岐路に立つ中医協の分科会
■ 「重み付けの議論を」 ─ 小山会長代理
[美原盤委員(財団法人美原記念病院院長)]
(前略)地域において総合性が求められる一方、専門性も求められる。では、専門病院って一体何なのか。
循環器の病院とがんの病院があって、とても大きな病院でないと専門病院として認可されないという状況があって、ここ(新機能評価係数)で総合性を認めるのであれば、片側で専門性も何らかの形で評価していただけるようなことができないか。
[小山信彌分科会長代理(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
実は意外な結論として、専門病院といわれている所がいわゆるそれほど「重症」の患者さんではなく、数でこなしてしまっていて、中小化した病院は全部大きな病院に送っているというのが、ちょっと見えてきていると思いません? (美原)先生。
[美原盤委員(財団法人美原記念病院院長)]
いや、うちはけっこう重症で......。
[小山信彌分科会長代理(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
いや、先生の所はね。
この今回の(新機能評価係数の)考え方というのは、非常に大変な思いをしている所はそれなりに評価しているけれども、軽症者を(たくさん受け入れて)数でこなしている病院にとっては、非常に、(今回の新機能評価係数Ⅱは)あまり良い評価にならなかったというのが結論だと思います。(中略)
「チーム医療」の議論はぜひ、これからも続けていただきたい。それからもう1つ問題なのは、7月からの「地域医療係数」、7つあるんですけれども、全部7つの分野がまったく(重みが)同じ。しかも評価が非常に低い。
ぜひ、重み付けの議論をこの(新機能評価係数Ⅱを検討する)中で、これからの方向性として、(中略)議論していただきたい。(4月改定の)この前はちょっと(議論する)時間がなくて、とりあえず全部くっつけた。
▼ 「新たな機能評価係数」として、当初は50項目以上が候補に上がっていたが35項目に整理され、その後の議論で最終的に合格したのはわずか6項目だった。しかも、中小病院を評価する頼みの綱とされた「地域医療指数」7項目のうち、2項目にがん関係の係数が入った。これら7項目について、同分科会で正式に承認されていない。答申前ギリギリに飛び込みで決まってしまったので、同分科会のこれまでの議論は何だったのかという声もある。
例えば、(がん登録が新機能評価係数Ⅱで評価されたが)「がん登録」していない県があるので、そこをどうするのか。ぜひ、(7項目間の)重み付けをしていただきたい。
▼ 嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)は昨年12月16日の中医協小委で、次のように主張した。
「がん治療に関して拠点病院を中心とした、というところは、連携ということは簡単にいうとがん登録をまず進めなきゃいけない。がん登録に一切お金出ていません、現在。がん登録したことに、我々もほとんどボランティアでがん登録をやっているという状態で。先ほど邉見先生おっしゃったように、均てん化するためには北海道から沖縄までのがんの患者さんが同じような等質な医療を受けるためにはまず情報がなきゃだめなんですね。その情報がやはり在宅までいかなきゃなりませんので、急性期から。そのときに医者がやろうがだれがやろうが、これについて診療報酬は1円もついてないんじゃないかと思うので、まずここはつけなきゃいけないところですね。情報がまずもとですから。それが1番の論点で。これは地域の診療所の連携ですけれども、連携をする場合に連携のもともとがないとできませんので、がん登録にきちっとした診療報酬をつけるということですね」
それからもう1つは、(新機能評価係数を選別する)この議論をずーーっと続けていくのか。去年12月に出たときには、28年度に(調整係数を)打ち切るような方向だったが、果たして本当に28年度まで必要なのかどうか。
去年と同じぐらいの「新しい機能評価係数」が(候補に)出るとすると、20とか30(項目)という、とんでもない機能係数になってしまうので、DPCが持っている本来の、単純化しようとしているのに、ますます複雑化になってしまう。そこら辺も、これからの議論の議題に入れていただきたい。よろしくお願いいたします。
【目次】
P2 → 中医協とDPC分科会の関係
P3 → 「小さな病院でも生き生きと」 ─ 酒巻委員
P4 → 「重み付けの議論を」 ─ 小山会長代理
P5 → 「長期的なDPCの制度設計を」 ─ 齊藤委員
P6 → 「係数間の重み付けは小委で」 ─ 厚労省
P7 → 「分科会が振り回される」 ─ 松田委員