厚労省を質問攻めにする嘉山委員 ─ 11月6日の中医協で
「ですから、まさに佐藤君が答えた通りで、今の医療崩壊を招いたのはそこなんですよ。つまり、あなたは『算定した』と言っているけれども、医師の技術料があまりにも低いために医師が立ち去り型になって崩壊したんです」─。新体制3回目の中医協で、嘉山孝正委員(山形大学医学部長)が厚生労働省を質問攻めにした。(新井裕充)
2010年度の診療報酬改定に向け厚労省は11月6日、中央社会保険医療協議会(中医協)の基本問題小委員会を開催した。産科・周産期、救急医療についてヒアリングを実施した後、初・再診料の議論に入った。
審議の後半で、嘉山委員が「医師としての立場と国民としての立場で、『不思議だなあ』と思うことがある」と前置きした上で、厚労省側に4項目の質問をぶつけた。このうち、外来管理加算の「5分ルール」については、次のように質問した。
「(外来管理加算の)『5分間ルール』ができたのを知って私はびっくりした。患者さんという人間を相手にしているので、時間で制限するというのは何となく患者さんをバカにしているか、国民をバカにしているのかという感じがして、『このルールは何とかならないのか』という感じがしているので、教えていただきたい。例えば、私が良性の脳腫瘍を手術して、(再診で)患者さんが何を聞きに来るかというと、再発があるかどうかだけを聞きに来る。信頼関係があれば、『元気でやっていいよ』と言うのに30秒もかからない。ところが、初めての患者さんは30分とか40分かかる場合もある。人間を相手にしているので、『5分間』という人頭税のような概念を持ってくるのは非常に非人道的な気がするが、いかがだろうか」
この質問に対し、遠藤久夫会長が「どうするかということについては(次期改定に向けた)検討項目にはなる」と回答。厚労省がコメントしないまま議論が終わるかに見えたが、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も「これを療担規則に書いたというのは非常に変な話だとずっと感じている。医師の診療行為について指示を受けるのは非常に不快な話」などと批判した。詳しくは、次ページ以下を参照。
【目次】
P2 → 厚労省を悩ませる「4つの質問」
P3 → 「佐藤君が答えた通り、医療崩壊を招いたのはそこ」 ─ 嘉山委員
P4 → 「DPCをやめるんですね?」 ─ 嘉山委員
P5 → 「私自身も時間で縛るのはいかがかと思います」 ─ 支払側委員
P6 → 無診投薬は、未受診投薬要請」 ─ 安達委員
P7 → 「5分ルールで大混乱」 ─ 嘉山委員