Re:やっぱりわからない外来管理加算(1) |
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投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2009年04月30日 18:17 |
堀米さん、こんにちは。
再診料と○○管理料や××診療料の問題は、日本の診療報酬制度の構造に由来するもので、なかなかに対策立案は複雑になります。
これら点数の目標自体は簡単で、医療機関側については算定の頻度に制限を加えることによって受診回数を減らす方向での努力を強いるというものです。
日本の外来診療には短時間頻回であるという特徴があります。国民平均年間受診回数は12〜13回(患者一人当たりではありません)で、欧米先進国の3倍程度です。この受診回数を減らすためには、受診回数によって儲けに大きな格差を設けることが効果的と考えられます。回数が増えると損失が生じるようであれば、その動きはさらに大きなものになるでしょう。これが外来管理加算の目的です。
ただし、診療報酬請求が月単位で行われているため、制限は毎月1回までを超えると縦覧という作業が必要となり、事務量が増大します。また、近年に至るまで、外来での投薬処方は法令によって2週間分を限度としていました。この不適切な規制制約が緩和されたことの影響も大きかったというのが現場の感覚ですが、しばしば医療経済学者や行政官には無視されています。
そして1回当たり診療時間を増やすための方策となると難物です。
最近、病院の医師や看護師の時間外勤務の過重であることがマスコミを賑わせています。圧倒的な労働力不足の状況下で、しかも医療サービス単価が後述するような仕組みで厳しく抑制されているため、受診回数を制限した上で受診時間によって儲けに大きな格差を設けることは、短期的にも中長期的にも、医療サービスの過少供給に直結しかねません。
サービス業では時間管理が非常に重要です。にも関わらず医療分野で慣習としてほとんどこれが行われてこなかったのは、理由のないことではありません。厳密な時間管理を行った医療機関があったとしても、仕事が回らず、やがて止めざるを得なくなるからです。
そして、厳密な時間管理には大きな管理コストが必要となります。診療所程度の経営規模では、今でも割が合わないのです。
ところで、年間受診回数と受診時間を掛け合わせた年間総受診時間は、日本を含めた先進諸国間であまり変わりないことが知られています。…そもそもこの政策の目的がどこにあるのか、一見して、よくわかりません。また、再診料を受診回数によって減額するのではなく、別に○○管理料や××診療料が必要となるのはどうしてでしょうか。
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コメント
「外来管理加算」などという不明瞭な名称にしたから問題なのです。きっちりと再診料の値上げにすれば話は簡単でした。
しかしながら、先ほども書きましたように外科系と内科系の格差、というよりは外科領域での再診回数の多さによる歯止めを掛けるために、月一回という枠が必要だったのでしょう。もし患者さんに説明を求められれば、このようにきっちり説明します。
姑息的ですが、初回は再診料A群で加算含む、2回目以上は再診料B群で加算なしとでもして外来管理料を含めてしまえば良かったのです。
それはさておき、当初再診料の値上げができない代わりに加算しましょうねと言う暗黙の了解だったはずのものを、これは内科的な5分以上説明をした診療に対して支払われるものだから、それ以下の診療では払いませんよ。などという約束を反故にするような取り消しは目に余るものがあります。