「いのちの授業~がんを知る」小金井一中導入部から第一部

投稿者: 川口利 | 投稿日時: 2012年06月19日 19:57

「では、講師の方々お願いいたします」と校長に振られ、ワイヤレスマイクを手に私はコの字型に座っている生徒の真ん中に飛び出しましたが、プロジェクターのレンズカバーを開けても何も映りません。「プロジェクターの調子が悪いでしょうか?」と落ち着いてマイクで伝えると、若手の教員2~3名がチェックをしてくださいましたが、映りません。最初の部分は、講師の簡単な自己紹介ですので、特に問題はありませんが、その後からはスライドがないと困ります。全員での「こんにちは」という挨拶をし終わって、久住さんが自己紹介をしている間にPCを覗き込むと画面が真っ白、すぐにファイルを立ち上げ直し、無事スライドはスクリーンに映し出されました。セッティング後、開始までの間、どちらの機器もアイドリング状態にあったため、何か接続ミスが起きたのでしょう。次回に向けて確認しておく必要がありそうです。

私が中央で、「こんにちは」と呼びかけると、生徒たちも「こんにちは」と返してくれましたが、さっきまでのお喋りのトーンからするとちょっと低い感じ。「もう少し元気にいきましょうか。こんにちは」と私。今度はものすごく大きな声が返ってきました。

久住さんが「よろしくお願いします」と自己紹介を終えると、自然と拍手が起こったのです。今までの学校ではなかった現象です。続いて吉野さんの自己紹介。お2人とも本当に一言ずつ短い自己紹介にしていただいているのですが、吉野さんの時も、もちろん拍手をしてくれました。すかさず私が、「今日で5回目だけど、こんなにきちんと拍手をしてくれた学校は初めてです。素晴らしいですね」と持ち上げると、また大きな拍手が起こりました。「よし、これで大丈夫」と私は心の中で思いました。

スライドをめくりながら、今日の授業の目的、授業の構成、みんなに手を挙げてもらったり意見を聴いたりしながら進めること、などを手短に説明し、“「いのち」という言葉から感じること”を考えてもらうことにします。まず、歌を聴いてもらうので歌詞に注目してほしいことを伝え、DVDへの切り替え操作を行います。スライドの中に取り込むことができていればクリック一つで切り替えられるのですが、DVDからの出力になりますので、スライドとは別のアプリケーションWindows Media Playerを使う必要があります。ここでモタモタしているとせっかくの雰囲気が壊れてしまいます。事前に何度も操作を練習した甲斐あって、問題なく歌のDVDへと切り替わりました。

全体04.jpg

以下に「しあわせの時計」の歌詞をご紹介いたします。

 私が生まれたその日も 変わらず時計は時を刻んだ
 泣き虫弱虫歩んだ道 今日も時は流れてゆく

 ほら チクタクチクタク 聴こえてくる
 ねえ チクタクチクタク いのちの音
 ララ チクタクチクタク ささやかでも 命はあたたかい
 命は輝くもの

 あなたを浮かべるこの部屋 時計の音だけ包まれている
 その優しさにあの頑張りに 私は応えていますか?

 ほら チクタクチクタク どんな日も
 ねえ チクタクチクタク ただひとつ
 ララ チクタクチクタク あなたからもらった贈り物
 最高の贈り物

 ララ チクタクチクタク ラララララ
 ララ チクタクチクタク ラララララ
 ララ チクタクチクタク ラララ… 命はあたたかい
 命は輝くもの

DVDの最後の部分には、自分の描いたイラストを両手に持って時計の針のように腕を動かしている小学生が映し出されており、この時に少しだけ「ザワザワ」という反応が起こりましたが、それでもみんな真剣に聴いてくれました。歌が終わった後でスライド画面への切り替えを済ませ、マイクを2本手に持って再び中央へと出ます。映像に出てきた小学生は3.11で校舎を壊されてしまった子どもたちであることについて一言だけ触れ、すぐに「いのち」と関連深い歌詞の部分をスライドで見せます。その後で、“あなたの感じるいのちはどんなもの?”と書いてあるスライドを見せながら、「さあ、誰かどうでしょうか? 一言でかまわないので、こんなことを感じる、ということを発表してくれる人はいませんか?」と問います。これまでの経験からいくと、ここで手を挙げてくれることはほとんど期待できないのですが、今日は私の中にも期待感がありました。始まる前のあのエネルギーとここまでのやり取りからして、誰か挙げてくれるのではないかと。

見回すと3年生の男子生徒が挙げてくれています。すぐにそこへと走っていき、マイクを手渡し、名前を訊き、その後で思っていることを発表してもらいました。こちらが何も言わずとも、起立をして、堂々と答えてくれました。「はい、ありがとう。拍手をしましょう」。大きな拍手が沸きました。「他にどうですか」。今度は3年生の最前列で男子生徒が手を挙げてくれています。彼も立派に答えてくれました。残りの生徒は拍手をします。本当は2人の意見を聴いて次に進むというプランだったのですが、せっかくだからもったいないと思い、「もう1人いきましょうか」と声をかけると、今度は1年生の男子生徒が答えてくれました。

この生徒が答えてくれたことが印象深く残っています。「親が産んでくれたのだから、感謝をして、大切にしなくてはならない」。なかなか立派な言葉でした。

ここまでは、上々のすべり出し。今まで、このパートが生徒からの自主的発表だけで終了したことはなかったはず。いい流れです。

次の質問は、「いのちがなくなったらどうなるか」です。2年生あたりから声が上がっています。あえて発表してもらうまでもありませんので、「そう、死んでしまうということです」と私。この死までの間の人生を輝かせていくためにも「いのち」について考える必要があるのではないでしょうか、と再確認をした後、いくつかの病名が並んでいるスライドを見てもらい、「日本で一番多くの人が亡くなっている病気は、この中のどれでしょうか?」と尋ねました。久住さんが作ってくださったこのスライドには“飲みすぎ”なんていうのも入っています。また2年生のあたりから声が上がります。今度は声の方へと歩いていき、マイクを向けると「がん」という答えが返ってきました。実は正解なのですが、そのまま正解を出してしまうのも面白くないので、「がん」だと思う人はどのくらいいるか全員に訊いてみます。こちらが予想したよりは手の上がり方が鈍い感じです。「他の病気だと思う人?」と尋ねると、3年生の男子から「下痢だと思う」との答え。全員に訊いてみると、これには賛同者がほとんどいませんでした。さらに別の意見があるかどうかを訊いてみると、今度は脳卒中という意見が1年生の女子生徒から出されましたので、久住さんと私のアドリブキャッチボールで、20年以上前までは脳卒中が1位だったけれど、現在は「がん」であることを明かします。

そして、第一部:「がん」は身近なもの? へと進んでいきます。とっかかりの質問は、「今の日本で生涯でがんにかかる人は何人に1人だと思うか?」です。1/2、1/5、1/10という三つの数字をスライド上で見せながら全員に手を挙げてもらいました。これまでの経験からすると、1/5にかなり多くの生徒が反応するのですが、学校によっては1/2と1/5が拮抗していたケースもありました。今回の小金井一中では、1/5がダントツでした。

「みんなの予想では1/5が圧倒的に多いようですね。では、実際はどうなのか。どのくらいの人が「がん」で亡くなるのか、「がん」って何者なのかも含めて、久住さんに説明をお願いしましょう」と久住さんにバトンを渡します。

第一部:「がん」は身近なもの? 
第二部:「がん」を経験して

メインパートについては、また明日。

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