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ニュース〜医療の今がわかる

臨床研修検討会1

文部科学省と厚生労働省の合同で『臨床研修制度のあり方等に関する検討会』というものが開かれた。何かと物議をかもしている新臨床研修制度の見直しをしようというもの。総選挙間近という政治状況なので、果たしてどこまで実効性があるのかは不透明で、そんなに焦って報告するほどのものとも思えないけれど、ビジョン検討会でも見た濃いメンツが集まっているので、それはそれでとりあえず面白かろう。

最初に鈴木文部科学大臣が挨拶。
「昨今、産科や小児科などの診療科、あるいは地域における深刻な医師不足が発生している。医師の養成と確保は喫緊の課題。政府としては骨太の方針2008で、文部科学省としても医学部入学定員の増員などで対策に取り組んでいる。その中で臨床研修制度が幅広い見識を持った医師の養成をめざすものである一方で、結果的に大学医局の医師を減らし地域への医師派遣能力を失わせる契機となったとの指摘があるのもご存じのとおり。効果的に質の高い医師を育成するには学部教育と卒後臨床研修とを一体的に捉え、臨床研修制度を見直す必要があるということで、厚生労働省との合同でこの検討会を設置した。省の枠を超え忌憚のない意見をいただきたい。結論が出た暁には必要な対策を可能な限り速やかに行っていきたい」

続いて舛添厚生労働大臣挨拶。
「先般、医療崩壊に対応するために安心と希望の医療ビジョンを矢崎先生を中心にお出しいただき、その具体化をここにいる小川先生などにおやりいただいた。その中で臨床研修制度について文部科学省と共同で検討会を設置して見直してはいかがかという提言をいただいたので、この会議を設置した。2つの点を強調したい。ひとつは二つの省が合同で行うということで、それは大学医学部の教育プロセスが両方の省にまたがっているにも関わらず、二つの省が合同でやる会議がなかったというのがおかしい。今の医学教育のありかたは本当にこれでいいのか大学6年間と卒後2年間でダブりがあるんでないかとか、臨床研修にしても興味がない科ではお客さんだという話も聞く。たとえば産科を3カ月回ったからといって分娩取扱いできるようにはならない。そういう問題を考えてほしい。それから、鈴木大臣からは臨床研修によって大学の医師派遣能力が落ちているという話があったけれど、元々研修制度は医師の水準を上げる、質の高い医師を育てるという目的があったわけで決して悪い点ばかりではない。良いところもきちんと評価したうえで検討しないといけない。

それからもう一つ、鈴木大臣がいる所で何だが、私もかつては大学で教える身だったわけで、魅力ある授業、魅力ある研修を提供しなければ、まともな学生が来るはずがない。プロフェッサーに魅力がなかったら来ないでしょと言いたい。そこで研究の能力と教える能力とは違うわけで、もし文部科学省が論文の数ばかり重視するような方針を取っているならそこは考えないといけない。論文の能力ばかりが能じゃない。その意味では、大学も同時に崩壊しつつあるという認識が必要だし、それに対して皆さんどう考えますかということも聞きたい。随分勝手なことを言うようだが、こんな状況であと何日大臣でいれるか分からないので言いたいことは言ってから辞めてやろうと思っているのでご勘弁いただきたい。大学も大学人も問われている、それが国民の目線で見た時に、どこに問題があるかということ。こういう時だからこそ、二つの省の枠にとらわれず自由にご議論いただきたい。大学の教育制度、医師の養成をどうするかにまでメスが入らない限り日本の医療崩壊は食い止められないと思う。みんなで、ぜひともいい制度を考えていきたい」


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