軽症患者は勤務医の敵? ─ 11月27日の中医協
2010年度診療報酬改定の重点課題である「勤務医の負担軽減」について、厚労省は11月27日の中央社会保険医療協議会(中医協)の基本問題小委員会で、「患者側の都合による時間外の病状説明について患者や家族に協力をお願いする方策」、「軽症の患者が自己都合(仕事等)により救急病院等を時間外に受診した場合について患者に協力をお願いする方策」などの論点を示した。
意見交換で、勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は次のように述べて慎重な対応を求めた。
「高校の教員をしているが、生徒たちの中には一見大した悩みではないような悩みを繰り返し相談に来る生徒がいたり、非常に物分かりが良くて手間のかからない優等生もいる。懇談は6時までだが、『9時か10時までやってもらえないか』と言う保護者もいる。それが、『わがままだ』と思ってしまうのか、『そういう生徒や保護者がいるために教師の仕事が大変』、『何とかそういう生徒や保護者がなくなれば教師の仕事は楽』という発想は学校では持っていない。何度も説明しなくてはいけない生徒がいなくなればそれが自分たちがもっと楽になれる、本来の仕事に戻れるというふうに、そういう仕事を仕事ではないと思ってしまうと、医療も教育も人間を相手にする仕事だと思うので、患者が差別化されてしまうことになってほしくない。『軽症』という判断がなかなかしにくい。『勤務医が大変なのは軽症なのに来てしまう患者だ』と言われても、ちょっとそこを気にしてしまったときに患者と医療者とのコミュニケーションが敵視してしまう。『軽症で来る患者が勤務医の敵だ』みたいに、極端に言うとそうなってほしくない。そうならないような慎重さをお願いしたい」
勝村委員の発言に対し、診療側からさまざまな意見が出た。詳しくは次ページ以下を参照。
【目次】
P2 → 「慎重にしてほしい」 ─ 勝村委員(支払側)
P3 → 「医療資源を有効に使うことを考えて」 ─ 西澤委員(診療側)
P4 → 「土日とか9時に来られるとやっぱり......」 ─ 邉見委員(診療側)
P5 → 「軽症者は自己負担を払ってくださいと読める」 ─ 遠藤会長
P6 → 「看護師やMSWが『話を聴く』具体策を」 ─ 中島委員(支払側)
P7 → 「不安を看護師がコーディネートできる」 ─ 坂本専門委員
P8 → 「形にしないと放埒な社会をつくることになる」 ─ 嘉山委員(診療側)
P9 → 「1号と2号、一緒に何か緩和策を」 ─ 北村委員(支払側)