子宮がんワクチン 使用が広がるためには。

投稿者: | 投稿日時: 2009年10月02日 01:50

今年もピンクリボン運動の時期となりましたが、偶然にも時をほぼ同じくして、女性のがんでもうひとつ気になる子宮頸がんのワクチン(「サーバリックス」)が、いよいよ承認されることになりました。

●子宮頸がんワクチン、初の承認=予防へ第一歩、費用面に課題
(時事通信 2009年9月29日)


大いに興味があると同時に、こうした問題でいつもつきまとうのが、費用と安全性についての気がかりです。

ちなみに個人的には、つい先日、妊婦検診と同時に、区が費用を負担してくれる2年に1度の子宮頸がん検診を受けてきました。結果はお蔭様で陰性でした。


それにしても、女性特有のがんについては、以前から気になっていました。母方の祖母が乳がんで治療や再発を経験していたり(乳がんは男性でも起こりえますが)、子宮についても、母が子宮筋腫で手術を受けたりして、もともと私にとっては女性特有の病気は決して縁遠いものではありません。実際に私自身、実は妊娠が分かる前に、婦人科で多嚢胞性卵巣症候群と診断されて通院していました(排卵がうまくいかない病気で不妊の原因のひとつとされていますが、婦人科で指導を受けるうちに完全に治らないうちに自然に妊娠することが出来ました。婦人科でも試しに排卵誘発を行おうかどうか、と相談していたところで判明した妊娠でしたので、妊娠を希望する同じ病気の人も、あせらなくても大丈夫なものかもしれませんね)。


それでこの子宮頸がんのワクチンについても関心を持っていたのですが、承認されてもまだ費用と安全性の面で、いずれにしてももうちょっと様子を見ていたいなというのが本当のところです。(もともとは、もっと若い女性が接種対象の中心らしいですが・・・。)


まず、費用については、報道にもあるように「全額自費で、3~4万円となる見通し」とのこと(ワクチンは3回接種が必要だそうです。この金額は、3回分と考えてよいですよね)。効果の持続は10~20年といいます。子育てにますますお金がかかることを考えると、効果が半永久的だったらこの金額でも考えるし、あるいは1万円程度だとお財布にもやさしいなあと、つい思ってしまいます(本当はそういう問題ではなく、非常に朝三暮四的な考え方ですが)。まあ、毎年3000円程度の季節性インフルエンザワクチンを自費で受けていることを考えると、累計額はあまり変わらないのですが・・・。


それより引っかかるのは、安全性です。昨年の時点で、ヨーロッパでは死亡例も出ているようです。

●子宮頸がんのワクチン(Gardasil)予防接種に不安がよぎる死亡事例
(MediaSabor 2008年2月23日)

これは日本では現在まだ申請中の「ガーダシル」のほうの話ですが、欧州で3回目の接種を待たずに2人の女性が死亡した、というもの。ただし、解説として、

【子宮頸がんを引き起こすと言われているパピローマウィルスから身体を守るための当ワクチンが、今回の女性二人の死亡原因かどうかはまだ不明である。 】

【現在、予防ワクチン評価を担当するパウル・エーリヒ研究所が調べを開始。両者に甲状腺炎が発見され、これについて、さらに調査を続けているとのことである。これ以外にも当研究所には既に189件の副作用があるとの通知があったが、重要な症状ではなかったと言われている。 】

と記されています。


ただ、ワクチンの安全性というのは、なにもこの子宮頸がんワクチンに限らず、今問題となっている新型インフルエンザだって、そしてその他これまで接種が行われてきたさまざまな病気の予防ワクチンだって、“絶対大丈夫”ということはありません。もっと言えば、ワクチンだけでなく、薬だって、副作用が絶対にないものなどありません。それでも使用するのは、やはり誰が見てもリスクに比べてメリットが非常に大きいと判断できるからです。そして「メリットが大きい」と判断できるためには、ワクチンを受けずにその病気になってしまったときのデメリットをよく分かっている、きちんと想像できることも必要です。


子宮頸がんについて言えば、検診の受診率が20%と低迷していることを考えても、まだまだ「他人事」、なってみて初めてその怖さを痛感するという状況かと思います(ちなみに、運動自体は成功といっていいピンクリボンでさえ、思うように検診の受診率上昇につながっていないのです!)。やはり流行性の感染症等よりも、現実味が乏しく、認識が甘くなってしまうのでしょうか。そうなると、専門家の言うように接種を躊躇させる原因となる高額の費用負担について国による補助等が進んでほしいのはもちろん、それだけでなく、子宮頸がんという病気そのものについての知識の啓蒙も必要になってくるのではないかな、と思うのでした。

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