インフルエンザ予防接種 ~病院職員編~

投稿者: 真木魔愛 | 投稿日時: 2006年11月10日 23:17

インフルエンザ予防接種のシーズンです。

当然のことながら、病院職員は全員予防接種をします。

3年前の冬、インフルエンザが猛威を振るい、病院施設内で発症してしまいました。
もちろん、予防接種はしていましたが、介護老人保健施設(老健)の入所者から感染しました。
100人近い入所者のうち、結局8人ぐらいかかりました。

これは大変なことでした。

日曜日の夜でしたが、
感染症対策委員会の委員長である血液内科の先生はじめ、
看護部長や、老健の施設長、次長、看護師長、医事課長、事務長と私も院長室に緊急呼び出し。

感染者を病院に入院させるべきなのですが、
隔離できる個室病室に空きがありません。
感染者には、病院でできうる治療をして、
早急に自宅に戻ってもらうしか方法がありません。

しかし、


戻る家がない人がいます。
引き取り手がいない人がいます。
遠方の家族に連絡をとっても、
病気のときこそ面倒をみてもらわねばと怒り出します。(当然ですね)


病院としては、老健でこれ以上感染者を増やすわけにはいかないのです。
万が一、死亡者など出てしまったときには、マスコミは大騒ぎです。

結局、院長や施設長、看護部長が一人一人の親族と話し合い、
自宅で介護する人が不在の場合は、
訪問看護のサービスも提供する条件で帰っていただきました。
他の何百人の患者を守るためには、こうする以外方法がありませんでした。

それでも帰る場所のない方に、院内で隔離できる個室を用意して入院してもらいました。

私はインフルエンザが、こんなに大騒ぎになるとは思ってもみませんでした。

翌年からは、早めに面会制限をし、
入院時の感染症のチェックも厳しくして
インフルエンザ予防に全力を尽くしました。


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コメント

>病気のときこそ面倒をみてもらわねばと怒り出します。(当然ですね)

患者さんからすれば当然ですよね。

ただ、医療には個々に対するサービスと
全体に対する危機管理の2正面があり
後者が優先されるため
こういう対応になるのだ
つまり医療は純粋なサービス業ではない
と、昨日勉強したばかりでした。

現場にいたとき、次から次に発生する想定外の事態に動揺し、振り回されるばかりで、リスクマネジメントと患者満足は同時に成り立たないものであることを理解していませんでした。

的確に指摘されるので、唸ってしまいました。
私は少なくとも現場にいて、あんなに勉強できる材料が溢れていたのに、一体何を学んでいたのかと・・

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