私が書店営業している理由

投稿者: 熊田梨恵 | 投稿日時: 2010年06月06日 16:16

 昨日、私が唐突に「書店営業」などと書いて営業日記を載せ始めたため、何人かの方から「大丈夫?」「よく分からないけど、あまり無理しない方がいいんじゃない?」といったご連絡を頂戴してしまいました。
 ご心配をおかけしていましたら、申し訳ございません。著者の私がなぜ書店営業などしているのかと、疑問に思った方もいらっしゃると思いますので、今日はその理由をご説明します。

 (一気に1週間分の営業日記を書いたためにちょっとギュウギュウな感じもしておりますが、基本的に楽しみながらやっております。自分の書籍が平積みされているのを見るのは、やはりとても嬉しいものです)
 

 皆さんは書籍がどのような仕組みで出版社から皆さんのお手元にまで届くか、ご存じですか?
 実際に店舗を構えている書店も、アマゾンのようなバーチャル書店も、通常は『取次』という会社を通じて本を仕入れています。『取次』は一般の商品で言うところの『問屋』に似ていますが、他の業界とは商慣行がかなり異なるせいか、書籍問屋とは言いません。

 業界独特の商慣行として代表的なのが「委託」と「パターン配本」という方式です。
 業界全体で年間7万点以上の書籍が出版されています。それだけ膨大だと、書店の側で一点一点吟味して仕入れるか仕入れないかを決めるようなことは現実的ではありません。このため書店側から特に注文がない限り、取次の側で、A書店は医学書が得意だから10冊、B書店はあまり置いていないから5冊、C書店は規模が小さいからなしといったように書店の性格や大きさを考慮のうえ送りつけます。これがパターン配本です。よく「早くも何万部」とかいう書籍の広告を見ると思いますが、あれは刷った部数(>取次に渡した部数>書店に配本された数)であって、実際に売れた部数とは異なります。

 書店に届いた書籍は、売り場担当者が中身を見て平積みにしたり棚に置いたり、小さい書籍広告(ポップ広告)を付けたり、顧客の目に触れやすいように置いていきます。書店側が棚に並べるも並べないも自由で、実際にお客さんに売れた分だけ取次にお金を払えばよいということになっており、書籍の定価と取次への支払いの差額が書店の取り分になります。これが「委託」です。書店側でこの本は売れると判断すれば、取次に追加注文します。一方で、もう売れないと判断されると取次に返品し、取次も売れないと判断すると、出版社に戻ってきてしまいます。つまり、書店は場所を提供する代わりに、仕入れた書籍が売れなくても損害を被ることはない仕組みになっています。言葉を換えると、書店は売り場であると同時に、広告の場でもあるわけです。平積みされたり、ポップ広告がついていたりするに越したことはありません。
 ただし、書店側が金銭負担なしに返品できるという「委託」制度のもと、一方であまりにも新刊が多いため、よほどの話題作でもない限り、書棚に並べてもらえるのは1週間程度ということが珍しくありません。売り場担当者の印象に残って書棚に長く置いてもらうために、書店営業が必要になるわけです。アマゾンの場合、売り場という物理的な制限がないために数冊は持ち続けてくれるという『ロングテール』の話は皆さんも聞いたことあるのではないでしょうか。

 さて、書籍流通の一般論を解説してきましたが、実は『取次』には、もう1つの顔があります。ただし、弱小新興のロハスメディアの場合、その顔を見せてもらうことができません。
 この辺のお話は、また今度。


 というわけで、私が発売日周辺から書店に営業をしていたわけが、少しお分かりになっていただけたかなと思います。皆様もご存じのように、書店には膨大の数の、多様な種類の書籍があります。「救児の人々」のすぐ近くに、病院経営で生き残るノウハウを綴った医療ビジネス本や、名医ランキング本も並んでいます。そんな中でどうやったら一般の方に手に取ってもらえるかな、と考えると本当に難しいと痛感します。

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夏井睦先生のHPで取り上げてもらいましたので、また少し広まると思います
(http://www.wound-treatment.jp/title_new.htmの6月9日付)

こんにちは。自分のmixiの日記のほうで全体に公開でこの本の紹介をさせていただきました。
またツイッターのほうでも感想を書いたりしながら、紹介を続けていきたいと思っています。

僻地外科医様

いつもご支援、本当にありがとうございます。
HPも拝見しまして、とても有り難く思いました。

今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。


hasu0621様

ご紹介いただきまして、ありがとうございます。
本当に一人でも多くの方にお読みいただければと思っております。

私自身も、地道に広報活動していこうと思っております。
どうぞ、今後ともよろしくお願い申し上げます。

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