軽症患者は勤務医の敵? ─ 11月27日の中医協 コメント欄

投稿者: 新井裕充 | 投稿日時: 2009年11月30日 00:17

 病院勤務医の業務負担を軽減するため、厚生労働省は時間外受診などを抑制する方針を示しているが、「軽症で来る患者が勤務医の敵だとならないような慎重さをお願いしたい」との声も出ている。(新井裕充)

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コメント

「軽症で気軽にやってくる患者は、重症患者の邪魔であり敵である」と、どうして言えないのだろう?

あと、勤務医に夜間に違法な連続勤務医を強いているのは、病院管理者であって、市民でも、行政側でも何でもない

結局、勝村氏は市民無責でモノを言い、診療側は病院無責でモノを言っているいつもの構図で、実際に働く者の権利は侵害されたまま。

いい加減にこの類の茶番は止めて欲しいが、本当の勤務医代表の不在は続いている。

勤務医もきちんと労働組合に入って、働く者の権利と義務、責任とを峻別できるようになってほしいものです

>「軽症で気軽にやってくる患者は、重症患者の邪魔であり敵である」と、どうして言えないのだろう?

勝村氏の論点は「自分が軽症かどうか分からない」ので、「敵だと思わないで下さい」という主旨ですから、「軽症だと分かっていて外来に来る患者は敵だと認識していらっしゃるのでは?

>(尿管結石を)朝から我慢していて、仕事を休んで行こうと思ってたんですが、「どうしても急激に」、7時か8時に救急車を呼んで近くの公立病院に行った

つまり、軽症だとご自身で判断していたが「どうしても急激に」救急車を呼んでしまう状態ですから、ご自身のお仕事を最優先して、仕事が終わった夜間を狙って時間外救急を受診したわけではないのでしょう。また、尿管結石で10時間以上我慢してお仕事を完遂されたプロ意識も相当すばらしいと思います。そのプロ意識は下記にも現れています。

>懇談を「21時か22時までやってもらえないか」と言う保護者もいるが、「仕事が大変」、「そういう保護者の時間制限」という発想は持っていない。医療も教育も同じだ。

勝村氏はどんな些細な悩みでも毎日深夜まで聴いて下さる聖職者ですから、「救急患者の95%が時間外救急の必要がない軽症患者」であったとしても、この議論の提起そのものに納得がいかないこともよく分かります。

たとえば「10時間を超える手術を終えた外科医」が救急外来で「歯茎からの出血」を診察することは医者として当然なのでしょう。

そしてそれが原因で「大手術後の患者」の急変に気がつかなくても、歯茎の出血は時間外に診療されるべきかということが、ホントウはこの議論の根本なのですが、その点につき、ご自身のご経験の例示はされておらぬようです。

この点につき嘉山先生は以下のようにコメントされています。

>重症軽症が分からないから病院に行くのはいいんですけど、ただもうちょっと大人になって、赤ちゃんじゃないんだから。

そのような状況を作っている為政者こそ責めを負うべき、というMed_Law様のご主張もよく分かりますが、病院管理者を責めても「時間外救急の必要がない95%の軽症救急患者」は減りませんし、勤務医の実質的な負担は解消されません。

ただ、「時間外救急の必要がない95%の軽症救急患者」の病状と愁訴の分析を真剣にする必要があります。その上で、重症度を判断するシステムの構築、軽症と診断された場合の時間外診療費加算の有無等を議論すればよいと思います。問題なのはそのようにして「軽症患者がいなくなるか」という点です。いなくなるのであれば、莫大な予算を投入して「簡易診断システム」の構築を急ぐべきですし、「時間外加算」を加速度的に増やす試みを行っても良いと思います。

それでも95%の軽症患者が0%になることはあり得ませんが。

江原朗.選定療養導入による時間外受診への影響について-200床以上の国公立病院における検討-.MRIC臨時vol 268
http://pediatrics.news.coocan.jp/MRIC_sentei.pdf


よろしかったらご覧ください。

江原朗先生

>現時点では「保険外負担の徴収は時間外の入院数を減らさない」と一般的な結論を下すことはできない.

やはり、という感じです。そして結論は

>具体的には,準夜帯の保険外の自己負担金を低額に,深夜帯の自己負担金を高額にすることで,受診する時間帯を深夜帯から準夜帯に誘導できるのではないだろうか.

正論だと思いますが、それでは勝村氏のようなケースには対応できないと思います。

>(尿管結石を)朝から我慢していて、仕事を休んで行こうと思ってたんですが、「どうしても急激に」、7時か8時に救急車を呼んで近くの公立病院に行った

勝村氏が中医協の場でご自分のケースを公言なさっているということは、多くの軽症患者がそのようなケースであるという意味だと思います。

朝から痛いのに、夜7時以降「どうしても急激に」救急車を呼んでしまうような状況は、おそらく受診費用による誘導には効果が期待できないのではないでしょうか。

「どうしても急激に」救急車を呼んでしまう状況が何故発症するかの病理を解明する必要が最重要課題だと思います。

勝村氏のような3SD離れた存在まで、丁寧に救う必要はないのでは?
単に問題外と片付けて良い問題です。単なる迷惑者で、病気が悪化しても自己責任ということです。

2SD離れた向こう岸の人達は何をやっても迷惑を掛けてきますが、±1SDの人達には、時間外費用負担で壁を作ることは充分に効果があると思います

「3SDの人達がなくならないから効果がない」というのは詭弁の類です

95%の軽症患者が50%になったら、どれだけ救急外来患者数が減るかを考えて見るべきでしょう。ゼロにする必要もないし、ゼロにできるものでないのは議論するまでもないことです

それと、勤務医が病院管理者を責めれば、勤務医が救急外来に立つ頻度が減って楽にはなります。
責めるといっても、違法状態を解消してもらうだけで、当然のことです
病院の実質的な負担は減らなくても、勤務医個人の実質的な負担は確実に減ります。

>勝村氏のような3SD離れた存在まで、丁寧に救う必要はないのでは?

「日本国民を代表する立場」として中医協に参加されているわけですから、3SD離れた意見をを公言なさることなどあり得ないと思います。

ちなみに、わたしも尿管結石持ちですが、真夜中にベッドでのたうちまわりましたが、「どうしても急激に」救急車を呼ぶことはなく、翌日まで痛みをこらえて午前中の診察時間に泌尿器を受診しました。尿管結石は専門外なのでそれがどれほどのSDに入るか判りませんでしたので、勝村氏が3SD以上かどうか判断に困っています。

軽症者がわるいの?

勝村氏が自己を美化しすぎているところはありますが、彼の言わんとする所は正しいと思います。
患者や家族はその時点で医療が必要だと判断して受診を求めたわけですから、そのプロセスをよく考えて誰が対応すべきかを仕分けないといけないでしょう。ヨーロッパのいくつかの国々では救急病院の入り口でコントロールして継承者に課金しています。この方法を単独で実施すると本来必要な、すぐに対応すれば簡単に治った人たちを重症化させることになります。今回の新型インフルエンザの重症者発生頻度を見ればあまり賢いやり方ではないことが明白でしょう。

重症度判定できるように教育する
これを本気でやるなら、ほとんどの人が無視している「保健」を大学入試に加えるべきでしょう。患者に説明する際に解剖学から教える必要が無くなれば、どれだけの説明をもう少し違うところに割けるか、単純に計算するなら毎年(5分×手術・処置件数)という時間を浪費しているといえるでしょう。疾病のことを「家庭の医学」レベルで知っていてくれたらどれほど楽か分かりません。そういう社会なら、医師の教育に6年も使う必要は無くなるでしょう。健康についての知識が普及すれば馬鹿げた効能を謳う健康食品や健康法に騙される人も激減するでしょう。

医療コンビニ
救急医療のコンビニ化が問題ならば、医療のコンビニを作れば良いのでしょう。本来これは地域の「夜間休日診療所」が果たすべき役割だったはずです。その補助をいい加減に使うから、市民にとって利用しやすいところになかったり、利用時間が限定され過ぎていたり、診療科目が市民の要望にあってなかったりするのでしょう。行政は医師会に丸投げしていますが、医師会は地域の医師の一部しか含んでいません。勤務医と言う意味ではなく、開業医の加入率も都市部では低下しています。また新規開業した人たちは時間内診療での不足を補うために在宅に手をだし、時間外は動けない自体になっています。でもそういう新規開業医を「夜間休日診療所」に協力しないと言って非難する人たちがいます。

昼間は動けない
経済成長に合わせて不足する労働力を家庭に入る女性に求めたことは、女性の地位向上とGDPの上昇に大きく貢献しました。でもその際に必要な家庭に対する社会保障を行わなかったために、健康な子供たちで無いと保育所も学校も見てくれない社会になってしまいました。大人も常時健康で働きつづけないといけない社会になってしまいました。十分な休養が必要だから有給休暇を増やして好きな時に休める社会と、祭日を増やして一斉に休ませる社会ではどちらが良いのでしょう。健康な間はどちらでも同じですが、家族の誰かが調子悪くなったら、前者では何とかなりますが、後者では勝村氏のように無理をした挙句に医療に尻拭いを求めるしかなくなるでしょう。

救急医療を窮地に追いやっているのは社会その物なので、「患者」発生を抑えるか、「患者」が利用できるサービスを増やさない限りどうにもなりません。勝村氏はこういう趣旨を言いたかったのだろうと思います。どちらも簡単にはできませんし、時間がかかりますが、それゆえに今から手をつけないとどうにもならないでしょう。

>「患者」発生を抑えるか、「患者」が利用できるサービスを増やさない限りどうにもなりません。

前者は不可能なので後者について。
わたしは主に後者について書いて来たつもりです。
「どうしても急激に」救急車を呼んでしまう状況が発症する前に気軽にアクセスできてかつ安心できるサービスということであれば、ダイヤルQ2のようなシステムで無人電話サービスセンターを作るのがベストだと思います。イタ電は無くなりますし、人件費を節約できますし、「夜間休日診療所」にかかる人員を最低限にできます。

ただしその場合に問題なのは、無人くんの診断結果(PPV, NPV, 感度、特異度)です。そういう提案をしたつもりなのですが。

うぃっと君さま

私はあなたと同じような方向を向いているようでちょっと違うみたいですね。
私は国民が医療に対して「人」を求めていると思いますし、「専門家」を求めていると思います。そういう要望に対して電話相談が果たしてどれぐらい機能するのか、電話相談を選ぶ人たちは救急車を呼ぶ人たちと少し違うのではないかと考えています。

フリーアクセスを止めればよいと思う。

>私は国民が医療に対して「人」を求めていると思いますし、「専門家」を求めていると思います。

ヨノナカのお客様相談センターの大部分は「お自動さん」で、必要性のあるものだけにオペレーター対応です。ふじたん様の理想論はともかく、現実問題、医療以上に人が足りているであろう企業はすべて自動返信電話です。

求められても無い袖は振れません。もう少し現実的かつ具体的な例示をお願い致します。

うぃっと君さま

>求められても無い袖は振れません。もう少し現実的かつ具体的な例
>示をお願い致します。

ありがとうございます。
無い袖は振れないことを理解していただいた地域では確かに多くの住民が、無料電話相談を使わずに、自分で救急診療の適応を判断して適正利用しています。本当に必要なことは国民が医療の現状を理解して、適正に医療を利用してくれることです。電話相談を設けましたというのは厚労省のセリフでしょう。私たちの求めるものではないでしょう。

ふじたん様

>勝村氏が自己を美化しすぎているところはありますが、彼の言わんとする所は正しいと思います。

同感です。

話は変わりますがついでに川口編集長へお願い。ワンクリック100円募金の早期復活を!
無駄遣いばかりしている「官」(厚労省他)をあてにするのはもう止めて、自ら「公」を創りだすあの運動こそジャーナリズムにとっても真面目であると思い、老い先も短いゆえ是非それに参加したいのです。歳とるとしつこくて済みませんが。

>私たちの求めるものではないでしょう。

私たちが何をどう求めるのかをお伺いしているのですが。

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