救急隊は「処置」と「搬送」、どちらを優先すべきか―消防庁の搬送実態調査

投稿者: 熊田梨恵 | 投稿日時: 2010年02月16日 19:03

 総務省消防庁は16日、昨年末に国内で救急搬送された心肺停止状態の患者に関する実態調査の速報値を公表し、救急隊の現場滞在時間と搬送一カ月後の生存率、社会復帰率についての相関図を示した。現場滞在時間が34分未満であれば一カ月後の社会復帰率に大きな差は見られないとして、同庁救急企画室の溝口達弘救急医療専門官は「一分でも早く搬送すればいいというものではなく、(搬送前の)処置の中身をきちんとしていくことも大事では」と述べ、医療界で言われる「救急救命士の医療行為がなければもっと早く搬送でき、患者も助かる」という"エピソード"に否定的な見解を示した。(熊田梨恵)

続きはこちら

<<前の記事:「いいチームになった」 ─ 揺れた中医協の診療側に一体感 コメント欄    子宮頸がん予防(HPV)ワクチン、サーバリックス接種:次の記事>>

トラックバック

 総務省消防庁は16日、昨年末に国内で救急搬送された心肺停止状態の患者に関する実... 続きを読む

コメント

> 12月1日から14日の間に搬送された5020人

 単純計算でこれを26倍すると、心肺停止患者のおよその年間搬送件数が推計できます。ざっと13万人というお話になります。

 実は自分は、こんなに心肺停止患者の救急搬送が行われているとは思っておらず、びっくりしています。年間全死亡者数の11〜12%相当です。

 提出されたグラフだけでは、確かに現場活動時間と生存率・社会復帰率に相関があるようには見えません。年齢別、疾病別、活動内容別、bystander CPRの有無、覚知から医療機関到着までの総時間など、さまざまな因子が影響している中での数字であり、今後は類型化やリスク調整した上での検討が必要と思います。

 消防の記録様式の統一が進んでおり、データ収集による研究の進展を期待しています。

 ただ、僻地勤務の経験から、そういう地域では重症患者の搬送中の心肺停止予防まで辿り着かないと、予後改善効果は期待できないだろうとずっと思っています。最初からターゲットが違うので、全く別の話ではありますけれども。

コメントを投稿


上の画像に表示されているセキュリティコード(6桁の半角数字)を入力してください。