練馬と志木と館山と

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2012年01月26日 12:42

本日、MRICから『東京都北西部と埼玉県南西部の小児医療を守るための小児科医共同声明』なるものが送られてきました。一義的には地域住民がどう考えて対応するかの問題で、外部の人間がとやかく言うべきではないとも思いますが、いろいろ考えさせられました。

声明文では、3月いっぱいで、日大光が丘病院の撤退と志木市民病院の小児科撤退という2つの事象が起こると予告されています。日大光が丘病院の方は随分と話題になっている話ですが、志木市民病院の問題は知りませんでした。

で、報道から「事実関係」を追いかけてみると
2009年度に志木市民病院の整形外科常勤医が退職、病院の収益が悪化(朝日新聞1月17日付)。志木市は人口約7万人。病院は約70万人の周辺自治体住民も受け入れており、赤字額は年間1億6000万円(毎日新聞1月17日付
     ↓
2011年8月、志木市が、定年となる(読売新聞1月17日付)院長兼小児科部長の清水久志医師との契約を3月で打ち切ると通告。残る同僚2人も退職を決意。(毎日新聞1月17日付)志木市は後任の小児科医を募集してきたが集められず(読売新聞1月17日付)。
     ↓
2011年10~11月にかけて志木市の長沼明市長が、その住民を志木市民病院で受け入れてきた周辺5市1町に対して年間1500万円ずつの財政支援を要請。3市は12月に、残る2市1町も1月に受諾。

1月16日 長沼・志木市長が4月からの小児科入院休止を発表。
1月17日 長沼・志木市長が3医師に非常勤勤務を依頼するも断られる(毎日新聞1月20日付
       上田清司・埼玉県知事が定例会見で「県立小児医療センターからの医師派遣という形になると思う」と県の支援を匂わせる発言(産経新聞1月24日付
1月18日 長沼・志木市長が上田知事に常勤医派遣を依頼。
1月19日 周辺5市1町が志木市宛に入院継続の要望書を提出。
1月24日 周辺5市1町の首長が上田知事に医師派遣の要望書を提出するも、「常勤医の派遣は難しい」との考えを示される(東京新聞1月25日付)。

ということのようです。

分かったような気になります。でも、これらの記事の中で当たり前のように書かれているけれども、一般市民の常識だと疑問に思わなければならないであろうこととして
1)ニーズがあって繁盛していたのに、なぜ志木市民病院は赤字になっていたのだろう
2)付随して、なぜ整形外科医が退職すると病院の収益が悪化するのだろう
3)埼玉県知事は、なぜ言を翻したのだろう
といったことがあります。

そこまで突き詰めると、全く別の様相が見えてくるのでないかと思いますし、そこまで突き詰めたうえで住民を巻き込んで議論しないと根本的解決はなさそうな気がします。

そもそも
4)自治体の役割って何だろう。救急医療体制を整備するのは誰の役割なんだろう。
ということも考える必要があるでしょう。結局は、受益者が自ら費用負担するか否かという問題に収斂します。これらは日大光が丘病院の問題とも通じるはずです。

なぜ、こんな考え方をするようになったか。実は22日に館山市で開かれた『どうなる どうする 安房のこと』という安房地域医療センター主催のシンポジウムにお邪魔したばかりで、1200席が埋まって立ち見が出ていたので大変に驚いたということと、堤晴彦・埼玉医科大高度救命救急センター長による埼玉県の医療供給体制の問題点と処方箋に関する講演を聴いたということが影響しています。

練馬にしても志木にしても、住民の意思が見えないという意味で、館山のシンポジウムの模様をご紹介する意義がありそうなので、後日、時間を見つけて少し書くことにします。

<<前の記事:梅村聡・参院議員にインタビューしました    予防接種部会を傍聴 あくまで感想ですが。:次の記事>>

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://lohasmedical.jp/mt/trackback/2986

コメント

埼玉県中部在住の二児の親をしております。
今回の光が丘病院、志木市民病院小児科撤退?のニュースはしばらく前から各種BLOGで情報集めており、隣接区域在住者としてはらはらしております。
住民の意思が見えない、とのことですが、この地域は子育て中の親が多い地域ではありますが、小児科で実際に入院までを経験するまでは、あまり入院できる病院の有無は気にしていないのだろうと思います。
むしろ、自治体ごとの子供医療費の無料化に目が行っているものと思います。これは、自分自身の自省も含めてです。
当方も、実際に入院せざるを得なくなるまで、どこに小児科の入院可能な病院があるかなんて、まったく考えたこともなかったのが実態です。当時は別の地域におり、幸いすぐ近くの病院に入院することができましたが、現在地にうつってから、小児外科手術がいるかも?という事態に直面(すでに寛解しています)した際、同一市町村にはなく、三次救急を兼ねた埼玉医大の川越・毛呂山くらいしかなさそうなことがわかり、愕然とした記憶がございます。

今回は安房のシンポとのことですが、堤氏の講演、非常に気になります。ご多忙の折と存じますが、ご紹介をお待ちしております。

コメントを投稿


上の画像に表示されているセキュリティコード(6桁の半角数字)を入力してください。