失敗してしまった初回授業

投稿者: 川口利 | 投稿日時: 2012年06月14日 21:11

明後日、6月16日(土)に小金井市立小金井第一中学校で今年度最初の「いのちの授業~がんを知る」を実施します。学校側では、道徳授業としての扱いになり、東京都が実施している「道徳授業地区公開講座」の一環という位置づけになります。「道徳授業地区公開講座」とは何なのか? ウェブサイトで調べてみたら、今年度の実施について次のように書いてありました。

1 趣旨
(1) 意見交換を通して、家庭・学校・地域社会が一体となった道徳教育を推進する。
(2) 道徳の授業の質を高め、道徳の時間の活性化を図る。
(3) 道徳の授業を公開することにより、開かれた学校教育を推進する。

2 主催
  東京都教育委員会と区市町村教育委員会との共催

3 期間
  平成24年4月から平成25年3月まで

4 実施校
  区市町村立小学校、中学校及び中等教育学校(全校) 1,925校
  区立特別支援学校 3校
  都立中学校、中等教育学校(全校) 10校
  都立特別支援学校 25校

5 対象者
  保護者、教員、都民

6 内容
(1) 授業参観
(2) 参観者による意見交換会

7 その他
  詳細は、実施校や区市町村教育委員会へ直接お問い合わせください。

(参照:東京都教育委員会 平成24年度報道発表資料
    平成24年度 道徳授業地区公開講座の開催について(5月28日)
    http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr120528.htm)

昨年度「いのちの授業~がんを知る」を実施した4校では、2校がやはり「道徳授業地区公開講座」に位置づけました。実は、このことで苦い経験をすることになり、しかしながら、それが昨年度の初回実施分であったため、その後かなり軌道修正をすることができたのです。

昨年度の初回は、平成22年11月に実施したパイロット版「いのちの授業」に基づき実施計画を立てました。ただし、少し違う点は、「がん」に関する基礎知識を扱うようにしたことです。

事前に校長先生と打ち合わせをする中で、パイロット版の授業時間では長過ぎるので、全体60~70分程度に収めてほしい、という要望がありました。そんな関係もあり、以下のような構成とし、全体で65分授業になるよう立案しました。

導入:「いのち」という言葉から感じることは?(5分)
起:なぜ「がん」を取り上げるのか?(10分)
承:「がん」は身近なもの?(10分)
転:「がん」を経験して(20分)
結:「がん」になってしまったら? {まとめを含む}(20分)

ところが、この日はスタートからつまずいてしまいます。私の進行も悪く、承の部分が終了した時点で既に5分程度オーバーしていました。さらに、転の部分が終了すると、15分以上オーバーしており、最後の「まとめ」を急いで終わらせたものの、それまでのタイムオーバーを縮めることはできず、生徒さんたちの顔には明らかに疲労の色が。

ここですべてが終了していれば、まだ救われたのかもしれませんが、その後に「意見交換会」というのが残っていました。打ち合わせ時に校長先生から、「道徳授業地区公開講座では、終了後に意見交換会をやることになっているので、よろしく」と言われ、生徒さんからでも保護者からでも質問や意見が出されれば恰好がつくのでは、と安易に考えてしまったことが大きな間違いでした。

結局手を挙げたのは保護者だけで、「自分の友人が「がん」で色々と悩んでいるがどうしたらよいか」など、おおよそ生徒さんたちには興味のないであろう質問が2~3出されました。出された以上答えないわけにはいきませんから、医師側講師と患者側講師に質問を振り分け、答えていただきました。

全体が終了したのは、開始から100分も経ってからになってしまったのです。

さて、この「いのちの授業」の大きな特徴の一つとして、事後のアンケート調査・分析があります。生徒さんは、教室に戻ってから、私たちの実施した授業について、あらかじめ私たちが用意したアンケート用紙に、自分の感想や意見を記入することになっています。

どのような内容のアンケートであるか、質問項目を以下に記載してみます。

1 今日の授業のように学校の外から先生を呼んで授業を受けることを
  どう思いましたか?
 (1)とてもよかった (2)よかった (3)どちらとも言えない (4)あまりよくなかった (5)よくなかった

2 1番の答えに対する理由を書いてください。

3 講師の先生がお医者さんと患者さんの2人いたことはどうでしたか?
 (1)とてもよかった (2)よかった (3)どちらとも言えない (4)あまりよくなかった (5)よくなかった

4 3番の答えに対する理由を書いてください。

5 講師の先生の話し方はどうでしたか?
 (1)とてもわかりやすかった (2)わかりやすかった (3)どちらとも言えない (4)少しわかりにくかった
 (5)とてもわかりにくかった

6 スライドを使ったことはどうでした?
 (1)とてもよかった (2)よかった (3)どちらとも言えない (4)あまりよくなかった (5)よくなかった

7 授業の長さはどうでしたか?
 (1)とても長いと感じた (2)少し長いと感じた (3)ちょうどよかった (4)少し短いと感じた 
 (5)とても短いと感じた

8 授業の理解度はどうでしたか?
 (1)とてもよくわかった (2)だいたいわかった (3)半分くらいわかった (4)あまりわからなかった 
 (5)ほとんどわからなかった

9 授業の内容は役に立ちましたか?
 (1)とても役に立った (2)少し役に立った (3)どちらとも言えない (4)あまり役に立たなかった 
 (5)全然役に立たなかった

10 今日の授業で出てきた色々な話の中で印象に残っていることはどれですか?
   複数選んでもかまいませんので、番号を右の四角の中に書いてください。
 (1)2人に1人は「がん」になること。
 (2)亡くなる人のうち、1/3は「がん」によって亡くなっていること。
 (3)自分たちと同じ年齢でも「がん」になったり、亡くなったりする人がいること。
 (4)自分の中にも「がん」のもとができていること。
 (5)「がん」を予防するには生活習慣が大切なこと。
 (6)患者さんの体験談。
 (7)お医者さんだけではなく、色々な職業の人が患者さんのお世話をしていること。
 (8)病気になった時には、自分で質問したり情報を集めたりすることが大切なこと。
 (9)「いのち」を守るためには、自分の考え方や気持ちが大切なこと。
 (10)「いのち」を考えるためには、よいコミュニケーションを取ることがとても大切なこと。

11 次のことについて、感じたことを自由に書いてください。
   (1)がん」が身近なものであることについて
   (2)講師として話をしてくださった患者さんの体験談について
   (3)「いのち」とコミュニケーションの関係について

12 今日の授業に対する感想や要望を自由に書いてください。

13 今日の授業に対する質問があったら書いてください。

おそらく、すべてを記入するためには15分程度の時間が必要になると思いますし、担任の先生方も自分のクラスの生徒がどのようなことを感じたり書いたりしているのかを把握されたいだろう、というようなことがあり、実施後1週間を目処に私の会社あてに送付していただくようにしています。

さて、もうお分かりだと思いますが、7番の質問に対する生徒さんたちからの回答結果は超悲惨なものでした。学年ごとに多少の差はあるのですが、全校でのパーセンテージを見ると、(1)とても長いと感じたが73.8% (2)少し長いと感じたが23.4%となり、ほぼ100%、全校生徒さんが「長い授業だな~」という不満を持ったのでした。意見交換会にまで付き合わせてしまったことで、余計に長いという印象を持ってしまったのだと思いますが、私たちにとっても、大いに反省すべき課題となったのです。

ちなみに、パイロット版を実施した学校での同じ質問に対する回答は、(1)とても長いと感じたが23.6% (2)少し長いと感じたが61.6%でした。こちらも85%の生徒さんが長いと感じていることに変わりはないのですが、問題はその中味です。この時は、途中でトイレ休憩も入れましたが、私たちにしても、多少長くなってもできることは全部やってみよう、という考えがありました。したがって、その結果として、長いという感じ方をされることは覚悟の上だったのです。

第1回目の長~い授業の後、どのように改善し、今日があるのか、そのあたりはまた明日に。

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