幼児死亡率は先進国ワースト1レベル。 |
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投稿者: | 投稿日時: 2009年04月03日 13:31 |
先日のエントリーでも少し触れましたが、私はときに周産期医療の問題を、少子化というもっと大きな枠組みの中で考えたりします。
その中で、それでもやっぱり周産期医療問題に一番近い問題のひとつが、小児科医療です。ふと、小児科医療の実態はどうなっているんだろうと思い、調べたところ、去る3月4日に厚労省が「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」というのを開催していました。
まず驚いてしまったのが↓の資料です。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/dl/s0304-7g_0001.pdf
日本は新生児の死亡率が世界一低い、それはよく言われることです。問題は、1~4歳児の死亡率です。世界21位。200ヶ国近くある中で21位というのは好成績に見えますが、上記の表で単純に計算しても、ルクセンブルクの3倍、カナダやフィンランドの2倍の死亡率です。
さらに見ていくと、このときの別の資料では、以下のようにも報告されていました。
●先進14カ国中、米国に次ぎワースト2位
●米国は「他殺」が突出して多く、それを除くと日本はワースト1レベル
●世界一低い新生児死亡率のお陰で、年齢1~4歳階層に死亡が持ち越された説(しかし「周産期に発生した病態」が原因の死亡はわずか1.5%)
● 同じく新生児死亡率の低いスウェーデンやオーストリアでは同様の傾向なし(「先天奇形・染色体異常」は18%あるものの、PICUでの診療でQOL高く生きられると考えられる)
ここで注目されるのがPICU(小児集中治療室)です。新生児のNICUと、主に15歳以上を想定したICUの、間をうめる施設です。1~4歳の小児死亡は、小さな施設で十分な集中治療を受けることなく亡くなっているというデータもあることから、同検討会でも、「幼児死亡率が高くなっている大きな原因として、重篤な患児が適正な救急医療を受けられずに死亡している現状が考えられる」と、小児の救命救急医療体制の強化を打ち出しました。とくにPICUの整備についてはきちんと議論を重ねた上で、5月末にも見解を出す方針とのことです。
ところで、PICUさえ整備すれば大丈夫なのでしょうか。やはり、そんなことはないでしょう。1~4歳児の死因トップは「不慮の事故」(データはこちら)。不慮の事故には、誤飲による窒息、お風呂での溺死、転倒・転落などがあります。交通事故も数字を大きく上昇させているようです。
そう考えると、これは単純に「PICUを増やせばよい」「医療体制を早く充実させるべき」というだけの問題ではないと思うのです。むしろ、家庭での配慮も、もっと見直されるべきです。「第一子のときは子どもが飲み込んでしまうような小さいものは出しておかないようにもっと気をつかっていた」「下の子に目を奪われている隙に、上の子が浴槽で転倒して溺れてしまった」「もう判断力がついてきたし、呼べば来るようになったからと、子どもが自分から離れていても油断していたら、交通事故にあった」・・・容易に想像がつきます。
PICUの設置が進むに越したことはありませんが、小児科医不足がますます深刻化している中で、ハードだけ整備しても足りません。モンスターペアレントの問題から家庭における心がけまで、患者側(この場合は親)の自覚と行動が問われてもいる、自戒を含めてそう思います。
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コメント
オーストラリアと比較して言われるのは、安全への気配りです。
たとえばドアのヒンジ側のところ、日本ではむき出しで、指を挟み切断する事故は毎年起きています。オーストラリアでは挟まないように覆いをつける必要があります。近年何度も注目を浴びている公園の遊具も、日本ではずっと野放し状態でしたが、オーストラリアではしっかりした安全基準があります。
1-4歳の死亡率、ひいては事故率を減らすためには日常の安全管理が必要ですし、目立ちにくいネグレクトによる過失死(パチンコ屋駐車場での熱中症、親が留守にしていての火災・事故死など)を減らすようにする必要があります。
>ふじたんさま
なるほど、医療的側面にかぎらず、行政レベルで、そうした事故そのものを未然に防ぐとりくみ、また防ぐための家庭への啓蒙などがもっと行われてしかるべきなのかもしれませんね。
パチンコ屋駐車場での熱中症による死亡の報道は毎年ありますが、一向になくならないのはどうしてだろうと思っていました。たんなる不注意というだけではないのですね。故意はないにしても、そもそも子どもへの関心が薄いことが、注意の欠如あるいは「まあいいだろう」(認識ある過失?)ということに繋がっていたというわけですか。
いずれにしても、やはり、事後の問題(医療等)より、未然に防ぐ(安全への配慮)ほうに、もっと社会が目を向ける必要がありますね。
もうひとつ。一家心中という子殺しの風習の存在も無視できないように感じています。
>前々期高齢者さま
そういえば、外国ではそういうことをしないそうですね。確かに、子どもも立派な別の人格です。親の事情で命を奪うなど、あってはならないことです。
私も一児の親として、子どもの将来を案じる気持ちはわかります。でも、本当に案じるなら、心中あるいは自殺という道さえ、踏みとどまることが出来るはずです。そう考えると、一家心中はやはり、それを行おうとする人のエゴでしかありません。
また、子を道連れにする一家心中は、純粋に親の事情による場合のほか、障害児などを抱えて親が精神的に参ってしまった場合もあると聞きます。その場合、やはり周囲のサポートがどうだったのかと思わずにいられません。そしてそれは周囲のせいばかりでなく、そうしたものを求めて積極的に親自身が外に出て行く必要があるのだろうと思います。もちろん、それができない人には、そっと暖かい手を差し伸べることが出来周囲であってほしいなあとの願いもあるのですが・・・。