舛添要一厚生労働大臣インタビュー
――総理の「5つの安心プラン」の中で「厚生労働行政改革」だけ妙に異質と思うのですが。
それはまさに医療確保ビジョンも同じ発想で、今から介護ビジョンもやろうと思っているのだけれど、こういうことすらできなかったのが、医者が足りないのに足りてますと言い続けたってのが、厚生労働省の体質。自分で言うのもおかしいけれど普通の大臣なら、医者が足りませんって言うところまで持ってこれないですよ。
私だからできている面があって、みんな批判するんだけれど、言ってしまうんですね国会で。はい足りませんよ、と。世論に対してもテレビなんかでも足りませんと言う。ウソをつくな、と。その闘い、それは肝炎なんかでもみな同じですよ。ウソをついて大臣が言おうが何をしようが勝手気まま。それはもう許さないよ、と。だからこれはもう改革ですよ。言うことをきかないヤツは首を切ると。だから例えば、医学部を出て免許を持っているか知らないけど、インターンぐらいやったかもしらんけど、臨床も何もやらないでずっとやってて、それで、あんた日本のお医者のトップに立つのかね、と。おかしいだろう、と。だから臨床やるかどうかは別にして、とにかく現場2年ぐらい、腕に自信がないなら病院の事務長としても入ってもいいから、とにかく病院の実態を見てくださいよ、と。そして帰ってくれば、いい政策ができる。
だから、まあ徹底的にやろうとしているのは技官ね。医系、薬系含め技官人事、誰も手をつけないで聖域になっている。私は東大法学部だから、事務官の局長かなんかは全部分かる。ところが局長でも医政とか健康局長なんかはGHQの指令で医師免許がないといけないことになっている、と。そんなバカなことはないんで。医師免許なんかなくたって、事務能力のある局長がいて、下の課長の何人かに優秀な医者がいればいい。その医者も臨床やったことない外に出たことないなんてのじゃなくて、ちゃんとやって患者の面倒を見たことある人。看護師でもいい。外の血も入れて交流していかないとダメなんで、まさに厚生労働省改革というのは、これまでの失敗とウソで塗り固めた状況を変えるということ。組織を変えてこういう組織にしますよというやり方もあるけれど、『医療ビジョン』もまさに改革そのもので、出ないですよ普通はこんなもの。まさに闘いなんで、医者の数が不足してますと書かないでくださいから始まるだろ、不足してますと書くまでにどれだけの闘いをやっているかね。国会も与野党を動員して、国権の最高機関である国会で大臣が足りないと言っているのに、役人が足りていると言うのなら、それはもう役人の首を切るしかないですよ。そういう現実に動かしていきながら改革します。組織変えして何局を何局に移す、何局を廃止する、そしたら改革かってそうじゃないんですよ。結局、改廃したところで人が変わらなければ変わらないんで。ボンと医療確保ビジョン。で、何とか審議会とか色んなものがいっぱいあったって、結局御用学者連れて来て役人の隠れ蓑。そんなもの役に立つわけないだろう。だからそれはもうやめるということであってね、審議会も中医協も含めてあらゆる関連のところを見直すと、そういうことなんです。国民のための仕事がどうしたらできるのかと、その観点だけに尽きると思いますよ。
そりゃ面白いよ。今回の医療ビジョンを俺がやるって言ったことがまずショックなんだけど、それがこうした形で実を結び、今日骨太の方針で確定するけれど医師不足がうたわれ、閣議決定が引っくり返され、社会保障や医師不足には財源を確保するということが書かれたこと自体が奇跡的なんですよね。顛末を小説にでも書いたら面白いものができるんで。だから、その方針をやるしかない、と。幸いそういうことができるのは国民が基本的に支持してくれているからですよ。役人が何と言おうと。国民の支持がなくなったらダメだから。だから国民がちゃんと支持してくれて、問責決議だって85%が俺に対してやるのは反対だから出せないんですね。85%の国民が支持しているヤツに問責出したら、出した方が怒られちゃう。それはちゃんと国民が仕事をしていることを評価してくれていると思うので、この姿勢を失わずにやるということですね。
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