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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

がん⑫ 大事な決断 支える情報

78-1-1.JPG1年間にわたり、がん特集をお届けしてきました。節目の今回は、がんと付き合うための情報をどう集めるか考えてみたいと思います。

監修/瀧澤憲 がん研有明病院副院長

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」と、孫子は情報の大切さを説きました。がんと付き合う場合にも当てはまります。十分な情報を得ることで、医師からの一方的な提案にただ従うだけでなく、きちんと納得した上で自分なりの決意や覚悟が出てくるはずです。しかし、現実はそう簡単にいきません。
 氾濫する情報の中から必要なものを選び取るには努力が必要で、患者・家族にできるとは限りませんし、できたとしても受け止めきれるとは限らないからです。

告知のショック

 患者・家族の気力や判断能力を最初に奪うのが、告知のショックです。
 告知は本人に行われます。早期発見・治療では根治も珍しくありませんが、進行して見つかった場合には「命に関わる病」。簡単に受け止められるものではありません。ただ、多くの人が時間の経過と共に受け容れていくことも分かって来ました。
 人が、自分の最期をどう受け入れていくのかについて、エリザベス・キューブラー=ロスという精神科医が発表した考え方があります。
①否認
「自分の最期が近づきつつあるなど嘘ではないか」と疑う段階。
②怒り
「なぜ自分が」という怒りを周囲に向ける段階。
③取引
何とか避けられないか、何かにすがりたい心境の段階。
④抑うつ
何もできなくなる段階。
⑤受容
最終的に、自分の最期が近いことを受け容れる段階。

まずは急がず

 もちろん、すべての患者がこうした段階を経るわけではありませんが、多くはそういうものと分かっていれば、自分を少し客観視できるようになるのではないでしょうか。
 時間がかかっても現実を受け容れた時には、「これから自分がいかに生き、いかに最期を迎えるか」という問題とも向き合うことができるようになります。悔いなき決断に適した状態になるわけです。
 進行がんというのは、重い事実です。だからこそ、一人で抱え込むことはないのです。急ぐこともありません。家族や主治医、看護師たちに話を聞いてもらったり、分からないことは質問して、心のもやもやをどんどん解消してください。精神科の医師や臨床心理士などの専門家を紹介してもらうこともできます。ゆっくり、ゆったり、自分の体や心と向き合ってみてください。

家族にできるケア  気負って「何かしてあげる」必要はありません。以下のように心がけてみてください。 ●患者の気持ちを理解・共有する。まずは黙って患者の話に耳を傾けてください。自分の意見は後回しに。 ●率直に語り合う。患者の意思を尊重するためにも、本人が避けない限り、病気や死の話もタブー視しないで。 ●励まし過ぎない。患者は十分頑張っています。本人がつらそうなら、励ますより「そうだね、つらいよね」と寄り添って。 ●これまで通りに接する。病気のため特別扱いされると、かえって孤独を感じる患者も。患者ができること・できないことを把握した上で、家族はサポート役に。 ●とにかく温かく見守る。患者の気持ちや行動が、家族には理解しにくいこともあります。例えば、がんでないように振舞ったり、子供返りをしたり、家族に対していらだった態度を見せたり......。それらは皆、ストレスへの対処法なのです。
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