医療マネジメント学会~京都の思い出(3) |
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投稿者: 真木魔愛 | 投稿日時: 2006年08月12日 21:25 |
ところが雨の中、常磐自動車道の入り口を目指して、一目散に運転するドライバーに、
院長は反対方向の自宅に戻れと言います。
いくらなんでもそれは自殺行為、30分以上のロスです。
新幹線最終便に間に合わないのは決定的です。
「資料は全部入れましたが」
「そうじゃない。家に忘れ物を思い出した」
「どうしても、お戻りにならなくてはなりませんか?」
「どうしても、お戻りになるんだよ」
「でも、お時間が・・必要なものですか」
「どうしても必要だ」
「一体、何をお忘れに?」
「パジャマ」
『パジャマ』を忘れたというのです。
ホテルの浴衣では眠れないというのです。
言葉を失う私に、長年わきまえている運転手は、すでに車をUターンさせて自宅に向かっています。
院長の自宅前で待つこと10分。
運転手は道路の渋滞情報を熱心に聞き入ります。
谷田部ICから高速道路に乗ったのが、午後8時15分。
焦る運転手と苛立つ私を尻目に、院長は余裕の表情。
懇意にしている公認会計士に電話をして、明日の総会での会計監査の発言の練習などしています。
「大丈夫だって、間に合わなければ、このまま車で京都まで突っ走ればいいんだから」
運転手の横顔が一瞬ひきつりました。
大雨と交通渋滞を縫って、さすがプロ・・・午後9時10分に東京駅八重洲口に到着。
「ほら、余裕じゃないか。階段をじゃんけんしながらケンケンで上がっても間に合うさ」
その言葉を無視して、私は荷物を抱えて、ひたすら走りました。
最終のぞみに飛び乗ると同時に、新幹線はホームをすべるように出発しました。
院長が一言。
「あー腹減ったな。飯食うか」
中味が、片寄ってぐちょぐちょになった幕の内弁当をほおばって遅い夕食。
グリーン車はがらがらでした。
予約する必要はなかったようでした。
そんなことは、それまでグリーン車に乗ったことない私は知りませんでした。
京都駅に到着したのが夜中の12時前。
ホテルグランヴィア京都のフロントに向かって歩いていたとき、突然院長が言いました。
つづきは明日・・
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コメント
医者には常識からはずれた人間が結構いますね、私の叔父もドクタ-で、学会にドイツ辺りまで出掛けておりましたが、これほどはずれてはおりませんでした、、、、。これは常識はずれというより、幼稚の部類かな!
m,n。 様
なんて無駄の多い世界・・医療費は高かったなんて、最初私も驚愕してました。
エピソードの一面は、もしかしたら『息抜き』だったのかもしれません・・
(だって、医者としては謙虚で真摯で、経営者としても方向は決して間違わない院長でした)
でも、中に染まってしまうと、何が常識で、どこが変かもわからなくなってしまうので、新たな視点でのご指摘をいただければ、大変嬉しいです!!
一つの事に優れていても、総てに平均した能力の分配が出来るとは思えません。
医は仁術なりと、昔は申しましたが、医が算術に成り下がった現在、
専門分野でエキスパ-トで有っても、人間性は全く別の問題と思えます。
本来、学問と人間の完成が平行してなされるとベストなのでしょうが、偏った学問は人間の成長に毀誉しない様ですね、
胸が痛みます。
院長は常に「医者は馬鹿だから」と言うのが口癖でした。
でも『医者しか人間じゃない』と信じていたのも、院長だったと私は思っています。
(ちなみに、医者以外の人間は、チンパンジーだそうです??)
昔、昔、ある民族が選ばれた自分たち以外は総てブタである。と申したそうで。既に二千年近くの歳月が流れておりますが、その原理をいまだに行動の基本原理にしていると聞きます。
何処となく似ていると思われますが、
井に中の蛙、大海を知らず、で、戦前の日本軍部、いや、現在の我が国民もそうかも知れません。
世の中には真に優れた人は沢山おられると考えますが、惜しむかな、第一級の人物はあまり人前に出ようとは致しません。
日本人のインテリにはこう云う人が多い様ですが、彼らの大半も既にこの世にはおりません。
一億、総白雉と云われたのは、この方達が健全な時代でした。
大半が白雉かしてしまうと、何が正しく、何が間違っているかも理解出来なくなり。現在の様な子供の国になってしまうと思えます。
今日はあの戦争から61年目の終戦(敗戦を迎えた日)です。
立派な人間と愚かな人間の区別が付かなくなると国家は滅びる。と申しますが、
私たちは一人、一人が襟を正し、真の学問、他人を思いやる心を持ち、目指すべきと、私は考えます。
魔愛さんが、お書きになられた院長はそれなりのお方と考えます、
しかし魔愛さんが子細を記載されたので、院長の一挙手一投足が手に取る様に理解できます。
人間にはその人、特有の基本的行動原理があると思えますので、多分、正しいと私は身勝手に判断したに過ぎません!、、、
悪しからず。
m、n。様
つたない思い出話に、日々向き合ってくださってありがとうございます。
ブタのお話、聞いたことがあります。そっくりですね><
『俺は、「裸の王さま」にはならない』という台詞は、院長から耳にたこができるほど聞きました。
今日は終戦記念日。
院長は、空襲の爪痕が残る日本を駆け抜けるように、立志続けた一人なのでしょうが、m、n。様もまた、そのようなお人様なのではと、僭越な言い方を許していただけるならば、思いを馳せました。
私はそんな院長の人生の一瞬を見たにすぎません。
鎮魂と慰霊の今日、戦後がもたらした数々の恵みに感謝しながら、
その一時の共有した環境は、私自身の人間観や、その後の生き方を鍛え、今の心の元気につながっていることにも感謝したい思いでいます。