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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

がん③ 緩和ケア特集の補足

6月号の特集は、監修の向山雄人医師が熱心に手を入れて下さり、誌面に収まり切らないものもありました。誌面で「詳しくはwebで」となっているものを、ここに掲載します。

P3コラムの続き

 この臨床研究は、米国ハーバード大学の付属病院の一つである、マサチューセッツ総合病院で行われました。
 方法は、転移性非小細胞肺がんに罹患した外来通院治療患者を、「腫瘍内科医が抗がん剤治療だけを外来で行う群」と、「腫瘍内科医による抗がん剤治療に加えて、緩和ケア専門医、緩和ケア専門看護師などから構成されたチームによる緩和ケアを早期から並行して外来で行う群」の2群に無作為に振り分けて治療を行い、両群間の症状、QOL、そして生存期間を比較しました。
 結果は。後者の早期からの緩和ケア併用群で、抑うつや不安などの精神症状の発現が有意に少なく、QOLの点でも有意に優っていました。
 ここまでは既存の研究でも同様な結果が多数、報告されていましたが、驚くべきことに、今回の研究では生存期間に関しても早期からの緩和ケア併用群で有意な延命効果が認められました。
 現在、この結果の追試が各国の複数の施設で開始されています。この研究結果が、日常の抗がん剤治療、さらには新薬の治験や比較試験のデザインにおよぼす影響は非常に大きいと言えましょう。
 つまり第1点として、全国の病院で同じプロトコールの抗がん剤治療を行っても緩和ケアの質が高い施設での治療成績が良くなること、第2点として、新規抗がん剤の治験や複数の治療法の比較臨床試験の結果に緩和ケアの介入や質の問題が影響すること、第3点として、転移性固形がん治療で、最初に開始するファーストラインの標準的化学療法が効かなくなった場合、通常は順を追って、セカンドライン、さらにはサードラインへと移行して抗腫瘍治療を継続して行きますが、緩和ケア外来、緩和ケアチーム、緩和ケア病棟、在宅緩和ケアの密な連携の下に、質の高い緩和ケアを提供できる環境下にある場合は、抗がん剤治療を受けないで症状緩和に徹することが、高いQOLを維持しつつ、がんと共生して延命できることも今回の研究結果から示唆されるわけです。

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