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ニュース〜医療の今がわかる

谷川武・筑波大学大学院助教授インタビュー

――何が原因ですか?

 睡眠時無呼吸は、仰向けになった時、のどの筋肉がたるんで落ち込み上気道を塞いで起きます。最も大きな原因は、解剖学的特徴に加えて肥満で上気道が狭くなること、と考えられています。一般に、体重が5キロ増えると、上気道の内径が1ミリ細くなると言われます。よって根本的な治療法は痩せること。即効的にしのぐのがCPAPということになります。

――日本ではどのように取り扱われてきましたか?

 SASの正式な診断法は、一泊入院して終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を取る大掛かりなものなので、日本で一般人を対象に調査するのは容易ではありませんでした。そこで我々は指先の酸素飽和度を測るパルスオキシメーターを使って簡便にスクリーニングしたらどうなるか検討してみました。結果、酸素飽和度でも、 かなり精度よく要治療者を見付けることができると分かりました。また、2000人程度の母集団に対して7~8%は要治療という結果が出てきました。

 私たちの研究で分かってきたのは、日本人の場合、必ずしも太っている人にだけ発生するのではないということです。日本人の7割が弥生人顔、3割が縄文顔と言われていますが、弥生顔の場合は痩せていても有病率が高いのです。また、痩せている人の場合、パルスオキシメーターだけでは見落としもあるようです。

 このため現在は、顔につけて鼻と口の気流を検知するフローセンサという簡易装置でスクリーニングを行うようにしています。この手法の有効性は経済産業省の事業で調査して確かめました。この成果を広めるために、NPOと筑波大学発のベンチャーを作りまして、自宅でできる簡便な検査として受け付けています。この検査は費用の半額をトラック協会などが助成しているのですが、残念ながら 受ける人はあまり多くありません。

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