千葉県の皆さんへ、大変です!!! |
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投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2009年03月15日 17:04 |
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昨日のエントリーを読んで情報提供してくださった方がいました。
上のグラフは日本政策投資銀行の月次レポート09年1月号から拝借したものです。
お分かりになるでしょうか。現在でも千葉県の対患者あたり医師数は多くありません。が、このまま2025年を迎えると、トンデモない少なさになるということが分かります。(高齢化が進むので。同様のことは茨城・埼玉にも起こり、以下は概ね両県にも当てはまります)
まだ2009年になったばかりですけれども、千葉県の医療は、既にハコだけあって人いないという状態になりかけているようです。それが基幹病院のドミノ倒しとなって表れています。
千葉県は決して貧乏な県ではありませんから、何とかなるんじゃないかと県民は思っているかもしれません。しかし、人がいなければ、金の使いようもないのです。国際空港を抱える成田市の、赤十字を経営母体とする病院、そんな「勝ち組病院」で医師が大量退職したという現実を重く受け止める必要があります。周辺の基幹病院が相次いで弱体化したため、救急患者が成田赤十字と旭中央に押し寄せ、その負担に耐え切れなくなったのだそうです。2つで支えて支えきれなかったものを残った1つで支えられると思うのは、余りにも能天気です。
今ある医療資源を守りつつ緊急にテコ入れ(医師の働きたくなるような魅力ある病院を整備して全国から呼び集める)しなければ、本当に救急車が行く場所のない県になってしまいます。幸いハコはあるので、そんなにベラぼうなお金にはならないはずです。とはいえ、もはやテコ入れできるのは県政しかないし、その最優先課題になってもおかしくないはずです。が、現在進行中の知事選で殆ど争点にもなってないなくて、各候補「愛」がどうしたこうしたと言っているらしいですね。何たること!! 千葉県民は、そんなに自分や家族の命が惜しくないんでしょうか?
この知事選の機会を逃すと、路線変更できるのは4年後。恐らく間に合いません。千葉県出身者として、皆さんにお願いします。ぜひ各陣営に医療をどう立て直すつもりなのか質問してみて、その回答を投票に生かしてください。もしくは候補者にテコ入れを約束させてください。棄権するなんて、もっての他。最後のチャンスです。私も、できることがあれば微力ながらお手伝いします。
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コメント
さらに深刻なのは、この医師数が医師の年齢構成を全く考慮していないということです。
…いわば、昼間の外来の医師を数えているだけです。
病棟や夜と休日の外来の主力は40歳以下層ですが、この年齢層は向こう5年間減少し続ける上に、現在の増員もおそらく年度当たり全国で1000人ほど不足しています。
千葉や埼玉の危機は深刻ですが、一見、医師数の多く見える東京や福岡も、安穏とはしていられません。厚生労働省はこれら都市部の若年層の医師数を来年度から減少させます。このまま厚労省の無定見を放置すれば、危機は速やかに表面化するであろうと思います。
埼玉県出身者です。
10年以上前から埼玉県の医師数が異常に少ないことを問題と考えて行政やマスコミに伝えてきましたが、反応は乏しかったです。
埼玉は700万人もの人口がいるのにも関わらず、国公立大学がなく、医師を志望する場合県外に出るしかありませんでした。
(岩手や栃木も同様ですが)
千葉県の話ではなく一般論ですが、そこにあるだけで地元に恩恵をもたらす国立大学が、極端な地元優先の政策をとることは問題だと思います。
病院の受け入れ体制を整えることによる誘導は正しいアプローチだと思います。
(しかし千葉の現状は、その広さを考えると、非常に気の毒に思います。外環道とつくばエクスプレスのまじわるあたりに、千葉と埼玉(と茨城)で公立大学医学部を作ったらどうでしょうね)
>中村利仁先生
ありがとうございます。
一般の方には、臨界点を超えると医師が一気にいなくなるというメカニズムが今いち分かってないような気がします。
解きほぐして伝える必要性を感じます。
>消化器内科中堅どころ先生
ありがとうございます。
千葉県は急速に医師の県外流出が起きているようなので、流れを止めないといけません。
その舞台はほとんど官営病院のようですから、やはりまず県がきちんと責任あるメッセージを出す必要がありそうです。
> 臨界点を超えると医師が一気にいなくなるというメカニズム
これは経営学で言うところのクリティカルマスという考え方で、むしろ一般のビジネスマンには馴染みの、しかし医者にはほとんど関係ない概念です。
それが医療分野でも見られる現象だということに、あまり一般の方々は気づかれないのかも知れません。
はじめまして。
高畑と申します。
>千葉県民は、そんなに自分や家族の命が惜しくないんでしょうか?
千葉県の医療崩壊の状況については、まだまだ「実感を伴って」理解されていないという状況ではないかと思います。
山武地区の医師不足、銚子の混乱、情報としては多くの県民が知っていると思います。
しかしそれが自らが受けられる医療に、どのように影響を及ぼしているのかは、まだまだ十分に理解されていません。
県立東金病院では、地域の住民がNPOを立ち上げ、病院の再建に住民として参加する取り組みが行なわれています。
事の重大さに気がついた県民は既に行動を起こしています。
一方で、大網白里町が昨年、開催した地域医療対策特別委員会の議論では、議論に参加した町議会議員の中に、医療崩壊の全体像も見えないまま議論に参加していた方も少なくありませんでした。
一次救急、二次救急、三次救急という意味も実態もわからぬまま、九十九里医療センター構想について論じる、そんな状態です。
山武地区で内科の二次救急の受け入れ空白日の方が多いという事実も、マスメディアなどで度々報じられていますが、そのことが何を意味するのか、実際にどのような状態なのか、理解することができていない地域住民も見受けられます。
想像力に欠けているのかもしれません。
先般、一人の有力な県知事候補者に話を伺う機会がありましたが、千葉県内の公立病院の再建については「まだまだ勉強不足だが、民間の力を活用して何とかしたい」という、表層的な発言に留まっています。
おそらく、後援会、地域回り等、選挙活動を通じて感じる県民の要求として、千葉県の医療提供体制というものへの要求がそれほど高くないと感じているのかもしれません。
残念ながらそれが実態なのかなと感じています。
ただ、先の東金のNPOの方々のように、できることからはじめている県民もいることですし、地道ながら情報発信し続けることで「実感を伴った」理解を広げていくことが最低限、必要かなと感じています。
>高畑様
ありがとうございます。
ご指摘の通りかと存じます。
実はロハス誌4月号を東金病院の平井愛山院長にご監修いただいておりまして
当然ながら東金病院の取り組みについては存じております。
4月以降、千葉県の実情を継続的に書いていく必要がありそうだなと感じております。