D─4の参考資料」をご覧ください。(中略)
▼ 資料に沿って説明。「調整係数」に置き換わる「新機能評価係数Ⅱ」の考え方として、▽全医療機関が目指すべき方向性 ▽地域で求められている機能 ▽包括支払額と投入資源量の乖離─の3本柱を挙げた。
このうち、全医療機関が目指すべき方向性に対応する係数として、▽医療の透明化(データ提出係数、導入済み) ▽効率化(効率性係数、同) ▽医療の標準化(今後検討) ▽医療の質の向上(同)を提示。また、社会的に地域で求められている機能として、▽高度・先進性(複雑性係数、導入済み) ▽総合性(カバー率係数、同) ▽重症者診療機能(地域医療係数、同) ▽4疾病等(今後検討) ▽5事業等(今後検討)─の5項目を挙げた。「包括支払額と投入資源量の乖離」については、今回導入された「救急医療係数」以外にも導入する方針を示した。
今日、残りのお時間でご議論いただきたいのは、平成24年度改定に向けて引き続き「調整係数」を置換していく作業をやっていかねばなりませんので、平成22年度改定の検討経過や具体的な改定項目を踏まえ、24年度改定に向けてどのような大方針で臨むべきか、その基本的な考え方と具体的項目の設定のあり方、「たたき台」となるものをご議論いただけないか。事務局からは以上でございます。
[西岡清会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
ありがとうございます。ただ今のご説明についてご意見を頂戴したいと思います。特に、DPCの「新たな機能評価係数」を考えていく上での大きな方針みたいなもの、考え方の基盤というものを少しご議論いただきたい。どうぞ、熊本委員。
[熊本一朗委員(鹿児島大医療情報管理学教授)]
(略)
▼ 「チーム医療が入っていない」と指摘。この議論がまた始まったか......。過去の議論で出た項目の一部を紹介しよう。
「医師、看護師、薬剤師等の人員配置による評価」「チーム医療の評価」「高齢患者数の割合による看護ケアの評価」「入院患者への精神科診療の対応の評価」「手術症例数または手術症例割合に応じた評価」「診療ガイドラインに沿った診療の割合による評価」「標準レジメンによるがん化学療法の割合による評価」「術後合併症の発生頻度による評価」「重症度・看護必要度による改善率」「医療安全と合併症予防の評価」「退院支援及び再入院の予防の評価」など、その他多数。こんなことを延々と議論してお金がもらえるなら、これほど......。
[保険局医療課・丸山慧主査]
これはあくまで例示でございます。先生方、(いろいろと好き勝手に提案したから?)40、50項目ぐらい検討いただきまして、(それらを)全部書くと、文字が2ポイントぐらいになってしまうと思います。
▼ まったくそのとおり。
そういった意味で、例示ということでございます。
[西岡清会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
齊藤委員、どうぞ。(中略)
▼ 中医協総会でドクターフィーの導入を求める意見があったことを引き合いに、内科のドクターフィーを検討するよう提案した。その後、救急医療などに話が進み、お気楽な座談会はしばらく続いた。保険局医療課の佐藤敏信課長と、迫井正深企画官は笑顔で話し中。委員の発言を聴いているかは不明。迫井企画官は丸山主査にほとんどお任せ状態で、のどかな午後の九段会館。
[酒巻哲夫委員(群馬大医療情報部教授)]
(資料)2ページの分類はとても分かりやすい。私も考えを整理するのにとても役に立つ。何か、これに4番目の軸があるのかをちょっと考えていまして......。
そのうちの1つというのは、「病院の規模別」と言っちゃうと語弊があるので、ある意味、病院の規模、スケールメリット、大きさでもっているメリットというものがあって......。
▼ だから、常勤医師をたっぷり配置している病院を評価せよという、いつもの主張だろうか。眠いな~と思っていたら、目が覚めるような一発が飛び出た。
いや、メリットをますます生かしてくださいという意味ではございません。あの......、小さな病院でも生き生きとして医療をやっていけるようなやり方、評価の方法はないのかなあ~という、(今までと)逆の提案です。
▼ このDPC評価分科会で、まさかこんな画期的な意見が出るとは思わなかった。小山信彌分科会長代理(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)はニヤニヤと笑いながら聴いている。ほかの委員はあまり......。
とても難しい提案で......。
果たしてそんな係数がつくれるか分かりませんけれども......。(厚労省案の)「社会的に(地域で)求められている機能」とは違うような気がしますし......。(中略)
▼ ここで開かれているのは、看護配置「7対1」「10対1」の急性期入院医療について検討する「DPC評価分科会」である。なお、酒巻委員はかつて、▽一入院における複数臓器にわたる手術(単回および複数回)を行う患者の数 ▽病床100床あたりの常勤医師数(内科系) ▽病床100床あたりの常勤医師数(外科系) ▽病床100床あたりの常勤当直医師数(内科系) ▽病床100床あたりの常勤当直医師数(外科系) ▽手術100件あたりの常勤麻酔医数─などを提案していた。路線変更だろうか。各委員の提案について興味がある方はこちらを参照。
【目次】
P2 → 中医協とDPC分科会の関係
P3 → 「小さな病院でも生き生きと」 ─ 酒巻委員
P4 → 「重み付けの議論を」 ─ 小山会長代理
P5 → 「長期的なDPCの制度設計を」 ─ 齊藤委員
P6 → 「係数間の重み付けは小委で」 ─ 厚労省
P7 → 「分科会が振り回される」 ─ 松田委員