がん研究費には仕分けが必要だ 土屋了介・癌研顧問
国立がんセンターが独立行政法人され、嘉山孝正理事長によって猛スピードで改革が行われているようです。一方その蔭で、何やら一部の厚生労働官僚による不穏な動きも始まっているとのこと。前国立がんセンター中央病院院長の土屋了介・癌研究会顧問に聴きました。(聴き手・川口恭)
(このインタビューは4月30日に行われましたが、6月8日の出来事を受けて加筆されました)
国立がんセンターから癌研に来て1カ月経ち、癌研のこともある程度理解できました。両者を見比べることもできますし、また、がんセンターだけから全国のがん診療を眺めているのとは違った見方もできるようになってきたと思います。国立がんセンター中央病院やがんセンター自体のガバナンスについては、既に論点がほとんど出尽くしていますし、新理事長に就任した嘉山孝正先生にお任せして、そこには口を挟まない方がよいと認識しています。
ただ、嘉山先生が、病院と研究所の組織替えにテンテコ舞いで、日本全体のがん医療の司令塔としての役割にまで手が回っていないというのが、傍で見てとれます。嘉山先生の手が回らないのをよいことに、厚生労働省のがん対策推進室長が乱暴にもがん研究費配分を仕切ろうとしているとの噂も聞こえてくるようになりました。早目に警鐘を鳴らしておきたいと思います。