村重直子の眼18 古川勝久・安全保障/危機管理専門家(下)
村重
「でも、医療という切り口になると病院とか大学病院を所管しているのは厚労省と文科省なんですよ。だから役人は黙ってないでしょうし、医療現場の人たちは、お金も処分もすべての許認可を握られているので、どうしてもそこを通さないと動けないと言ったり......」
古川
「と、思ってるということでしょう」
村重
「いや、そんな簡単ではなくて、なんで俺たちに話を通さないんだみたいな話が、厚労省や文科省から来たら、それに従わざるを得なくなってしまうわけですよ。すべてを握られている医療関係者にとっては、『江戸の敵を長崎で討つ』みたいなことを役人にされる世界なのですから、どんなに理不尽で合理性がなくても従わざるを得ないのです。だから厚労省と文科省は入ってくるな、という認識を他の分野の方々も共有していただかないと困る訳ですね、現場としては」
古川
「ただ、何回も申し上げますけれど、皆さんが持っている情報というのは、被災者の方々の生活を支援していくうえで非常にクリティカルなものがあるわけですよ」
村重
「もちろん、そうでしょうね」
古川
「どこの避難所にどれぐらいの水や食料が必要だという話は、別に医療の方々が必ずしも厚労省経由で上げなければいけないような事柄では全然ないわけですね」