ビジョン新検討会4(3)

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年08月23日 00:09

続いてディスカッション前の3委員の発表。


高久
「ディスカッションに入る前に、3人の委員から発表したいという要望が出ている。海野委員、和田委員、川越委員だ。時間もないので手短かにお願いしたい」


海野
「私の方からは、前回発表した1回目2回目の論点整理案を綴じ込みの中に、それから当日資料として第3回検討会の論点整理をしたものと予算関連事項について整理したものと資料を提出した。最初の分については認識の一致が認められたか一応確認していただければと思う。

第3回の分を簡単に説明すると、前回の話というのはまず地域医療・救急医療体制支援と住民参加についての話だったであろう。中身としては、『総合医』や『家庭医』などを含め土屋委員の要望書にもあったように後期研修を含めた医師養成のあり方を検討する専門家の体制整備を目的とした研究班を早急に設置するべきという認識で一致したであろう。それから救急医療体制が脆弱な体質になっていて、施策実施にあたっては症例を多く受け入れるほどより安定的に継続受入が可能になるような財政支援が必要であり、地域住民も一体となって支える必要があることも一致した。救急に関しては数のコントロールも欠かせないわけだが、これは丹生委員発表のように住民の立場でのトリアージも可能だということ、それから有賀委員発表のように電話によるトリアージも行われているし、今後を考えるとトリアージナースの教育・配置も必要になるだろう。またヘリコプター利用に関して言えば、厚生労働省は総務省や各自治体に対して消防防災ヘリを活用できるよう円滑な連携を呼びかけてほしいといったような事柄で一致を見たと考えている。ご確認いただければ。

予算の方は、この検討会がそもそも大臣から来年度予算要求のためということで開かれていることからして、時間的に切迫しているので、とりあえずまとめさせていただいた。よろしければ今でも1両日中にでも私にご意見いただければ、またまとめさせていただきたいと思っている」


和田
「昨日大野病院事件の判決が出たわけだが、あれを見ていて印象的だったのが、医師は謝罪をされている、しかし遺族は真相究明と仰っていた。医師の謝罪が受け止められていない。逆に遺族の側の想いにどう対応したらよいのか病院側も分かっていない、あるいは対応しているつもりでも受け止められていないという問題があると思った。医療者と患者との軋轢の根底には、このような認識のギャップがあるのでないか。このギャップを解消しない限り、お互いにつらいことが続くと思う。そこをどうつなぐか、精神論ではなく、きちんとした仕組みを用意することが医療機関の責務だろうと考える。

そこでメディエーターというものの説明をしたいのだが、患者のための医療の一環として事故発生時に患者のニーズに誠実に応答し、医療機関との対話の橋渡しを行う高度な専門技法と倫理性を備えた人材のことである。英米では広く普及している。また現場にも非常にニーズが高い。日本医療機能評価機構で03年に養成プログラムが開発され05~07年にのべ1026人が研修を受講した。07年度からは機能評価機構以外でも養成が始まっている。08年度には日本医療メディエーター協会というものが発足し認定制度がスタートした。年間約1000人の養成が可能になっている。育ったメディエーターたちも現場で活躍している。

養成・認定はこのように民間主導で自立的に回っているのだが、問題は個々の病院でそのような人を置くゆとりがないことだ。置こうとする病院に何らかのインセンティブをご考慮いただけないだろうか」


川越
「私は、皆さん病院の方なので在宅医療のことをあまりご存じでないと思う。ここでは医師と訪問看護師の連携の問題について述べたい。まず訪問看護師の元気がなくなっているという話から。訪問看護事業所数の年次推移をグラフで示した。見てお分かりのように平成12年から増え方が減って年に100数十件しか増えていない。平成12年というのは介護保険がスタートした年。それ以来伸び悩んでいる。一方で休廃止する看護ステーションは年々増加していて平成19年には全事業所の8%にも達している。この理由は主に経営的観点からで、介護保険がスタートしてから元気がなくなったというのが現場の感覚。訪問看護ステーションの収入の7割は介護保険からというデータがある。介護保険の枠に入れられたことによって看護師が無駄なエネルギーを取られて本来の業務に集中できないというのも聞いている。それから迅速にサービス提供をできないというのも看護師のストレスになっている。必要があれば速やかに入れる仕組みを検討してもらいたい。要するに現場からの声は、訪問看護は介護保険から外して医療保険対象に戻してほしいということだ。

もう一つ在宅医療をやっていると看護師の裁量拡大の話が必ず出てくる。法律通りだとやりにくいことを現場に要求する。何といっても、医師と看護師が常に同じ場所にいるわけではないから、医師の指示がないと何も動けないということになると困ってしまう。対策としては、事前約束指示というものがあるのでその標準をきっちり作って、特に死亡診断と疼痛管理についてやっていかないといけない。資料として、我々の考えた連携モデルを示した。

最後に提案。訪問看護を医療保険の範疇に戻すため、まずその検討への予算措置をとってほしい。第一段階としては次年度から一定の要件を満たした訪問看護ステーションを見なし居宅支援事業所として認定し、ナースたちにケアマネがやっていることをできるようにしてほしい。第二段階として、次回介護保険の大幅見直しの際に介護保険の枠から外してほしい。看護師の裁量権を拡大するため、我々だけでなく医師会など多くを巻き込んでいかねばならないので、そのために予算措置をとってほしい」
(続きは次項)

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コメント

川越先生の「訪問看護を医療保険に」という提言に大賛成です。介護保険以降、訪問看護に元気が無くなったというのも同感です。私も、同様の提言をしているのですが、是非、大きな声として政策に届けて頂きたく、お願いします。

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