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がんの分子標的① 分子標的とは一体何なのか

94-2-1.jpgがんの薬物療法に分子標的薬は欠かせなくなりました。しかし分子標的薬の言葉は知っていても、実はどういうものかよく分からない、という人がほとんどではありませんか? 基礎から薬までの全体像をシリーズでお伝えしていきます。

94-2.1.jpg 分子標的薬は、その名の通り分子標的を狙う薬です。そして分子標的とは、がん細胞に特異的あるいは過剰に発現し、がんの成長に関与している分子レベルの現象を指します。

 1980~1990年代にがんの分子生物学が進歩し、がんが異常遺伝子を背景とするタンパク質異常によって説明できるようになりました。その働きを制御することで、がん細胞の増殖や転移を抑えようというアプローチが生まれたのです。

 こうして2000年前後に登場し始めた分子標的薬は、その多くについて、従来の細胞毒系の抗がん剤では手も足も出なかったがんに対する劇的な効果が報告されています。

 例えば、骨髄移植以外に道がなかった慢性骨髄性白血病の患者も、グリベッグ(ゲフェイニチブ)の錠剤を飲むだけで生き続けられるようになりました。化学療法の恩恵があまりなかった腎細胞がんは、ネクサバール(ソラフェニブ)などによって治療成績が大きく改善しています。既存の抗がん剤が耐性によって効かなくなった多発性骨髄腫の患者も、4割はベルケイド(ボルテゾミブ)で病状を安定させることができるようになりました。
94がん表.jpg
 一方で、がん細胞だけにある分子標的を狙うのだから正常細胞は攻撃しないはず、副作用もほとんどないはずと当初は期待されましたが、実際には予想していなかった重篤な副作用が現れた例もあります。

 要するに、「分子標的」についても、まだまだ人知の及ばない領域が広がっていて、研究途上にあるということです。

 とはいえ、今後も次々と新しい分子標的薬が登場してくると予想され、そして薬物療法の中心になっていくはずです。

 現在までに、どのような分子標的が発見されているのか、まずは大きな分類から、がん研有明病院総合診療科の高橋俊二部長に概説していただきました。

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