死亡診断書の書式:NHK記者は見たことがないのか? |
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投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2009年07月04日 00:47 |
一昨日のエントリの続報です。
NHK ニュース
病院 うその死亡診断書作成か
7月2日 18時1分
http://www3.nhk.or.jp/news/k10014016471000.html#
(リンクはすぐに切れるだろうと思います。)
「…手術室でカテーテルを使った心臓の検査を受けている最中に出血して死亡しましたが、病院は、死亡診断書に、男性が病室で体調が悪化して死亡したという記載をしたということです。…」
医者でも死亡診断書を書いたことがない人は珍しいだろうと思います。一度でも書いた人であれば、院内の死亡場所を手術室やカテ室や検査室なのか、あるいは病室なのかを記載することは通常しないということはすぐに分かるでしょう。
[PDF]死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル 厚生労働省大臣官房統計情報部・医政局
http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/dl/manual.pdf
当然に死因は記載しますが、死亡した部屋の種別まで記載するということはそもそも不自然なのです。死亡場所の記載は、医療機関の場合はその所在地までなのです。部屋まで書くということは異常事態です。病死及び自然死の場合は通常行われません。
記事文面からはNHKの独自取材であった様子が伺われます。しかし、やはり医者に聞いてみるという手続きが行われたのかどうかが疑わしい記事です。
また、こんなことは医師免許を持っていれば、本来は当然に知っておくべき知識で、死亡診断書を書いた経験の有無の問題どころか、医学部の学生でも教わっている程度のレベルの低い誤解です。
ところが、この報道に関係したNHK記者は知らないだけでなく、医者に聞いてみるという当然の手続きを端折っているようです。
このニュースを視聴した国民の皆さんは、病室の種別の書かれていない死亡診断書を手渡されたとき、医者や医療機関に深刻な疑念を抱くことになるでしょう。
この記事を書いたNHKの記者は、事実関係を確認するというジャーナリストとしての義務を放棄していると考えます。
(以下、記事全文を転載しておきます。)
病院 うその死亡診断書作成か
7月2日 18時1分
奈良県大和郡山市の病院をめぐる診療報酬の不正受給事件で、この病院が心臓の検査の最中に出血して死亡した患者について、病室で体調が悪化して死亡したように、うその記載をした死亡診断書を作った疑いがあることが、関係者への取材でわかりました。
診療報酬を不正に受け取ったとして、1日、詐欺の疑いで逮捕された雄山会山本病院の理事長、山本文夫容疑者(51)と事務長の大杉龍太郎容疑者(57)は、2日午後、身柄を奈良地方検察庁に送られました。警察の捜査などで、山本病院では、患者に必要のない検査が行われていたとみられていますが、複数の関係者の話から、検査の最中に死亡した入院患者の死亡診断書に、うその記載がされた疑いがあることが新たにわかりました。この患者は、生活保護を受けていた64歳の男性で、ことし1月、手術室でカテーテルを使った心臓の検査を受けている最中に出血して死亡しましたが、病院は、死亡診断書に、男性が病室で体調が悪化して死亡したという記載をしたということです。この検査には、山本理事長も立ち会っていたということです。警察は、病院での診療の実態について捜査を進めていて、今後、この男性患者の診断書が作られた経緯についても調べるものとみられます。
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コメント
中村さま
>レベルの低い誤解です。
所詮記者とはそういうもので、だから心ある人は離れるんでしょうし、それがわかっている物書き出身の都知事なんかは会見で下らない質問があると怒鳴り散らすんでしょうね。
>国民の皆さんは、・・・深刻な疑念を・・・
日本国民はそれほど暗愚ではないと思いますよ。
> 日本国民はそれほど暗愚ではないと思いますよ。
不充分な取材や稚拙な文章力で右往左往させられる国民や患者さんを暗愚とおっしゃるのですか。
詐欺は騙される方が悪いと言うのと同じ論法ですね。
非常に不愉快なので、以降、自分のエントリへのコメントはご遠慮下さい。
書きたいことがあればご自分のブログでどうぞ。
脇から失礼します。
>非常に不愉快なので、以降、自分のエントリへのコメントはご遠慮下さい。
パンダさんが、そんなに不愉快なこと言っているようには思えませんが...
コアラさん、あなたのブログのコメント欄ではご自由にどうぞ。
この件に限らず、警察が被疑者を逮捕するのか書類送検で済ますかの線引きがどうもよくわからない。例えば最近の例では
(1)滋賀県警が業務上過失致死の疑いで刑務官8人を書類送検(2009/06/29-15:41)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200906/2009062900537&rel=j&g=soc
(2)滋賀県警が業務上過失致死の疑いで医師2人を書類送検(2009/06/29-17:39)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200906/2009062900682
(3)北海道警が詐欺と虚偽診断書作成、同行使の疑いで医師と社労士を逮捕(2009.6.11 11:50)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090611/crm0906111050009-n1.htm
http://plaza.rakuten.co.jp/atsushimatsuura/diary/200906120002/
逮捕状請求を行うにあたって各県警本部の考え方に違いがあるのか、或いは単に滋賀県警が軽率でないだけなのか。もっとも、刑務官を一度に8人も逮捕したら、刑務所が回らなくなると警察も少し遠慮したためなのか。
同じブログのコメント欄に前後して同じIPアドレスから投稿があるのを偶然とは思いません。
コアラ=ウサギさん、マルチHNはご遠慮下さい。川口さんとあなたのIPアドレスからのアクセス禁止について相談することにします。
反対意見をコメントされた位でカッカするのならば、ブログにエントリなんかしなければいい。
こんな教員に教わる学生が可哀想だね。
変な人 様、こんにちは。
反対意見だからというわけではなく、既に書いたように、騙される側の国民が悪いというような目線が、このコメント欄では歓迎できないというだけのことです。
同じ内容であっても、ご自分のブログ等でお書きになることはできるし、そうされるべきと思います。可能であれば所属と実名を明らかにされて、是非そうされると良いと思います。
ただ、書いた御意見への責任は、ご自分一人で背負っていただきたいものです。
…学生から自分の講義への評価は、可もなく不可もなくという辺りです。人格が問題になるような内容ではないからかも知れませんね。
最近は学生の時に死亡診断書の書き方の講義があるのかなぁ?
私らの学生時代には無かったと思うけど(講義サボってたのかも)
診療科によっては、死亡診断書をほとんど書いたことのない医者もいますけどね
んで、本題ですが
>ことし1月、手術室でカテーテルを使った心臓の検査を受けている最中に出血して死亡しましたが、
これが本当なら、医療事故として警察に届け出る必要があったはずですが
>病院は、死亡診断書に、男性が病室で体調が悪化して死亡したという記載をしたということです。
検査と関係なく病死したと誤魔化して書いたということでしょうね
だとすると病室で死亡したということにはなるでしょうから、「検査後に状態が悪化して死亡」=「病室で死亡」という意味なのかもしれません
記者の書き方に誤解を招く点はありますが、この記事の主眼は医療事故の隠蔽問題なのですから、深く突っ込まなくてもいいように思います
変な人 様、こんにちは。
迂闊なことに気づかなかったのですが…。
自分が一種変な人であることについては定評があります。周囲に迷惑をかけているだろう事についても自覚があります。しかしあなたがお書きになっていることは、ふつうの人が相手なら人格攻撃に当たるであろうと思います。
ここの他のブロガーや記者の皆さんは「変な人」ではなく、たとえあなたと意見が異なったとしてもまともな方々ばかりです。今後、これらの人々を相手に同じような事をお書きになるようなことがもしあれば、コメント削除の上、正式に貴施設のweb-masterに発信者情報の開示を求めることになるでしょう。その上で直接の連絡手段によって、あなたに対して謝罪を求めることになります。
貴施設が開示に応じられない場合は、然るべき民事(あるいは程度によっては刑事も)手続きを前提にして発信者情報開示請求手続きを開始することになります。
最終的にはあなたの周辺に多大なる迷惑をかけることでもあり、貴施設としてもあなたに対して何らかの処分を検討することになるかも知れません。
今後、特に余所ではこの種の人格攻撃は厳に謹んで下さい。お願いします。
> 記者の書き方に誤解を招く点はありますが、この記事の主眼は医療事故の隠蔽問題なのですから、深く突っ込まなくてもいいように思います
確かにもし問題が医療事故の隠蔽なら、一言そう書けば済んだことですね。
そう書けなかったことが問題だと申し上げているわけです。
NHKの報道の主旨と見出しが「医療事故隠蔽」であれば、ではそれが立証できそうな記事なのかどうかを、次に検討することになります。
実はそれは別のところで検討して公表することにしましたので、結果が出ましたらお知らせします。少し時間がかかる見込みです。