厚生労働省を質問攻めにする嘉山委員 ─ 11月6日の中医協で

投稿者: 新井裕充 | 投稿日時: 2009年11月09日 16:27

 「ですから、まさに佐藤君が答えた通りで、今の医療崩壊を招いたのはそこなんですよ。つまり、あなたは『算定した』と言っているけれども、医師の技術料があまりにも低いために医師が立ち去り型になって崩壊したんです」─。新体制3回目の中医協で、嘉山孝正委員(山形大学医学部長)が厚生労働省を質問攻めにした。(新井裕充)

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外来管理加算とは?
5分ルール?

怪我の消毒や整形のリハビリ、これらを毎日継続し一回一回、高い再診料を算定していると外科系は膨大な金額になる。そこで再診料を低く抑える。
一方、一ヶ月に1回か2回しか来院しない内科系外来では、再診料を低く抑えると破綻に陥る。

そこで再診料を低く抑えるかわりに内科調整費として外来管理加算を算定することができるようにする。
これが本来の意味と成立由来だったはず。ある意味『取り引き』であったもので、当然、内科外来には問答無用で与えてもらえるはずのものです。

ところがこの由来までを忘れて、算定用件までをつけるのであれば、外来管理加算をやめて再診料を2倍にしてもおかしくはないはずのものだと思います。

国家政策として法的側面を含めて論じるべき場で、点数算定できない診療行為に対しては責任をとらなくてもよい、という視点が欠けた点数政策という言及は素晴らしい。

だが医政局はこれに簡単至極な回答を数十年前から用意済みだ。
それは、Aの行為の点数はBの点数に含まれる、という言い方だ。
この際、Aの点がBの何倍も高い場合であっても、厚労省は平然と含まれるとしてきた。普通、含むというからには含まれるほうが小さいものだが、そんな簡単な算数もできないのが厚労省だ。

この論法なら、DPCとやらですべての医療行為はすべて現場の医師にのみ責任が帰することに含まれる、とやられて終了だ。

そもそも国民は医療費、すなわち点数配分すらも現場の医師が決めていると信じている人が多数だ。市場経済万能で来たのだから不思議はないのだが、それに乗じて、規則を決めて罰則を置いて完全制圧するのはおかみで、現場が苦悩の中で全責任という今の構図になった。

ずるい。卑怯、卑劣、と断言してよい。

そのことを中医協で明らかにしてほしい。議論はそれからだ。

これまで表立って話題に出来なかった無診投薬が議論に上っていながら、処方日数の延長やリフィル処方せん(処方せんを複数回使用可能とする制度)の話題は出ず、反対にフィーを上げてはどうかとの提案が出るとは正直驚きました。
また外来管理加算のベースには、少ない患者数の施設には大きなダメージにならないようにとの業界向けの配慮がありましたから、「5分」というのは後付けの論理であって、綻びは当初から分かっていたことです。しかしそのような成り立ちをすっ飛ばして、当の本人(医師会)が医療費増の世論に精一杯乗っていこうとするのは、一般の感覚からすればいささか節度に欠ける態度と映ることでしょう。
勿論、意見の表明の段階ですから迷走するのは構わないのでしょうが、これまでの中医協の議論を思い返すと、このような段階で決定に至る場合も多いように思います。

医療界内部は硬直化しており、中医協という制度にはやはり限界があると改めて感じました。

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