基本とするとしている

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2017年01月07日 00:00

直近の記事から2週間以上経ってしまったが、今年も専門医制度について書いていきたい。今日書こうと思ったのは、坂根みち子医師の『絶望の専門医制度』というハフィントンポストへの投稿を読んだからだ。


昨年12月16日に日本専門医機構の専門医制度新整備指針が公表されたことをご存じの方は多いと思う。


私も、公表された時にザーっと読んで、一般の人にも分かるように問題点を指摘するのは、なかなかホネだな、としばらく放置していた。が、上の坂根医師の文章を読んで「えーっ、そんなこと書いてあった?」と驚いた。

この先、医師は必ず何らかの専門医になる、そしてそのために卒後5年以上指定されたところで研修しなくてはいけない、のだそうだ。

6年かけてやっと卒業したと思ったら、いきなりあと5年の研修が全員に課せられてしまったのである。


そんなことを定めているのだとしたら、それは誰が見てもおかしい。


慌てて新指針を読み返してみたところ

「専門医の在り方に関する検討会」(厚生労働省)の最終報告書によると、今後の日本の医師は基本領域学会専門医については、その専門医の定義や位置づけに鑑み、いずれかの専門医を取得することを基本とするとしている。このようなことから、今後、あらたに医学部を卒業し診療に携わる医師は、原則としていずれかの専門領域を選択しその基本領域学会の専門研修を受けることを基本とするが、専門医制度は法的に規制されるべきものではなく、基本領域学会専門医については、適正な基準のもとに施行されるべきである。

の部分が、解釈の元になっていると思われる。


「基本」を逸脱した医師が日本で診療の場を得られないのだとすると、坂根医師の解釈は実質的に正しいことになるが、こんな誰が責任を取るのかも定かでない
>基本とするとしている
で、これからの医師の人生が縛られるのだとしたら恐ろしいこと、この上ない。


医学生たちが騒がないのは大変に不思議だ。


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