予防接種法改正 格好つけても及び腰 透ける厚労省の姿勢
3月20日発行の4月号に掲載の記事ですが、文中に出てくる『誤答弁騒動』が本当に『誤答弁』として処理されてしまったようなので、暗澹たる気持ちで先行公開します。
専門家の意見と厚労省案をキーグラフ®比較
予防接種法が、専門家たちの2年以上の議論を経て、改正されようとしています。厚生労働省の法改正案が、専門家たちの議論を正しく反映しているか、大澤幸生・東京大学工学系大学院教授にキーグラフ®解析(*)してもらいました。極めて興味深い差異が見つかりました。
キーグラフ®解析 文章を構成する単語の登場頻度、互いの繋がりの強さや数を計算し、重要な役割を果たしている単語を分類・抽出し、結果をネットワーク図として視覚化することで、文章の力点がどこに置かれているか浮かび上がらせるものです。黒点で示されるのは文中に使われる頻度の高い単語です。赤点で示されるのは、出現頻度は低いものの重要な働きをしている単語です。線で結ばれている単語と単語は、同じ文中に登場することが多いもの同士です。▽今回は、予防接種部会で昨年7月に取りまとめられた『これまでの主な議論の中間的な状況の整理等』と、その後9月に厚労省から示された『予防接種制度の見直しの方向性についての検討案』を同じ条件で可視化してもらいました。それを編集部で解釈しました。
2年前の本誌vol.54で『20年を取り戻せ ワクチン医療再建』という緊急特集を掲載し、以後も断続的に、ガラパゴス的に遅れてしまった日本の予防接種の取り扱いを世界標準へ揃えるべきだ、という趣旨の記事を掲載してきました。
これについては、鳩山内閣の厚労政務官だった足立信也氏も問題意識を強く持っていたことから、そのリーダーシップで『厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会』(以後、予防接種部会と表記します)が09年末に設置され、予防接種法の改正が諮られることになりました。ことし2月までに、ちょうど20回の議論が行われています。そして、いよいよ今年の国会に改正案が提出されるというところまで来ました。現在の小宮山洋子厚労相も、大臣就任前から、この問題には熱心でした。