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子宮頸がんワクチンの公費助成求め、23団体が合同で大臣に要望

100721tinzyou1.JPG 子宮頸がんワクチン接種への公費助成を求めて21日、毛色のかなり異なる23団体が合同で、長妻昭厚生労働大臣に要望書を提出した。5万2千筆あまりの署名も添えた。各団体の代表や付き添いが顔を揃えた結果、30人を超える大陳情団が大臣室を埋め尽くすことになり、熱気を目の当たりにした長妻大臣も「比較的前向きな答え」(同行の小宮山洋子代議士)をした。(川口恭)

 要望書を提出したのは50音順に、◆医療構想・千葉◆医療法人社団 ゆうあい会 ゆうあいクリニック◆財団法人日本対がん協会◆子宮頸がんから女性を守るクリック募金◆子宮頸がん征圧をめざす専門家会議(子宮頸がんゼロプロジェクト)◆子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成推進実行委員会◆市民のためのがん治療の会◆社団法人ティール&ホワイトリボンプロジェクト◆社団法人日本産科婦人科学会◆社団法人 日本病院会◆全国医学部長病院長会議◆全国骨髄バンク推進連絡協議会◆特定非営利活動法人 子宮頸がん啓発協会 Think Pearl◆特定非営利活動法人 子宮頸がんを考える市民の会◆特定非営利活動法人 日本婦人科腫瘍学会◆日本癌治療学会◆日本臨床腫瘍学会◆八王子内科クリニック◆らんきゅう 子宮がん・卵巣がん患者による患者のためのサポートグループ◆卵巣がん体験者の会スマイリー◆リボンムーブメント◆リレー・フォー・ライフin福岡実行委員会◆『I know』プロジェクト。

 それぞれの団体が2月から6月までに集めた52148人分の署名も併せて提出した。この日の大陳情団は、仁木博文代議士が紹介者となり、他にも小宮山洋子代議士、山崎摩耶代議士、梅村聡参院議員が同行した。
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 大臣室では、まず署名集めの発起人共同代表を務めた土屋了介・癌研究会顧問が「HPVワクチンは、WHOのポジションペーパーで各国のワクチンプログラムの中に入れるよう推奨されており、多くの国で公費による接種が実施されている。我が国でも昨年承認されたが、任意接種であり、全額自己負担にとどまっている。その金額は1人5万円になり、最も効果的であるとされる11歳から14歳の女児にとってはもちろん、その年頃のお子さんを持つ親御さんにとっても高額過ぎる。公費での運用が望まれる。大臣の強力な指導のもと実現していただきたいと要望する」と述べた後、医療構想千葉の竜崇正代表、今村定臣・日本医師会常任理事、市民のためのがん治療の会の會田昭一郎代表、日本産科婦人科学会の小西郁生常任理事、やはり発起人共同代表の女優の仁科亜季子さんが一言ずつ、それぞれの立場から公費助成の必要性を訴えた。特に會田代表は、定期接種化が無理ならば、保険適用を検討すべきと提言した。

 これに対して長妻大臣は「予防接種部会でワクチンごとに小委員会を設置して検討することになっている。財政当局と話をしなければならないことではあるが、重要な問題と認識している。他にもHibワクチンの問題などあり、そうした問題も含めて予防接種部会で検討してもらう。また、国内のワクチン製造体制も5カ年計画で強化している。このワクチンも外国製で、もちろんよいワクチンは輸入すればよいのだが、国内で生産できるに越したことはない」などと答えた。

 後刻の会見で、この時の大臣の様子を小宮山代議士は「珍しく比較的前向きだった」と評したが、具体的な判断は予防接種部会に丸投げしたままとも言える。予防接種部会を主管している足立信也大臣政務官は同席していなかったし、予防接種部会に任せると、HPVワクチンやHibワクチンの定期接種化が後回しにされる危険性があることは、以前も指摘した通りだ。

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