ヒブワクチン、10ヶ月待ちって・・・。

投稿者: | 投稿日時: 2009年12月04日 16:06

このブログではこれまで、ワクチンといえば新型インフルエンザのことばかり触れてきました。しかし我ながら気にかかりつつも、きちんと検討せずにすごしてきてしまったものがあります。ヒブワクチン。ロハス・メディカルのニュースでもちょうど1ヶ月ちょっとまえに、定期接種を求める署名提出勉強会について報じられていました。

ヒブワクチンは、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)による細菌性髄膜炎を予防するもの。接種は、生後2か月から5歳未満の乳幼児が対象です。

私はのんきで、もうすぐ3歳になる長男が生まれたときにはまだ国内未販売、昨年の販売時にもほぼ2歳だったこともあり、なんとなく敏感に反応・対応せずに、ここまでずるずる来てしまった感じです。それでも長男もまだ3歳、来年生まれる子供ももちろん、きちんと受けさせたいと今更ながら思っています。


ただ、問題が2つ。まず費用負担。任意接種ですから、子供2人となればかなり頭の痛いところです。そして何より、そもそもワクチンが足りていないようなのです。

それでもこの細菌性髄膜炎、5歳未満の子供の2000人に1人の割合で発症し、その5%が死亡、25%に聴覚障害や発達の遅れなどの後遺症が残るといわれています。怖いのは、初期の症状がふつうの風邪に似ていて、小児科医でも判断が難しいらしい点。まして素人の親にはわかりようがありませんから、家で様子をみていよう、なんて思っている間に髄膜炎を発症して、取り返しのつかないことになってしまうかもしれないのです。


そういうこともあってか、WHOでも定期接種を勧告しているとのこと。実際、世界100カ国近くで定期接種が行われているようですが、日本では昨年12月からヒブワクチンの販売が始まったばかり(アクトヒブ:第一三共が輸入・国内販売)。ちなみに同じく細菌性髄膜炎を引き起こす「肺炎球菌」については、小児用のワクチンは来春にようやく市販が開始されるようです。


そしてこのワクチン、費用が1回当たり7800円強もするのです。任意接種ですから、もちろん通常は自己負担(一部、助成している自治体もあるようですが、足りていないため抽選など行っており、希望者が等しく受けられるわけではないという問題もあるようです)。そして、完了までに4回接種しなければならないというのです。単純に考えて、子供二人なら約7800円×4回×2人=約60000円!これは我が家にとっては予期していた以上の大きな負担です。とはいえ、子供の健康には代えがたい、というのが子育てをしていて一番実感していること。保育園へ預ければそれだけリスクもかなり高いようですし、とりあえず最低でも1回は早めに受けさせておきたいものです。


ところが、それよりなにより、ワクチンが全国的にぜんぜん足りていないというのです!現に今回、私も近所の医療機関について調べてみると、いつもお世話になっている小児科では新規受付を長らく停止したままになっていますし、今かかっている産婦人科では予約は受け付けているものの、今申し込んでも接種できるのは来年の9月末~10月とのこと。気が遠くなります。ちなみに、院長先生がロハス・メディカルにご監修等でしばしばご協力くださっているナビタスクリニック立川では、半年以上も前からワクチンを個人輸入して接種を行っているそうです。内容は第一三共経由で販売されているものと同じですから安心ですし、もうすこし家が近ければ間違いなく受診するところ。その積極姿勢にも頭が下がりますが、世界の多くの国で定期接種が行われているワクチンなのに個々のクリニックが独自にそこまでしないと手に入らない、という状況はいかがなものでしょうか?


それもやはり、日本では定期接種が行われていないことが、まず大きな理由ではないかと思えてなりません。季節性インフルエンザも定期接種でなくなると同時にどんどん供給量が減っていきました。ましてヒブワクチンは国内製造されていないのです。


そんな中、少しだけ希望が持てるのが、つい先日の、独自の立場から予防接種行政に提言する専門家組織の設置について、厚生労働省でも検討が始まったという報道です。これはアメリカのACIPをお手本とした、いわば日本版ACIPともいうべきもの(ACIPについてはこちらが詳しいです。日本の予防接種体制の問題点も明確に指摘されています)。ヒブワクチンにかぎらず、全般的に「ワクチン後進国」と揶揄される日本でも、ようやくワクチン行政の強化に乗り出す、ということに本当になればよいのですが・・・。


これまで日本では、ワクチンによる副反応の側面が強調されてきた経緯があり、そのために定期接種化が進まない、あるいは後退してきたという話も聞いています。副反応の責任を誰が取るか、という部分がひっかかってお役人が逃げ腰になり、定期接種化を避けてきた、ということでしょうか。しかし副作用のない薬がないように、副反応のないワクチンもありません。それでもその効果の大きさ、助かる人、子供の数を考えれば、無過失補償や免責制度の整備を急ぎ、ワクチンの安定供給を積極的に図ってもらいたい、と思うのは当然ですよね。


ヒブワクチンに話をもどせば、0歳児が一番危ないということ。1回目は早ければ生後2ヶ月で接種するのがよいようです。しかし現状では、長男でさえ今から10ヶ月以上先、もうすぐ4歳、というころになってしまいます。そしてもっと危ない新生児の次の子は、無事生まれても、半年たっても予防接種の順番が回ってこないのです。その間、ひたすらラッキーなことを祈るしかないんですよね・・・。

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コメント

堀米さん、お子さんたちを守るために、もっともっと発言していってください。
  かつて母親達の力がポリオワクチンを(旧)ソ連から緊急輸入させたように、行政を動かすには、大きなうねりが必要です。副作用に対する唯一の現実的対応策は公的無責賠償であることは共通認識になってきました。公衆衛生・公共の福祉が個人の権利よりも優先するという市民社会のルールをねじまげてきた日本のワクチン行政に一日も終止符を打ちましょう。

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