検疫についてのWHOの見解。

投稿者: | 投稿日時: 2009年05月08日 17:00

検疫の是非について、他のエントリーでも議論がなされてきましたが、ちなみにWHOの見解はどうなっているのか。5月7日付のウェブサイト上での発表について、人づてに教えてもらいました。

ウェブサイトはこちら


該当部分のQ&Aを引用してみます。


Q.
Does WHO recommend screenings at country entry and exit points to detect if ill people are travelling?

A.
No. We do not believe entry and exit screenings would work to reduce the spread of this disease. However country-level measures to respond to a public health risk are the decision of national authorities, under the International Health Regulations 2005.

Countries that adopt measures that significantly interfere with international traffic (e.g. delaying an airplane passenger for more than 24 hours, or refusing country entry or departure to a traveller) must provide WHO with the public health reasoning and evidence for their actions. WHO will follow up with all of its Member countries on such matters.

Travellers should always be treated with dignity and respect for their human rights.


(概要)・・・頂いた訳文に、当方で後から改訂を加えました。

・WHOは出入国箇所においてのスクリーニングを推奨するか? NO。出入国に際するスクリーニングが疾患の広がりを減らす機能があるとは考えない。
・国際交通に大きな影響を及ぼす方策をとっている国は、WHOに公衆衛生的理由と、その行為のエビデンスを提出しなければならない。
・旅行者は常に人権に照らして尊厳と尊重をもって遇されるべきである。


というわけで、WHOは空港等でのスクリーニングを推奨してはいないようです。となると、水際対策の強化をしている日本の方針は、何をよりどころにしているのでしょうか?


ちなみに、検疫全般については、実施国は日本だけではありません。どこも手探りということなんでしょうかね。・・・とはいえ、国内に入ってしまったものをどうするか、という点について、現場の献身・努力に頼りきりといった状態(人員や施設・設備の面で)は、やっぱり問題には変わりないと思うのですが・・・。


とりあえず、今回はWHOの見解を、参考までにご紹介してみました。

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コメント

>検疫強化している日本の方針は、何をよりどころにしているのでしょうか?
まさに、この文章の中に答えがみつかります。「However country-level measures to respond to a public health risk are the decision of national authorities, under the International Health Regulations 2005.」公衆衛生上のリスクに対する国レベルの対応は国際保健規則に基づいて、各国の当局により決定される。

>国際交通に大きな影響を及ぼす方策
ここについても、具体的に「24時間以上の飛行機の遅延、旅行者の入国・出国拒否」と書いてありますね。
わが国は、このような方策を取っている訳ではないと思います。

パンダさま

そうですね。WHOの基準と照らすとそういうことになります。

私が気になったのは、“わが国の当局”が何を根拠に“強化”したのか(←国内対策がかなり現場への押し付け的、責任転嫁的に感じられるのに対して)、ということなのです・・・。

予算も人ももともと限られているところに発熱外来の設置を求め、感染力の強さも加味せずに診察拒否について安易に懸念をコメントし、それがマスコミに書きたてられて・・・(確かに拒否の判断理由には適切でないケース含めいろいろあるかもしれませんが)。

医療機関あるいは現場と“当局”の足並みや意識にズレがあるのは否めないように思います。それでよいのかなあ、と、患者側としては不安に思うのです。もっと強毒性の感染症などの危機の場合、大丈夫なのかなあと。

>私が気になったのは、“わが国の当局”が何を根拠に“強化”したのか
>(←国内対策がかなり現場への押し付け的、責任転嫁的に感じられるのに
>対して)、ということなのです・・・。

厚労省の今回の対策は、おおむね新型インフルエンザ対策ガイドラインに従ったものであり、それ以上でもそれ以下でもないと思いますが、いかがでしょうか。

しまさま

ガイドラインを作るのは大事なことですし、内容的には理想的に思えます。が、それを実行に移すのに予算等のサポートも不備なままであれば、医療現場の実情からすれば負担過剰、結局「言うは易し、行うは難し」で、うまく遂行できなければ被害を受けるのは国民です。ものすごく単純に考えて、ガイドラインを円滑に実行するための準備が不十分なままに、現場にやれやれ言っても、できないものはできないし、あるいは医療者一人ひとりの負担が過剰になるだけに思います。(インフルエンザ以外にも、医療者の手を必要としている国民はそもそも多いのですから、感染の広がりが現状程度ではインフルエンザ対策に全力を注げない以上、両立は負担が増えるだけですよね。)

そう思うと、そんななかでの検疫の強化は、なんとなく国民へのポーズにも思えてしまって、なんだかこちらとしても妙にしらけてしまうのです。

H1N1対策に使う資源の負荷が大きくなりすぎてきたようですし、ワクチンが普及するまでもたないでしょうから、H5N1対策のシミュレーション訓練は終了、H1N1土着化のシナリオを厚労省は書いているのではないでしょうか。しかし、行政、マスコミはうまく国民啓発できるでしょうか。

>そう思うと、そんななかでの検疫の強化は、なんとなく国民へのポーズにも
>思えてしまって、なんだかこちらとしても妙にしらけてしまうのです。

検疫の強化もガイドラインにうたっておりますよね。

厚生労働省は(専門家の知見によって作られた)ガイドラインを無視し、独自の判断によって動くべきだというお考えでしょうか

   WHOが検疫を推奨しないのは、これまでの実戦経験から有効性を実証できなかったからです。多くのウイルス感染症においては、症状が出現する前に感染力があるのですから、当然です。
   しかし、日本の専門家は、WHOの経験は「陸続きの国境」に基づいたもので、島国日本は水際で食い止められる、と考えているようです。そのような専門家の意見だけでガイドラインを作ることは可能です。前例のない新型インフルエンザに対しては、仕方ないことです。
   従ってこのガイドラインは、専門家が知恵を絞った産物ではあっても絶対的なものとは言えないので、あまり金科玉条あつかいせず、柔軟に対応すべきであり、活発な議論を期待します。エビデンスに基づかない、専門家の意見のみによる「ガイドライン」を鵜呑みにして盲従するのはよくありません。

   現に、予想どおり、検疫をあわやすり抜ける事態が起こったわけで、時間の問題で感染は街中に広がるでしょう。
   幸い、弱毒性なので、パニックになる必要はありません。
   米国その他28ヶ国では感染が市中に広がり死者も出ていますが、米国では死者は免疫力の低下している例に限られており、やはり普段の栄養状態などの免疫力が死亡率を決定するという常識的展開になっています。なぜか高齢者は既に免疫があるみたいですね。また、あれだけ人が集まる大リーグ球場の観戦客でもマスクをしている人は皆無ですね。余談ですがハーバードの歯学部の学生に感染者が出て歯学部のみならず隣接の医学部も一時授業を停止しましたがすぐ再開になりました。公衆衛生学部もすぐそばです。冷静そのものです。
   しかし、その理由は弱毒性だからです。これが強毒性だったら・・・?来るべきパンデミックにおいては、冷徹な強権発動(警察・自衛隊を含め)で公衆衛生の原則を貫くことになるでしょう。
   今回の「停留」などの措置は、公共の福祉のためには個人の人権が制限されるという、このうえないレッスンになりました。
   ジャーナリストの皆さんは、単に「法律だから」「罰則はこれこれ」というに止めずに、なぜそのような法律が必要なのかという、原理原則を強調して啓発していただきたいものです。案の定、発熱患者の診療拒否云々のお門違い報道は、「あれは診療拒否にはあたらない」(当然です)との声明であっさり片がつきましたね。
  ことここに至ったら、皆が協力しあわねば・・・。約12時間以上続く熱と感冒症状が出たら、仕事を休み、マスクをして、徒歩か自家用車で発熱外来を受診し、粛々と検査を受けましょう。(海外旅行歴はもはや関係ない、と言いたくてウズウズしている医者は多いのでは。)   

検疫で防御できるのか

結論から言えば、絶対に不可能です。
現在の2m以内という規定に全く科学的根拠はありません。咳をしたときに広がる方向は明らかに方向性が限局されていますし、飛沫の大きさによって到達距離は様々です。通常呼吸での感染はエアロゾルになりますので、空気中での浮遊期間はずっと長くなりますがデータがありません。
荷物についても感染力があるのか無いのか全く不明です。
また集団行動をとっていた人たちを集団として扱わず、帰りの飛行機の座席だけに着目することすらナンセンスです。

季節性インフルエンザの流行様式はまだ解明されていません。渡り鳥が媒介しているわけではないという調査結果があるのみです。飛行機で人が外国と行き来するずっと前から流行があったと思われるため、飛行機を検疫しても必ず入ってくるでしょう。

そもそも、いつまで検疫するつもりでしょうか。新型も必ずいつか日本で流行します。そして流行しない限り免疫を獲得することはできません。ワクチンで防げるわけではありません。型があたるかどうかという問題以前に、ワクチンで確かな予防効果があるかどうか証明されていませんし、有効だとしてもその免疫が何時まで持続するのかもわかっていません。

インフルエンザウィルスは、気道細胞内で増殖し、気道細胞の細胞膜の一部を切り取ってウィルス自体を覆ってしまいます。ウィルス自体が露出している部分はほんの一部でしかありません。だから免疫が成立しにくく、ウィルスが増殖し始めてから感染者の体が応答するまでに時間がかかります。そしておかしな抗体(自己抗体)もできやすくなります。自己免疫が強烈に起これば現代の医療で治癒させることは困難です。自己免疫が強烈におきるかどうかは予見できず、健康な人にも起こりえます。確かに慢性疾患を持つ人はインフルエンザの経過の中で重症化しやすい、免疫応答の最中に複合感染を起こしやすいというハンデを負っているため死亡率が高くなりますが、流行が起これば必ず健康な人の中にも死亡者が出ます。

インフルエンザ対策の中で、フェーズ4では、一般の医療機関では発熱患者を診ないことになっています。フェーズの判断は知事が行うことになっており、WHOの判断ではありません。しかし十分に周知されているとは言えず、WHOの判断に基づいて診療を拒否したのであれば、仕方が無いことでしょう。そもそも、人には自己防衛権が認められており、自己の生存にかかわる事態とすれば診療拒否も仕方が無いことでしょう。「法人」とは法律上「人格」に相当する権利を認められた団体ですので、「医療法人」が自己の生存権として診療を拒否すれば、憲法に基づく権利であって、大臣がどうのこうのといえる問題ではありません。自己の生存を脅かされないだけの対策をあらかじめとっておくべきで、そのような政策(=マスク・予防衣・抗インフルエンザ薬を国が無料配布する、インフルエンザに関連して休業した場合の保障をする、全ての外来を電話予約制にして待合室に人をまたせない、などの対策)が示されていない事が問題です。

ただ、現在の国内医療機関の対応も馬鹿げています。過剰反応を示している人たちは「全員マスクしろ」と指令しています。また私の職場でも発熱者が出ています。かかりつけ医に受診しましたが、インフルエンザの検査を断固として拒否されたそうです。ろくに診察せずに抗生剤だけを処方されたそうです。1週間以内に海外渡航歴が無い以上インフルエンザへの感染はありえないという説明だそうですが、いまだ従来型インフルエンザはありえますし、旅行者以外からも入ってくることを想定すべきです。(季節性インフルエンザという用語はおかしいと思います。従来型のインフルエンザは年中発生しておかしくありません。ただ大きな流行は冬季に見られることが多いだけです。)

皆様、コメントをありがとうございます。

>しまさま
検疫を否定しているわけではないのです。その強調のされすぎと、鈍重な国内対応を懸念しているだけなのです・・・。(医療側が過剰反応するのも、政府のリーダーシップが不十分、予算も何も付けられないのに負担だけ強いられている、という思いがあるからでは?)

>生涯いち医師さま、ふじたんさま
冷静な解説をありがとうございます。生涯いち医師さんのおっしゃるとおり、「なぜ法律が必要なのか」等、原理原則の理解を国民が深め、本来、皆が協力すべき時なんですよね。また、ふじたんさまのご指摘を読めば、検疫はやはり気休めというか、すでに国内に患者が入ってきているだろうと思うばかりです。検疫は確かに多少の時間稼ぎになるのかもしれませんが、マスコミや国民にそこを強調してきたのは、紙面や電波の使い方としてあまり適切でなかったように思えてなりません。むしろ、国内対策の一環として、国民への適切な行動・対応の指導を行うべきだったのでは?

>DTMHさま
とはいえ、DTMHさんのご指摘のとおり、政府の対応ももうそろそろ変わりそうですね。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090509-OYT8T00320.htm
(WHO「軽度」判断→水際作戦見直しへ…厚労省方針)

ふじたん様に概ね賛同です。
ただし以下の部分が少し解釈に苦しみます。

>インフルエンザ対策の中で、フェーズ4では、一般の医療機関では発熱患者を診ない
>ことになっています。フェーズの判断は知事が行うことになっており、 WHOの判断では
>ありません。しかし十分に周知されているとは言えず、WHOの判断に基づいて診療を
>拒否したのであれば、仕方が無いことでしょう。

仕方が無いことというのは、(1)あの状況で医療機関が発熱患者の診察を拒んだのもむべなるかなという医療機関擁護論の意味。(2)あの状況で診察を拒んだ医療機関が応召義務違反等で糾弾されても仕方がない、という医療機関批判論の意味。のいずれであるのかが私の読解力では不分明でした。

とはいえ、あの診療拒否事件当時から今に至るまで知事がフェーズ宣言した地域が国内にあったかどうか、寡聞にして存じておらなかったことが私の不分明の理由なのかもしれませんが。

上記以外の部分についてはすべてふじたん様に賛同です。

堀米さま

すみません、そもそも論に戻りますが、堀米さまが引用したこのFAQは、検疫(quarantine)についてのWHOの見解と見なして本当に大丈夫なのですか?

(参考訳)
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Does WHO recommend screenings at country entry and exit points to detect if ill people are travelling?
病人が旅行をしていることを発見するために出入国の時点でスクリーニング検査を行うことをWHOは推奨するか?

No. We do not believe entry and exit screenings would work to reduce the spread of this disease.
否。我々は出入国時のスクリーニング検査がこの病気の拡がりを減らために働くとは信じていない。
However country-level measures to respond to a public health risk are the decision of national authorities,under the International Health Regulations 2005.
しかしながら、公衆衛生リスクに対処するための国レベルでの対策(measures)は、IHR2005に基づき各国当局が決めるべき事項(decision)である。

Countries that adopt measures that significantly interfere with international traffic (e.g. delaying an airplane passenger for more than 24 hours, or refusing country entry or departure to a traveller) must provide WHO with the public health reasoning and evidence for their actions.
明らかに国際交通に影響を及ぼす対策(例 航空機乗客を24時間以上遅らせること、又は旅行のための出入国を拒否すること)を採用する国は、その行動(action)の公衆衛生上の理由と証拠をWHOに示さなければならない。
WHO will follow up with all of its Member countries on such matters.
WHOはこのような件については常に加盟国をフォローアップする。

Travellers should always be treated with dignity and respect for their human rights.
旅行者は、尊厳とその人権を尊重された取り扱いを常に受けるものであること。
---------------------

なぜかというと、5月4日の段階で本件の担当ADGであるDr.Kenji Fukudaが記者会見での質疑応答で、メキシコとAPの記者から香港での検疫(こちらはストレートにquarantineという用語を用いています)についてのWHOの見解を問われた時に、かなり慎重に言葉を選んでものを言っているので。
http://www.who.int/mediacentre/swineflu_presstranscript_2009_05_04.pdf

空港における検疫自体は、1時間から長くても3時間程度で終わっているので、「国際交通に大きな影響を及ぼす方策」とまでは、言えないと思いますが、感染者が搭乗していた飛行機に、たまたま乗り合わせていたと言うだけの人たち、特に外国人の入国を10日間、認めないという「停留」措置については、”delaying an airplane passenger for more than 24 hours”に該当し、日本政府は、この措置の公衆衛生上の理由と証拠を示さなければならないと理解しています。

前々期高齢者様

医療機関が診療拒否を行っても、許容されるべきだという意味です。

Anonymous様
以下、
http://www.who.int/csr/disease/swineflu/frequently_asked_questions/travel/en/index.html
からの引用です。その他の部分も非常に参考になりますので、ぜひご一読ください。

Travel
7 May 2009 (updated from 1 May 2009)

Is it safe to travel?
WHO is not recommending travel restrictions related to the outbreak of the influenza A(H1N1) virus. Today, global travel is commonplace and large numbers of people move around the world for business and leisure. Limiting travel and imposing travel restrictions would have very little effect on stopping the virus from spreading, but would be highly disruptive to the global community.

Influenza A(H1N1) has already been confirmed in many parts of the world. The global response now focuses on minimizing the impact of the virus through the rapid identification of cases, and providing patients with appropriate medical care, rather than on stopping its spread internationally.

Although identifying signs and symptoms of influenza in travellers can help track the path of the outbreak, it will not reduce the spread of influenza, as the virus can be transmitted from person to person before the onset of symptoms.

Scientific research based on mathematical modelling shows that restricting travel would be of limited or no benefit in stopping the spread of disease. Historical records of previous influenza pandemics, as well as experience with SARS, validate this.

Does WHO recommend screenings at country entry and exit points to detect if ill people are travelling?
No. We do not believe entry and exit screenings would work to reduce the spread of this disease. However country-level measures to respond to a public health risk are the decision of national authorities, under the International Health Regulations 2005.

Countries that adopt measures that significantly interfere with international traffic (e.g. delaying an airplane passenger for more than 24 hours, or refusing country entry or departure to a traveller) must provide WHO with the public health reasoning and evidence for their actions. WHO will follow up with all of its Member countries on such matters.

Travellers should always be treated with dignity and respect for their human rights.

How can I protect myself from influenza A(H1N1) when I am travelling?
People who are ill should delay travel plans. Returning travellers who become ill should contact their health care provider.

Travellers can protect themselves and others by following simple prevention practices that apply while travelling and in daily life.

出入国時のスクリーニング検査(screenings at country entry and exit points )と検疫(quarantine)は同じなのですか?と確認しているのですが。

参考までに該当部分です
http://www.who.int/mediacentre/swineflu_presstranscript_2009_05_04.pdf

Bougaren, Reforma Newspaper, Mexico: I have two questions if I may. As you know Dr Fukuda in Hong Kong, around 300 guests are in a hotel in quarantine until May, after a Mexican hotel girl was found with being infected by the virus, between these 300 guests are 21 Mexicans. What do you think of this measure? Does WHO support this kind of measure against this virus? And the second question is that, the WHO knew for the first time about these initial cases in Mexico influenza back in the 10th of April and following day informed the Mexican authorities. For the second time WHO alerted the Mexican authorities on 17th of April. Could the Mexican authorities have reacted against this virus before 20th April when there was this teleconference? What could the Mexican authorities do in this period?
(和訳略)

Dr Fukuda: The question is about quarantine.
検疫に関する質問についてです。
Let me talk a little bit about disease control to put this in perspective.
疾病対策というものを少し大局的に捉えてみます。
When you are dealing with infectious diseases, quarantine has been a long established principle and so what quarantine means, is that when somebody has been in contact with people who are infective, or who are ill, and what you may ask them to do is to be in a place where you can observe whether they develop symptoms and so on.
感染症を取り扱う上で、検疫は長期に渡って確立された原理でありますが、検疫とは何かと申しますと、感染性若しくは病者に接触した人がいる場合、その人をある場所に置いて症状が発生するかどうかを観察せよとおそらくあなたは仰るでしょう。
This is what quarantine is.
これが検疫です。
It is different than isolation.
これは隔離とは異なります。
Isolation is when somebody is sick and you put them to the side a little bit so that they reduce the chances of infecting others.
隔離は他の人々への感染の機会を減らすために病者を離れた場所に置くことです。
I do not want to comment on the specific disease control actions of different countries.
私は異なる国々で行われている特定の対策についてのコメントをしたくはありません。
I do want to point out that quarantine, in specific situations, can be applied and it is a quite reasonable action to take in specific situations.
検疫について強調したいことは、特定の状況に於いては、極めて合理的な行動が適用され得るということです、特定の状況に於いては。
There are different times when it would be reasonable and other are times when it would not be reasonable.
それが合理性を帯びる時もあれば、合理的でないときもあります。
In the guidelines pointed out, or developed by the World Health Organization in terms of pandemic Phases and preparedness, if you go to that document again you will see that there are considerations of when to apply quarantine, when to apply isolation as considerations.
パンデミックフェイズと準備毎に、いつ検疫と隔離の適用を検討すべきか、WHOのガイドラインが指摘しています。
But as we have mentioned over and over again, the situations differ and countries approaches to diseases control measures are choices.
何度も申し上げるが、状況は多種多様であり、疾病対策方法は各国の選択である。
There is no set recipe of how you approach disease control and so this will differ to some extent from country to country. So I will leave it at that.
疾病対策に単一のメニュー(set recipe)はなく、国によって異なるものである。そうご理解いただきたい。


Frank, AP: I would like to pick up on that issue of the quarantine because it has been so much in the news over the weekend. Specificly the China has been taking some measures and not just in Hong Kong, but throughout the whole country, so they restrict the movements of Mexican nationals. Can you comment at all on that? And in a sort of related question, if a country that has taken drastic measures claims, like Mexico for example, that the infections are dying down, is it fair from your point of view to actually make that claim or is any country ever going to be safe if there is still a virus going around in the rest of the world. Could they come back?
(和訳略)

Dr Fukuda: I really do not want to comment on specific actions taken by specific countries.
私は本当に特定の国の特定の対策にコメントしたくない。
You know there are instances where quarantine makes sense. For example we often have cases which occur in families and so we know that other people who are not sick have been potentially exposed and that it is good for those people to be on the watch out for whether they develop symptoms and so on, and that you know there are general times when quarantine makes sense.
検疫が道理にかなう場合というのは、例えば、家族の中に患者(case)が発生している場合、我々は他の家族は発症していなくても潜在的に感染にさらされていることを知っている。そして他の家族が発症するかどうかを観察することは理にかなっている。そのような時に、一般には検疫は道理にかなっている。
With the WHO\\\'s guidance on quarantine and isolation, there is emphasis on them sometimes in the earlier phases as we get later on into Phase 6 then these sorts of measures will become less useful because there will be just more infections around and you cannot quarantine everybody in the world.
WHOの検疫と隔離のガイダンスでは、それらは初期フェイズでは強調され、フェイズ6になるにつれ、それらの対策はあまり有用でなくなってくる。なぜなら、周辺の感染者が多く、世界中のすべての人々を検疫することは不可能だからである。
So there are selective measures that you take in specific situations. Again I will leave it at that.
特定の状況に於ける選択的な手法である。そうご理解いただきたい。

>前々期高齢者様

私はふじたんさんの意味するところは、文脈からして(1)だと解していました。ただ、ご指摘を受けて読み返してみると、確かに、法人に生存権を認められるものなのか、と素朴な疑問がわいてきました(枝葉末節の問題ではありますが)。法律のことは詳しくないのですが、判例あるいは通例としてそう解釈できることになっているのでしょうか・・・。


>Anonymousさま

確かにリンクを示していただいた文書を読むと、5ページあたりにDr.Fukudaのquarantineに対する慎重な発言が出てきますね(ざっと目を通しただけですが、それでも、前半はまず一般論、その後も終始、WHOとしては明言を避けている感じです)。

一方のFAQですが、問題となるとすれば、①「出入国時のスクリーニング検査(entry and exit screenings )」が、mustを使ってけん制しているmeasureにあたるか、②同様に、quarantineが、それらmeasureにあたるか、ということだと思います。

仮に①yes②yesであっても、スクリーニング=quarantineとはいえませんが、もっと実質的に考えて、例として挙げられている「航空機乗客を24時間以上遅らせること、又は旅行のための出入国を拒否すること」という事態がどうやって起こりえるのか、頭の中で順を追って見ていくと、少なくともスクリーニングはquarantineの一部(第一ステップ?)であるように思います。そしてquarantineやスクリーニングの結果として「航空機乗客を24時間以上遅らせること、又は旅行のための出入国を拒否すること」も生じうるものと思います。

ですのでスクリーニングとquarantineは、両者が同義でなくとも、上記の観点において、WHOが懸念する結果をもたらしうるmeasureであるといえるとは思います。それを表明したのは5月7日で、ご提示いただいた5月4日の同氏の発言より後にupされたものであること、そしてさらに日本政府が「検疫」として主に「スクリーニング」の部分を強調してきたことを考えれば、WHOの5月7日の表明を「検疫」についての懸念ととらえても間違ってはいないように思えます・・・。

といったところなのですが、解釈の域を超えないのも確かです。それはそもそも5月7日の時点でも、WHOが明言を避けているからだと思います。検疫(quarantine)を禁じることは、WHOといえどもできません。そこまでの責任は、wHOも取れませんから・・・。むしろWHOの5月7日の表明も、そもそもが外交問題を意識したもので、いわゆる“国際”機関の「政治」的スタンスの表れということですよね・・・。

どうして議論がこういう方向に行ってしまうのか、わからなかったのですが、検疫が有効と考えているためでしょうか。やり方が不十分で、本来は検疫すべきと考えているのでしょうか。
私はインフルエンザ(新型も従来型も含めて)の検疫がナンセンスだと考えているのですれ違ってしまうのでしょう。
スクリーニングは、その結果に対してどうするとも言っていないので、行うことは本人の同意さえ取れればOKでしょう。
検疫は、問診・検査・診察の結果をもって個人の行動の自由を制限することなので、本来は正当な理由が必要でしょう。ただし、検疫をする権利は入国させる国の主権にかかわることなので、他国やWHOが口を挟みにくいものです。

成田のホテルを全館借り上げて、
感染しているかどうかわからない人の行動の自由=人権を侵害して
従来型を見る限りヒト・ヒトの近距離感染によらない感染様式があると思われるインフルエンザを発症したヒトを捕捉目標とした検疫を続け
今後世界で必ず蔓延するであろうインフルエンザを食い止めるポーズを続ける

莫大な費用をつぎ込んだ選挙対策としか思えません。
本来すべきことは「発熱外来」といった馬鹿な制度ではなく、国内医療体制の抜本的見直しでしょう。

ふじたん様
さて先の質問にお返事いただいて疑問解決できた私としては、今度のふじたん様の

>本来すべきことは「発熱外来」といった馬鹿な制度ではなく、国内医療体制の抜本的見直しでしょう。

のご意見を「国が本来すべきことは」と解釈したうえで、総論として全面的に賛同するものです。

現在国が検疫政策を選択していますが運用面で実質鎖国政策同様の弊害多き運用がなされておる様に思えて違和感を抱いております。

「発熱外来」含む国内医療体制抜本的見直し具体論の個々については機会を見ておいおいに。また多くの方がご意見がおありでしょう。

ふじたん様

>どうして議論がこういう方向に行ってしまうのか、わからなかったのですが

このエントリーのタイトルをよくご覧いただければおわかりになるのではと思います。(検疫の是非を問うているのではなく、WHOの見解についてああだこうだと我々外野が推論しているので)

ところで、「オンライン化しても役に立たないらしい。」
https://lohasmedical.jp/blog/2009/04/post_1689.php
へのご回答をお待ち申し上げているのですが、なかなかお時間がありませんか?

堀米さま

IHR2005をダウンロードして読み込んでみました。
http://whqlibdoc.who.int/publications/2008/9789241580410_eng.pdf

この中でscreeningは1カ所、quarantineは本文中で6カ所ヒットします。

結論としてはscreening(スクリーニング)とquarantine(検疫)は別物で、検疫実施についてはちゃんとIHR2005に実施根拠があるということだと思います。

(以下解説)

(1)まず用語の定義の部分で(16枚目;本文9ページ)

“quarantine” means the restriction of activities and/or separation from others of suspect persons who are not ill or of suspect baggage, containers, conveyances or goods in such a manner as to prevent the possible spread of infection or contamination;

とあります。screeningの定義はありませんでした。

(2)次にPART III – RECOMMENDATIONSのところで、
Article 18 Recommendations with respect to persons, baggage, cargo, containers, conveyances, goods and postal
parcels

まず人については
1. Recommendations issued by WHO to States Parties with respect to persons may include the following advice:

とあり、いくつものrecomendationsが並記されている中に

– implement quarantine or other health measures for suspect persons;

– implement exit screening and/or restrictions on persons from affected areas.
とがあります。screeningが出てくるのはここのみです。

さらに荷物についても
2. Recommendations issued by WHO to States Parties with respect to baggage, cargo, containers, conveyances, goods and postal parcels may include the following advice:

とあり、この中にも

– implement isolation or quarantine;

とあります。


(3)次にPART IV – POINTS OF ENTRYのところで

Article 19 General obligations

Each State Party shall, in addition to the other obligations provided for under these Regulations:

(a) ensure that the capacities set forth in Annex 1 for designated points of entry are developed within the timeframe provided in paragraph 1 of Article 5 and paragraph 1 of Article 13;

となっており、このAnnex1(47-49枚目)の中の
B. CORE CAPACITY REQUIREMENTS FOR DESIGNATED AIRPORTS,PORTS AND GROUND CROSSINGS
のところの
2. For responding to events that may constitute a public health emergency of international concern
The capacities:

(d) to provide for the assessment and, if required, quarantine of suspect travellers, preferably in facilities away from the point of entry;
とあります。
なお、(a)で各加盟国がAnnex1の整備に求められているtimeframe はIHR2005成立後5年以内だそうです。(細かく見るともっと分かれているようですが)

(4)続いてChapter III – Special provisions for travellers
のところで
Article 31 Health measures relating to entry of travellers

2. If a traveller for whom a State Party may require a medical examination, vaccination or other prophylaxis under paragraph 1 of this Article fails to consent to any such measure, or refuses to provide the information or the documents referred to in paragraph 1(a) of Article 23, the State Party concerned may, subject to Articles 32, 42 and 45, deny entry to that traveller. If there is evidence of an imminent public health risk, the State Party may, in accordance with its national law and to the extent necessary to control such a risk, compel the traveller to undergo or advise the traveller, pursuant to paragraph 3 of Article 23, to undergo:
と述べている中に

(c) additional established health measures that prevent or control the spread of disease, including isolation, quarantine or placing the traveller under public health observation.
とあり、また

Article 32 Treatment of travellers

In implementing health measures under these Regulations, States Parties shall treat travellers with respect for their dignity, human rights and fundamental freedoms and minimize any discomfort or distress associated with such measures, including by:

にも

(c) providing or arranging for adequate food and water, appropriate accommodation and clothing, protection for baggage and other possessions, appropriate medical treatment, means of necessary communication if possible in a language that they can understand and other appropriate assistance for travellers who are quarantined, isolated or subject to medical examinations or other procedures for public health purposes.
と述べられています。これに基づいて、感染者を赤十字病院に隔離し、感染が疑われる者を成田空港周辺のホテルに停留してもらっているのでしょうか。


(5)PART VII – CHARGESのところで

Article 40 Charges for health measures regarding travellers

1. Except for travellers seeking temporary or permanent residence, and subject to paragraph 2 of this Article, no charge shall be made by a State Party pursuant to these Regulations for the following measures for the protection of public health:
の中に
(c) appropriate isolation or quarantine requirements of travellers;
とあるので、無料になっているのでしょうか。

皆様、引き続いてのコメントをありがとうございます。

私も個人的意見としては、ふじたんさんや前々期高齢者さんと、やはり概ね同じ意見です。

またscreeingとquarantineの件ですが、単語としての意味は、KHPNさんのご指摘のとおり厳密には違うようですね。前者は乗客一律に課す検査、後者は疑いのある人についてどう対処するか、という問題のようです。

ただ、もともとの5月7日の文書に立ち返ってみると、WHOとしての見解は「We do not believe entry and exit screenings would work to reduce the spread of this disease」であり、「significantly interfere with international traffic (e.g. delaying an airplane passenger for more than 24 hours, or refusing country entry or departure to a traveller) 」については強く牽制していることにかわりありません。その意図を考えれば、これまで政府が強調してきた「水際の対策」、つまり飛行機や空港内で、多くの資源(人とお金)を投じての感染者探し自体は、WHOが認めているquarantineとは別物であり、むしろ性質あるいは目的はscreeingに近いものに見えます。

一方、「疑いがある」となった人を放置せずに一定の措置を講じるのは当然のことで、それは国内対策でも(内容は同一でないにせよ)初期の段階では施策のひとつにあたると思います。

結局、私が感じてきた問題は、これまでの政府の姿勢、すなわち水際の対策にばかり力を入れ、あるいは強調しすぎてきたこと、そしてそれを「時間稼ぎのため」と称していたわりに、国内対策が現場への押し付けになっていて素人目にもとてもお粗末に見えた(=不安を感じざるを得ない)ことです。

簡単に言えば、個人的にも、検疫であろうがscreeinigであろうがquarantineであろうが、やってもらっても別にかまわないと思うのです。ただし、普通の国民から見ても、国内対策をしっかりやっているな(予算をつけて、応援の人やモノが現場に補充されていることがわかる、など)、ということが感じられた上で、ということです。

ちなみに、どこから予算を持ってくるべきか等は、申し訳ないですが私にはわかりません。でも、今後も鳥型インフルなどの危機が予想される以上、そうしたことに対して国としての準備が整っていなくてバタバタになっている状況を目の当たりにしてしまっては、現在(含これまで)の対応に疑問を感じざるを得ないのです・・・。

堀米さま

すみません、厳しい言い方をさせていただきます。

素直に「検疫」という言葉を調べると普通はquarantineが出てきます。

最初にきちんと調べもせずにscreeningを勝手に検疫だと決め付けて

「WHOは検疫を推奨するか? NO。検疫が疾患の広がりを減らす機能があるとは考えない。」

とやって混乱を招いた方は一体どなたなのですか?

この誤謬(意図があれば詭弁です)の訂正をあなたはなさらないのですか?

もしなさらずにあくまでも自説に固執するならば牽強付会も甚だしいと言われても仕方がないのではと思います。

KHPNさま

これまでの議論の中で、screeningとquarantineを分けて考える必要性を確かめさせていただきましたので、エントリー本分にも訂正を加えました。

ちなみに(概要)として紹介した日本語訳の抜粋も、冒頭で「人づてに教わった」ママを引用させていただいていました。その時点では、私も「検疫」という表現で概ね間違っていないと考えていたためです。厳密さを期すべきとの反省も込めつつ、修正させていただく次第です。ただし、WHOの意図と日本の対応についての理解は、一つ前のコメントに書かせていただいたとおりです。

お忘れのようなのでもう一度

「正確な情報に裏付けられた事実を報じること」
「憶測をむやみに垂れ流さないこと」
「事実誤認があれば、直ちに訂正する潔さを保つこと」
「事実、伝聞、推測が容易に判別できるように書くこと」

これが大事です。

タイトルが未だに事実誤認のままですが

以上

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