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あなたの悩みにお答えします⑦

リハビリが大事なことは分かるんですが、なかなか長続きしません。どうしたら良いでしょうか?
答える人 瀧 泰元さん(30代男性 脳出血、てんかん)
聞き書き 武田飛呂城・NPO法人日本慢性疾患セルフマネジメント協会事務局長
 リハビリを一人で続けていくことは大変です。信頼できる専門家や、仲間を見つけることも大切かもしれません。

 私は26歳の時、北海道でスキー中に脳出血を起こしました。特に転んだわけでもないのですが、滑っている最中に突然、視界が暗くなったり、見えるようになったりした後、右半身の力が抜けていき、自分で腰を下ろして止まった後に意識がなくなりました。病院に救急搬送され、手術を受けました。

 手術が終わって落ち着いたらすぐリハビリが始まりました。最初は右半身が全く動かず、座ることもできませんでした。関節を慣らし、身体を支えてもらい、座る姿勢を保つリハビリから始めました。また、脳の機能にも障害を負っていることが分かりました。

 それまで普通に生活していたのに、突然、大きな障害を負ってしまって、生活は激変しました。しかも、脳の機能の障害もあったので、物事を頭の中で整理するのが難しく、時間もかかりました。家族や友人から障害ゆえにできないことを指摘されても言い返せず、ただ我慢することもありました。また、そうした感情を人に説明することも難しく、つらい思いもしました。人とコミュニケーションを取ることが億劫(おっくう)になり、疲れやすくてすぐ寝てしまう日もたくさんありました。

 しかし、北海道の病院から東京の病院に転院して来て、とても良い理学療法士の先生と出会いました。「頑張っていれば結果はついてくるから」と言って、リハビリについて理論的な説明をした上で、考えるよりも動くことが大切と、メニューを組んでくれました。

 リハビリが嫌になって意欲が下がってきた時も、続けていくとその先生の言う通りだと思うことばかりで、先生の組んだリハビリメニューを信じられるようになりました。

 そこから、正しい姿勢で長く歩きたい、仕事に早く復帰したいという思いで、入院しながらのリハビリに取り組み続けました。その中で同年代のリハビリ仲間もでき、リハビリが終わると一緒に集まって他愛もない話をするなど、楽しみも見つけられました。

 入院してのリハビリは、北海道の病院から数えて6カ月ほど続きました。徐々に機能も回復し、杖歩行ができるようになった頃、退院しました。今はそれから12年以上が経ち、距離の制限はあるものの杖なしで歩けるようになり、週に1回リハビリに通いながら仕事もして、日常生活に復帰しています。

 身体も完全に戻ったわけではないですが、とにかく体力をつけて長く歩けるようになりたいと思って頑張った結果が出てきました。

 振り返ってみると、こうしてリハビリを続けてこられたのは、まずは明確な目標があったことの他に、信頼できる専門家がいたことが大きいと思います。私にとっては、それが理学療法士の先生で、自分の病状が変わってきた時にはすぐに課題を聞き、我流ではなく、専門的なアドバイスを受けながら続けられたことが良かったのだと思います。

 また、アドバイス通りにリハビリに取り組む中で、自分の体力の限界や回復のスピードなども分かってきて、自分で調整することと、専門家に確認してもらうことの大切さを知りました。それを今までの体験の中で身に着けてこれたのではないかと思います。

 そして、きつい時にはリハビリ仲間がいることが大きな支えになりました。何ごとも一人で続けるのは大変です。同じような体験や目的を持つ仲間を持つことも大切だと実感しています。
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