「いのちの授業~がんを知る」小金井一中最終パート |
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投稿者: 川口利 | 投稿日時: 2012年06月21日 22:59 |
吉野さんへのインタビューが終わり、第三部:まとめと質問タイム、へと移りました。導入部のノリからいくと、質問タイムではたくさん手を挙げてくれるのではないかと期待が高まりました。
まとめ部分のキーワードは、「いのちと向き合うこと」です。まず、今「いのち」があることを当然だと思うかどうか尋ねてみると、1年生が2~3人「当然だと思う」に手を挙げましたが、より多く上がったのは「結構偶然が重なっていると思う」の方でした。しかしながら、導入部での反応と比較するといま一つ鈍い感じ。話を聴く時間が長く、少し疲れてきたのかもしれません。吉野さんのパート途中にも、何か生徒を巻き込むような工夫が必要かもしれません。
「いのち」があるのは当然ではないことは、吉野さんのお話からも分かりました。では、「いのち」とは何のか? もう一度考えてみることにします。生徒たちには、「命」と「いのち」と2通りの書き方ができるのに、この授業ではずっと「いのち」を使ってきた、なぜか? について解説しました。以前に書いたとおり、「命」は生命体として(人間として)生きているという意味の「イノチ」であり、「いのち」は「命」を輝かせるためにいきいきと生きる「イノチ」と考えてみてほしいことを伝えました。
この後、「いのちと向き合うこと」とは何かを分かってもらうために二つのポイントを話したのですが、これも詳細は30日の第2回授業終了後にご披露させていただきます。
さあ、いよいよ質問タイムです。誰か1人手を挙げてくれれば、芋づる式に質問が出てくるはずです。問題は最初の1人が手を挙げるまでにどのくらいの間が空くか、すぐに出てくれればそのまま自然な流れで進んでいきますが、ここで止まってしまうと重苦しい雰囲気になってしまいます。
導入部の最後で「脳卒中だと思う」と答えてくれた1年生の女子が挙げてくれました。どんな質問が出るのかな? と思ってマイクを渡したら「吉野さんに質問です。元ミス日本ということですが、その時に追っかけとかはいましたか?」という、全く授業とは関係のないものが出てきました。それでも「追っかけはいませんでしたが、マネージャーにしてほしいという申し出があったり、ストーカーみたいな人がいたことはあります」と、吉野さんが丁寧に答えてくださいました。すると、その後2人、今日既に発言してくれている3年生の男子からも同じように授業とは無関係の質問が出てしまいますが、吉野さん、久住さんともに、真面目に答えてくださっています。
いや、これは……と思っていたところで、2年生の男子からやっと核心をつくような質問が出てきました。
「医者として仕事をするうえで、或いはがんと闘っていくうえで励み(支え)となっているのはどのようなことですか?」
この質問には久住さん、吉野さん、お二方にそれぞれお答えいただきました。
久住「患者さんの笑顔を見たり、よくなりましたと感謝されたりすること」
吉野「生きていることに感謝することと、久住さんや川口さんも含めて、仲間とのつながりを大切にすること」
これに刺激されたか、次に3年生の女子から出された質問は
「がんを予防するにはどうしたらよいですか?」
これには久住さんにお答えいただきました。
「完全に予防することはできない。早めに見つけるため、一定年齢になったらがん検診を受けること。免疫力を保つため、過度の肉体的・精神的ストレスを避けること。生活リズムを保ち、食生活を充実させ、適度に運動すること。たばこは吸わないこと。焼き魚の焦げは、発がん物質を含むかもしれないが、魚を食べる健康上のメリットもあり、あまり気にしなくてもよいと思う」
非常に具体的にお答えいただき、生徒たちもよく理解できたのではないかと思います。
ようやく調子が出てきたところですが、始まりが10分遅れになっていますので、終了予定時刻は既に過ぎています。あと1人と言ったところで、複数の手が上がっています。最後はジャンケンで一番負けた人にチャンスをあげることにしました。
当選したのは2年生の男子。
「2人に1人ががんになるということですが、がんになってしまったらどうすればよいですか?」
まず、医師の立場から久住さん。
「よくコミュニケーションのとれる医師に相談する。自分の病気の状態を把握する。治療の選択肢の中から、自分の人生の状態に適合した治療を選択する」
続いて、患者の立場から吉野さん。
「あきらめないこと。前向きに生きていくこと」
吉野さんからは、まさにご自分の生き方を再度お伝えいただいた感じがしました。
最後に、久住さんと吉野さんから一言ずつコメントをいただき、授業は終了しました。
ほぼ成功したと言えると思いますが、少し気にかかる点もありますので、再度確認して次回30日の授業に活かしたいと思います。
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