報告書から消えた「学会から独立した中立的な」の文字 |
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投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2016年12月09日 00:00 |
昨日からの続き。
新専門医制度発足にお墨付きを与えた『専門医の在り方に関する検討会』が、当初は医師の偏在緩和を主たる目的として開催されていながら、新専門医制度ではむしろ医師を偏在させるという批判が強く導入延期となった、どこで話がおかしくなってしまったのか、という件。
議事録をずっと追いかけているうち、2012年8月時点の中間まとめと翌2013年4月の報告書とで、かなり文言の変更が行われていて、その中には今から見ると重大と思われるものもあると分かった。
ちなみに、この時点で中間まとめが行われたのは、検討会の主宰者である厚労省の医政局長が9月に大谷泰夫氏から原徳壽氏に代わったためと思われる。大谷氏は事務官、原氏は医系技官である。
例えば、報告書では
専門医の認定機関について
○ 専門医の認定は、第三者機関が学会との密接な連携のもとで行うべきであり、そのような第三者機関を速やかに設立すべきである。このため、医療関係者や国民の代表等からなる準備組織を設ける必要がある。
となっていた部分の冒頭に、中間まとめでは
専門医の認定機関について
○ 専門医の認定は、学会から独立した中立的な第三者機関が学会との密接な連携の下で行うべきであり、そのような第三者機関を日本専門医制評価・認定機構の提案や本検討会の議論を踏まえて速やかに設立すべきである。(強調は筆者)
という文言が書き込まれていたのだ。
新制度迷走の大きな原因になったのは、学会幹部も兼ねる大学教授たちが、大学でしか受けられないような研修プログラムをゴリ押ししようとしたため、と若手医師を奪われることになる市中病院関係者や研修を受ける側の若手医師たちからは受け止められている。
検討会当初の趣旨から言えば、「第三者機関」である日本専門医認定機構は、そのような学会のエゴを排除して日本全体のことを考えなければならなかったのに、それが全くできていなかったために批判が噴出したわけだ。その遠因が、ここにもありそうだ。
では、この文言を削らせたのは、一体誰なのか。。。
(つづく)