記者会見を実況する |
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投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年12月28日 11:42 |
一昨日のエントリーで書いた全国医学部長病院長会議の声明文
予想通りマスコミでは報じていない。
取材に来てなかったのかというとそんなことはなくて
用意された15席は全部埋まったし
そのうち2人ほどは
発表者の嘉山孝正・山形大医学部長とケンカ腰のやりとりをしていた。
非常に示唆に富むというか何というか
自分たちは一方的に報じる側であり
その振る舞いを報じられるということに無自覚ということが改めて分かった。
自分の過去を振り返っても同じだったので急に責めるのは若干気の毒な気もするが
抜粋再現してみる。
社名は、所々間違っているかもしれないので
当事者で「違うぞ」という方がいらしたらご連絡いただけると幸いだ。
共同
「厚労省が調査委員会を設置することに反対ということ?」
嘉山
「遅れて来られた方? 冒頭述べたことの繰り返しになるけれど、我々も新聞報道等等の情報しか知らないけれど、厚労省内に調査委員会を設置すると報じられたので、それは事故の調査を大学本部がやるのと同じで、現場の実態と乖離したことになって、結局は患者さんにとっても不幸なことになるのでないかと危惧している。我々が大綱案に一貫して反対してきたのは真実の事故調査ができないのでないかということを懸念しているからだ。それに舛添大臣も循環器病センターの現場の調査に任せよと言っている。それなのに省内に作るのは、官僚が大臣の指示に従わないということでないかということも申し上げたい」
朝日
「細かいことだが、今日の声明は、医学部長病院長会議としてのものか、委員会としてのものか」
嘉山
「医学部長病院長会議として。今日開かれたのは委員会だが、80大学集まった昨年の総会で、委員会に適宜全権を委任していただいている。委員会の中では全会一致だ」
不明
「厚労省につくると何が問題なのか」
嘉山
「我々は一貫して管理者、上位組織がつくるべきでないと主張し続けてきた。で、毎日新聞の報道によると、厚労省が調査委員会をつくるというから、この調査委員会がどういう性格のものか新聞報道以外に知らないけれど、患者さんが納得してないなら、まず現場でちゃんと対応しなさいということを言っている」
じほう
「対案を出すと言ったが、それはいつ」
嘉山
「いずれ対案を出そうということでまとめている。もっともその内容は、この前の検討会で言ってロハスには出ている。東京と大阪と愛知(ママ)以外では一県一医大だから、大学病院に依頼したらどうかというもの。その際に重要なのはトップの自浄作用で、医学界で遅れている部分もあるからペナルティを加えたらというまで言った。ペナルティといっても刑事罰ではなくて、たとえば特定機能病院指定を外すとか。本当の事故調査をやるべきという立場で患者側に立って発言している」
読売(?)
「循環器病センターに、ご家族の納得いくような調査委員会を作るような責任能力があるのか。当事者がつくった時にご家族、一般の人からどのようなイメージを持たれると思うか」
嘉山
「分からない。判断するだけの材料を持っていない」
読売(?)
「状況的にああいう報道が出るのは、ご家族が納得していないからではないか」
嘉山
「相手がいることだからノーセンスだ。問題が大きく報道されたからといって国循が悪いという証拠はあるのか。我々は判断する材料を持っていない。大事なのはプロセスだ」
朝日
「一般論として、当該病院が当事者能力をなくしていたとしたら」
嘉山
「患者側の要求にもよる」
朝日(?)
「半年以上経っているのに、まだ決着がついていない」
嘉山
「変なこと言ったら、総長や院長が首切られちゃう。ただ少なくとも国循は事故ではないと言っている。どうしても自分たちではダメだということになったら、2番、3番の提言になっていくわけだが、まず情報を公開して、それから大学病院に調査委員会設置を頼んだらいい」
朝日
「仮にできなければ」
嘉山
「だから3番」
この辺までは、穏やかだったのだが
しばらくしてからほとんど因縁としか思えないような質問が相次ぎだす。
(中略)
読売(?)
「大学病院に頼むと、顔なじみの人たちの仲間内で問題を矮小化するんでないかという懸念がある」
嘉山
「今はそれはない」
読売
「どうやって保証する」
嘉山
「そんなもの誰も保証できるわけはない。制度が担保するんではなくて、問題は誰がやるかという人の問題。毎日新聞にだって不祥事はあるだろう」
読売
「私は毎日じゃなくて読売だけど、保証できないとしたら、国民は納得しないだろう」
嘉山
「それは我々の自浄作用の問題だ」
不明(産経?)
「厚労省に置くのと、大学病院に置くのとで、どうして大学病院の方がいいのか」
嘉山
「本当に調査をやれるかどうかだ。現にうちの大学では隠蔽をした教授を懲戒にして私はその教授から訴えられている」
読売(?)
「先生はきちんとできるんだろうが、全てのところでそうなるとは限らない。結局患者の納得を得られないということはありうるんでないか」
嘉山
「そうなれば、裁判できちっと決着つけるしかない」
読売
「声明の趣旨は分かるが、厚労省内につくったらいけない理由が分からない」
嘉山
「上部団体で利益相反のある組織が調査委員会をつくると、現場では何もできなくなって、結局実態と乖離したものになる。第三者だから信頼できると、それで日本人は思考停止するけれど、それで日本はこんな泥舟に壊れちゃったんだ」
m3
「国は開設者だから第三者ではないという趣旨では」
嘉山
「その通り。県立大野病院事件の調査報告と同じことになる。厚労省は第三者ではない」
(略)
不明
「会見するだけでなく直接申し入れもするのか」
嘉山
「厚労省と大臣と循環器病センター総長宛に送る」
朝日(?)
「いつ?」
嘉山
「もう送ったんじゃないかな。何しろさっきまで会議をやっていたから」
読売(?)
「国の直轄なんだから国が調査するというのは理屈としておかしくない」
嘉山
「国家は法律に従って動くんであって、調査委員会をつくるというような法律はまだない。立ち入り調査をする法律はあるけれど。だから大綱案の先取りで看過しがたいという話をしている」
読売
「国として責任を持つのだから理屈は通る」
嘉山
「法律によらず思いつきで動いたらいかんのだ」
日経バイオテック
「今回の声明のきっかけとなった情報源は何か」
嘉山
「毎日新聞報道」
どうやら毎日新聞の記者は来ていなかったようで来ていたらまた面白かったのにと思う。
日経バイオテック
「国循からの情報も入ってない?」
嘉山
「持ってない。我々も調査するような権限は持ってないのだから。だから事案個別にどうのこうのというのでなく、大綱案と構造が同じだから声明を出さざるを得なくなった」
産経(?)
「報道以外に直接厚労省に設置の意向を確かめてはいないのか」
嘉山
「あなた方報道でしょ。報道だけで行動したらダメだというのなら、報道なんかやめてしまいなさい。自己矛盾してはいけない」
不明
「医学部に置いた方が厚労省よりいい理由は」
嘉山
「昔と違って変なことをしたら、すぐに内部告発が出る。医学部は圧倒的に医者が多い。多ければ多いほど隠せない。あとは医師の自浄作用を高めてほしいということ」
朝日
「要するに現場に委託した方が公正で正確な調査ができるということか」
嘉山
「国循が自分たちでは無理と判断したなら大学医学部に依頼してはどうかと」
朝日
「その方が公正・正確にできるということでよろしいか」
嘉山
「その通り。国循の調査委員会にも第三者は入っている。それでももう一度やるというなら、まず現場に任せて、それがダメなら大学に頼みなさいということ」
読売
「大臣コメントを引用されていたが、あれがあったので、そもそも現場調査が実施されるはず。厚労省内に調査委員会は設置されないのでないか」
嘉山
「作らないなら作らないでいい。しかし、そのような報道があったから。新聞記事見せようか」
読売
「書いた本人なので流れは承知している。厚労省に調査委員会をつくるという話にはなってない」
嘉山
「作らないなら作らないで結構。ただし報道があった以上、我々としては声明文を出すのは当然だ。先ほど対案についての質問があったが、なるべく早く出したいということで今まとめている。なるべくお金かけずに医療崩壊もさせないには、大学医学部を活用するしかないと思う」
ここまで約30分。で翌日1行も載らなかったのは前述のとおり。
記者たちの言い分を総合すると、厚労省内に調査委員会を作るなんて話はそもそもなくて
たまたま毎日新聞が飛ばし記事(結果的に誤報)を書いただけ
前提がないんだから記事を書く理由もないということになる。
となると毎日新聞だけ来なかったのも、ははぁなるほど、という感じだ。
いいのかねえ新聞、こんなことしてて。
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コメント
嘉山先生の中では北海道・石川・神奈川・兵庫・福岡などにはどんな医学部があるんでしょうか。
取材お疲れ様です。
結局、毎日の報道にマスコミも振り回されたということかも。
しかし、その報道のおかげで、功労賞の動きや考えに釘を
させたとしたら、それはそれでよかったのかも?
嘉山先生も忙しそうですね。でも一番活躍されている気がします。
もうこうなると、笑ったらいいのか、怒ったらいいのか、全く分からなくなりますね。
しかも各紙で毎日の飛ばしを知っていながら、指摘するでもなく黙っているとなると…。
>匿名希望様
まあ、それは言葉の綾ですから。。。
>一市民様、中村利仁先生
「飛ばし」と書きましたが
いわゆる「観測気球記事」だと思います。
そのように官僚と一体化した情報発信をして恥じないこと
誤報になったとしても決して訂正しないことが
新聞の信用をどれだけ損ねていることかと思います。