新型予防接種、結局いつ受けられるのやら。

投稿者: | 投稿日時: 2009年11月05日 16:41

先日も書いたとおり、妊婦用として保存剤を含まない新型インフルエンザのワクチンが、産科・婦人科で今月16日から接種開始となる予定です。


私が現在通い、出産を予定している近くの産婦人科でも、祝日明けの昨日から予約受付を開始しました。予約は電話で行うこととなっており、所定の受付時間は1日のうちたった1時間です。私は昨日は電話することができなかったため今日、受付開始時刻ぴったりに電話をかけました。


ところが・・・。

案の定、開始時刻直後には、電話は通話中でまったくつながりません。こちらもそれは予期していたこと。電話を2台用意し、両手でかけ続けました。すると、約10分後に片方の電話が呼び出し音をキャッチ。何十秒か鳴らし続け、ついに受付の人と話すことができました。


しかし、結論から言うと、今月の予約はすでにいっぱいで、「来月の再入荷を見込んでの仮予約」のみ、「本予約のためには再度、今月中旬に電話してください」とのことでした。ちょっとの差で予約が埋まってしまうことを思うと、この本予約のための日付のあいまいさは、気が気ではありません・・・。聞けば、昨日の1時間で16日~25日までの予約が埋まり、今日も開始後数分で残りの分が埋まってしまったそうです。それでもなお、私が話している向こうで、別の数台の電話がひっきりなしに鳴っていました。


12月の接種さえ仮予約、本予約はまた別途必要、となると、正直安心できません。そこで区のホームページでつい先日公開された新型のワクチン接種を行う医療機関リストから、別の「妊婦対応」の医療機関にあたってみることにしました。ちなみにわが区は面積も広く、しかも近年マンションラッシュで、ちょうど子供を持とうという比較的若い世帯が都内でもかなり突出して急増しています。だというのに、見てみると産婦人科のある医療機関は合計でも10ありません。しかも実際に電話してみると、区の表では「妊婦対応」となってはいても入荷されたワクチン量が少なく、まだ(この期に及んで!と思いますが)対応未定の病院があったり、「かかりつけ患者のみ」となっていなくても実際には近所の病院のようにかかりつけ患者だけで予約いっぱいという医療機関がほとんど。また、当日先着順というところはかなり遠くて実質的にあきらめざるを得ない状況です。


ガーン。あせることはない、優先順位が高いと思っていたからがっかりするだけで、来年に接種することになりそうな人たちよりは贅沢だ(もし12月中に受けられれば、ですが)、とは思っても、やっぱりちょっとショックです。


いくら国が「優先的に」と言ってくれていても、やはり現場が追いついていないということでしょうか。先日も触れましたが、「プレフィルドシリンジ製剤」(=あらかじめ注射器にワクチンが成人1回接種量(0.5ml)充てんされているので保存剤不要)の代わりに、大幅に大容量の「バイアル製剤」(=必要分を注射器で抜き出して使うので保存剤必要)の生産を増やした結果、迅速に医療機関に前者が行き渡らない状況になっているのではと思ってしまいます。のみならず、インフルやその他、この季節に流行する病気の患者(胃腸炎など、何度もかかるので本当に嫌になります)も押し寄せるわけですから、接種ばかりに現場の人手が回らないというのもあるでしょうね。


ワクチン自体は生産を継続しているのであれば、いずれにしても待っていればいつかは接種ができるのでしょう。しかし、遅すぎれば意味がありませんよね。とくに子供がすぐに病気を持ち込む我が家では、ワクチンへの期待は大きかったのです。ちなみに、わが区では、1歳~未就学の子供のワクチン接種開始日も国の予定する12月でなく今月16日からに前倒しを決定しました。そちらのほうはいわゆる「バイアル製剤」でしょうから、妊婦用よりは滞りなく出回るものと想像します。しかし、いずれにしても現場の人手の問題もあるわけですから、こちらも1日の接種人数には当然限界がありますし、どうなることやら、です。なお、これもわが区のことですが、妊婦や未就学児は、区から助成金が出て、1回あたり1000円(2回で2000円)で接種できます。小・中・高校生相当の年齢の人と65歳以上の高齢者は1回接種で2000円。生活保護家庭等は無料となっています。悪くない計らいですが、それより迅速に接種を受けたいというのが本音です。


というわけで、国は一方で盛んに妊婦の接種を推奨しているのに、実際には、受けたくてもなかなか受けられない。今までちょっと楽観していたのですが、懸念が現実になりそうです。

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コメント

お察しいたします。
うちでも、医療従事者においてすらもままならない状況にあります。職員17名に対し8名分しか供給されませんでした。
ハイリスク患者の見積もり180名分に対しても第一次入荷は25名分しか供給されません。
季節性インフルエンザワクチンも千葉と横浜では、もうほとんど残っていないとか。
これらは、新型インフルエンザの流行という突発事故であって一概に国のせいにはできませんが、製造メーカーに増産できる設備投資資金があればもう少しましになっていたのかなとも思います。
昔、どこかに書かせていただきましたが、あまりに無駄という余裕を削りすぎたばかりに、いざというとき対応できない医療システムができあがってしまっていたわけです。

一内科医さま

やはり第一優先であるはずの医療従事者の方々にも行き渡っていないのですか(風のウワサでは、開業クリニックより病院のほうが状況が厳しいと聞きましたが・・・)。
ご指摘のとおり、感染症の性質としてこうした「突発事故」は回避しようがないものですから、本来ならそれを見越したシステム構築が必要なのですね。そのために医療にとっての「無駄」とは何か、何が社会にとって本当に「無駄」か、経済の単一モノサシではかれないもの、はかってはいけないものを、きちんと議論していかねばならないはずなんですよね。

堀米様

仰る通り、期待していたからがっかりするのであって、「優先」と言った人が悪いのか、「優先」を「今すぐ」ととらえた人が悪いのか、難しいけれど面白い問題ですよね。
ワクチン接種後にその効果を期待できるのはおよそ1か月後からですが、「優先接種」によって既に接種を受けた方の中から新型インフルエンザと思われるインフルエンザに罹患する方が出ています。すなわち、今回のワクチンが100%の効果を上げるとしても接種開始が間に合わなかった人たちが結構いるという事です。言い換えれば今回厚労省がどういう風に全国にワクチンを割り当てたのかは知りませんが、手遅れの地域の人々に接種してしまったという事です。
これまで優先接種は若年者とすべきと思っていましたが、流行予測によって若年者を優先すべき地域と、成年を優先すべき地域と、老人を優先すべき地域を区別すべきかもしれません。
新型インフルエンザについては各国がかなり詳細な統計データを出してくれていますので、流行に関係する因子を洗い出してくれる研究者が現れることを切に望みます。今怪しいと思っているのは、気温、湿度、風向と風速、気圧配置、偏西風の経路です。ヒトの移動および人口密度はあまり関係有りませんし、濃厚接触と言われる飛沫感染はごく小規模にしか関係せず、大規模の流行には別のファクターが働いていると考えないと神奈川・東京・埼玉・千葉の流行だけでも説明がつきません。要するに厚生労働省が言っていることも、WHOが言っていることも、CDCが言っていることも、「専門家」と自称している人々がいていることも、統計を見る限り「うそ」です。

もうひとつの問題は厚労省の「ええかっこしい」です。前大臣は全員分あると言ってみたり、優先対象者を発表してみたり、挙げ句の果てには、まだ医療機関が発注すらしていないのに、某日から接種開始と情報を流してみたり、これには本当に困りました。今でも受付は電話対応に追われています。
こういうパニックに陥る可能性のある状況では、適切かつ正確な情報を提供すべきなのですが。

>厚労省の「ええかっこしい」

水際作戦・検疫実施の時とまったく同じですね。あれ以来ずっと厚労省が連発する対策で国民全体が非常な迷惑を蒙っています。政権交代しても実際の行政は何も変っていないようですね。

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