「いのちの授業~がんを知る」小金井一中導入部

投稿者: 川口利 | 投稿日時: 2012年06月18日 19:15

先週の土曜日、6月16日に小金井市立小金井第一中学校(以下、小金井一中と記載します。)での「いのちの授業~がんを知る」を実施しました。今日から、何回かに分けて、実施報告をさせていただこうと思っています。今日は、導入部について書かせていただきます。

この企画の昨年までの実施状況については、既にご報告したとおりですが、(このブログでは第2回目までしか書いていませんので、いずれまたご報告させていただきます)、今年度最初の実施が終了したところで、改めて概要から書かせていただこうと思います。

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、ロハス・メディカルが主催している企画で、協賛として大塚製薬株式会社様(以下、大塚製薬と記載します。)にバックアップをしていただいております。今回の授業には、関係者4名の方がオブザーバーとしてご出席くださいました。

授業の目標は以下の3項目です。
(1)生徒たちが「いのち」と健康、医療に関する偏りない知識を身につけられるよう、教育の場に素材提供する。
(2)医療従事者と患者を講師とすることで生きた情報を提供し、生徒たちに本物の声を聴かせる。
(3)生徒たちに「いのち」について自ら考えるきっかけを提供し、「いのち」の尊さや生きることの意義を考えながら生活することを促す。
 
講師ですが、医療従事者側講師をお務めいただいているのは、ナビタスクリニック立川院長の久住英二(くすみ えいじ)さんです。

久住さんは新潟県のご出身。新潟大学医学部医学科をご卒業後、国家公務員共済組合連合会虎の門病院にて内科研修。同病院血液科医員として勤務された後、2008年にナビタスクリニック立川をJR中央線立川駅のエキュート立川4階に開院されました。また、今年の5月には、立川で同僚だった小児科の細田医師がJR川崎駅のアトレ川崎8階にナビタスクリニック川崎を開院され、そちらにも手伝いに行っていらっしゃいます。平日は夜9時まで、土曜日も午後5時まで受付をしているとのことで、立川と川崎を行ったり来たり、大変にお忙しい方です。2005年から東京大学医科学研究所の先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門客員研究員も務めておられ、また、行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会ライフイノベーションワーキンググループの委員でもいらっしゃいました。現在、ロハス・メディカルの中で、“コンビニ受診大歓迎”というコラムもご執筆いただいており、大変ご多忙の中、お力添えをいただいています。

患者側講師をお務めいただいているのは、“日本に「サルコーマセンターを設立する会」(JSCP)”代表の吉野ゆりえ(よしの ゆりえ)さんです。

吉野さんは大分県のご出身。筑波大学国際関係学類入学と同時に競技ダンスを始められ、在学中にプロに転向。ご卒業後、ダンスの本場イギリスに10年間留学され、国内外の大会で活躍。2005年に良性腫瘍と診断され最初の手術を受けるが、術後に「肉腫(サルコーマ)」という「稀少がん」であることが判明。以後7年間に、最初の手術を含めて9度の再発転移手術を克服されています。『いのちのダンス~舞姫の選択~』(河出書房新社刊)著者。元ミス日本、世界ダンス議会国際審査員、日本ブラインドダンス協会理事、ウリナリ芸能人社交ダンス部特別講師、都立八王子盲学校ダンス部講師。と、こちらも多方面でご活躍をされ、大変にお忙しい中、お力添えをいただいています。ロハス・メディカルには、2010年6月号の特別対談“希少がんと向き合う”にご登場いただきました。いつも明るく元気で、とても「がん」患者さんには見えませんので、生徒さん(以下、生徒と記載します。)も最初は「がん」患者さんであるということにびっくりしている様子です。

学校側との調整役および授業の進行役を務めておりますのが、私、川口利です。

今回小金井一中での対象は、全校生徒450名強と教職員および保護者・地域関係者でした。以前にも説明した「道徳授業地区公開講座」として位置づけられたことと、学校側で各家庭への連絡文書を配布してくださったことから、これまでで一番多くの保護者・地域関係者が参加されていたように感じています。

13:40に開始予定の授業でしたが、生徒の体育館への移動・整列に少し時間がかかってしまい、実際には10分程度遅れてのスタートとなりました。直前に私たち講師陣が入場して前方に着席しても、生徒の方は特に緊張する様子もなく、いつも通り賑やかにお喋りをしています。それを見て吉野さんが隣でささやきました。「今までで一番うるさい感じだけど、大丈夫かしら?」それを聞いた私は、「大丈夫ですよ。このくらいの方が食いつきがよいかもしれませんので」と一言。

司会者の副校長先生(以下、副校長と記載します。)がマイクで静粛を呼びかけ、姿勢を正すように指示を出されると、生徒たちも静かになり、校長先生(以下、校長と記載します。)の挨拶と講師紹介に入りました。この中で、「大塚製薬さんのご厚意で、みんなにも1人1本ずつポカリスエットをいただいています。後で教室で受け取ってください」との紹介がされた途端、会場を大きな拍手が包みました。なかなか礼儀正しく反応のよい生徒だと感じました。事前に各クラスの授業を見学させていただいたことは既に書いたとおりですが、その時はクラスごとでの展開であったためか、正直言って、それほど活発であるという印象は受けなかったのです。全校一斉での雰囲気は、3年生を中心として、活発でありながらきちんとけじめをつけられる生徒たちとの印象でした。

授業は、昨年度出来上がった定型、

導入:「いのち」という言葉から感じることは?(10分)
第一部:「がん」は身近なもの(10分)
第二部:「がん」を経験して(インタビュー形式)(30分)
第三部:まとめと質問タイム(20分)

という構成です。導入部の時間を5分延長しました。これには理由がありました。

私たちの「いのちの授業~がんを知る」は、導入部でどのように生徒たちを引き込むかが大きなポイントになってきます。何だか難しそうな話だな、とか、何だかつまらなそうな話だな、などと思われて引かれてしまうと後が大変になりますので、最初で惹きつける工夫をしなくてはなりません。この時に、反応のよい生徒たちと、話は静かに聴くが反応はいま一つという生徒たちとでは、大きな差が生まれるのです。

これまで導入部として設定してきたのは、「いのち」という言葉から感じること、を生徒たちに考えてもらうことでした。そのために、“「いのち」には一番大切なもの”という意味もあることを、人気アイドルなどに対して「俺……いのちだぜ」のような使い方をすることに注目してもらいながら説明し、今日の「いのち」はそういう意味ではなく、生きていくうえで必要となる「いのち」について考えることであることを再確認しながら、生徒に「いのち」という言葉から感じることを考えてもらうという進め方でした。例えば、パワーポイントのスライド(以下、スライドと記載します。)でスポーツ選手や芸能人の写真を見せ、人気ベスト3だのCM採用企業ナンバー1だのというランク付けを紹介しながら、やんわりと引き込んでいく手法を採ってきたのです。これはこれで、失敗をしたということではなく、生徒を引き込むという意味では効果があったと考えています。

今回の授業では、「いのち」という言葉から感じること、について考えてもらうことに変わりはなかったのですが、手法を変えてみました。初めてPCからの音も増幅していただきましたので、何かそれを活用する方法はないものかと考えていたところ、テレビで流れていた「しあわせの時計」という歌に耳が止まったのです。歌詞を聴いてみると、まさに「いのち」をテーマとしており、3.11で被害を受けた東北の小学生が合唱に加わっているではありませんか。映像には、彼らが描いたイラストも使われていました。ここから導入できたら、今までとは違う反応も得られるのではないだろうか、と考えました。今やユーチューブなどで様々な映像が紹介されている時代ですので、うまくスライドの中に取り込めないかと探してみましたが、残念ながらこの歌は見つかりません。その歌が流されていた番組のウェブサイトも覗いてみましたが、ここでもダウンロードできる仕組みにはなっていませんでした。結局、発売されているDVDを購入することにしました。

さて、導入部はどのように進んでいったのか、また明日続きを書かせていただきます。

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