『患者さま』が『患者さん』に変更になって |
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投稿者: 真木魔愛 | 投稿日時: 2008年08月20日 11:31 |
ロハスメディカル最新号が届きました。
興味深く読んだのは、内田樹先生と小松秀樹先生の最終回対談“『患者様』の憂鬱”です。
昨年度、専門学校の一年生が使用している教科書の一つが、ニチイ学館出版の医療事務講座テキスト(厚生労働省指定教育講座/厚生労働省認定教材)でした。
私が担当している保険制度は、このテキストシリーズの『医科テキスト1』の内容に沿って進めます。
『窓口応対とマナー』というサブタイトルからも、文中『患者さま』が頻出します。
ところが、このテキスト今年度版から『患者さま』は『患者さん』に全て変更になりました。
法改正が重なり、発行が遅れに遅れていたテキストですが、法改正の内容以外もしっかり変更されていました。
医療現場だけでなく、教育現場の端くれに身をおく立場として、“呼びかけ”について
我が身を省みて感じることがありました。
昨年、私は学生に『皆さん』と呼びかけていました。(『みなさま』とは言えない)
傲岸不遜に思われたくなくて、あるいは自信のなさから、無難な呼びかけだったのかもしれません。
ちなみに、茂木健一郎氏は、先月の講演で、小中高校生に対して、『諸君!』と呼びかけ、途中白熱すると『おまえら』でした。私には、違和感も上から目線も全く感じられませんでした。 さすが、、、
さて、講師稼業二年目に入って、私ははじめて授業中に「怒る」という経験をしました。
2クラス合同の講義室で授業を始めると、
テキストをホームルームに忘れる、間違ったテキストを持ってくる、無駄話をやめない、
単独クラスで授業開始時間を過ぎてもランチの後片付けができていない、
複数女生徒が後ろ向いて横並びで、お尻を振り振りポニョの歌を合唱、
出欠の声が届かない、課題プリントを失くす、配布資料を忘れる、
などなど、、、、
内田樹先生は、
可能な限り授業に集中せず、教師に対する敬意表現を手控え、「学びたくない」というメッセージを全身でアピールする。それは学校に来たくないということでも、学校で教わっている教科が無意味だと思っていることでもない(現に学校には来ているし、教科の有用性も理解している)。彼らの関心は「どれだけそれを安い代価で手に入れるか」なのである。使用価値の高い商品をかなうかぎりの安値で手に入れる消費者が「賢い消費者」だとされているからである。
とブログで述べられていますが、
高尚な発想に微塵たりとも及ぶはずもなく、
昨年はひたすら耐えました。
悲しいかな、学生の全身のメッセージを無視して、声を枯らしながら講義を続けるしか術がなかったのです。
今年になって、僅かの余裕が生まれたのか、単なる慣れなのか、真面目に授業を受けるべく待機している一部の学生の懇願の表情に耐え切れず、
勢い机を叩いて大きな声を張り上げてしまった次第です。(ほんの一回だけ)
その時私は学生に「あなたたち」「あなた方」と呼びかけていたなあと、後になって気付きました。
(一喝後、クラスの態度は一変しました、、、、、、もっとも9月になったら、忘れてるんだろうけど)
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コメント
最近の若い者は、かまってくれ、らくしたい、だらしなくて根性なしが目に余る、甘やかされすぎですな。
大野事件の行方が気になってひとやすみです。
最新号、明日病院に行って頂いてきます!読むの楽しみです!!
『患』の字も、英語の『Patient』も、心配する、我慢する、耐える、という意味ですよね。
『患者様』という表現が、個人的に好きになれません。。。『患者さん』という表現も、然りです。
患者さんは、だれも、好きで患者さんをしているわけではないのですから・・・。
なにか違うんじゃないか、と思うのです。
患者さん、ではなく、○○さん、と、医療者が関わっていくことで、患者さん、という表現の言葉は、いつか無くなっていくのではないかと、私は思っています。
患者・医療者(すみません、ここでこの表現してしまいましたが)の関係は、本当に人と人としての出会いであり、そこからお互いに成長していくものだと、思うのです。
大野病院事件、判決の詳しい内容を知りたいです!!
ひとやすみ様
お立ち寄りいただきありがとうございます。
一概に若い人が全てとは思いませんが、受け身姿勢が多いなあとは実感します。
海(kai)ちゃん 様
コメントありがとうございます。日々の出会いを大事にされている海(kai)ちゃんさんの温かさが伝わってきます。
仰るとおりで、人と人との係わり合いの中で、どういう気持ちで接しているかだと思います。大事にしあう気持ちと尊敬の念が通じれば、呼びかけは特にこだわることではないような気がします。