臨床研修検討会2
「ひとつ質問だが、長崎大は地域枠を持っていたか」
河野
「昨年からAO入試で5名取っている。定員枠が広がったら、今後20名まで増やしたいという希望を持っているので、新木課長ぜひお願いします」
辻本
「素朴な質問。大学病院がだいぶ被害者意識を持った発言に聞こえた。では、なぜ大学病院が研修医に嫌われたかについては、どう考えているのか。昔、大学病院の人から、病院の中で偉い順に、婦長・看護婦・医師・プロパー・犬猫ネズミに研修医という言葉があると聞いたことがある」
今井
「よく言われていた話だが、大学は教育と研究と診療をすることになっているけれど、それを担っているのはほとんど全部同じ人間だ。だから人員的に厳しい。看護師もトレーニングしなきゃいけないとか、普通の病院とはかなり異なる。それから雑用が多い。クラークがほとんどいない。先ほども高等教育費が少ないという話があったけれど、大学も予算が厳しい。結果的に人が足りない中で研修医が最下層でやらなければならない。そこに対する反発は当然あるだろうし、時代が変わって研修医のものの考え方も変わった。もっといい所でやってみたいと思うのは自然なことで、医局だけで元に戻すのは無理だ」
富田
「わたし自身、大学病院から逃れたい逃れたいと思いながら教授になってしまった身だ。思い返してみれば、先輩たちは手術は教えない、見て盗めというスタンスだった。つまり医師となった以上自ら学び取るんだ、教わるんじゃないということ。犬猫ネズミより下というのはブラックジョークであり、犬猫ネズミを研究材料として使い、その成果で医療を行っているんだから、そのことを理解していれば、まだ自分たちは犬猫ネズミよりも役に立っていないという謙虚さが必要。それをそうやってジョークにしてしまう浅はかさに愕然とする。笑い話にして、それがマスコミに面白おかしく取り上げられて曲解されて。我々は研究に使った動物たちを墓に葬ってお参りしている、そんなことも分からないのだろうか。
それから雑用が多いという話があったが、雑用って何?と言いたい。雑巾がけは、雑という文字が入っているけれど、そんなにイヤなことですか。お寿司屋さんになりたいと思って入っても最初は丁稚奉公で寿司なんか握らしてもらえずにテーブルを拭いたり水まきしたりさせられる。あれは根性論とか雑用とかではなくて、飲食店が食中毒やると命取りになるから、衛生の習慣を植え付けるためにやらせている。そういうことを理解せずに表面だけを見て雑用と笑われるのは非常に悲しい。もっと深い所を理解してほしい。
たしかに指導も厳しいだろう。しかし厳しく指導するのは良い医療者に育ってほしいと思っているからであって、そう思わなければ叱ったりすらしない。きちんとした医師に育てようとすれば厳しいことも言わざるを得ない。そういう厳しいことを教えようとすると若い人は嫌がるんだけれど、自分たちがどの程度のものなのか、謙虚な気持ちを持ってほしいと思う。そう考えれば大学病院は決して悪いところではない。ただ給料が安いことだけは私も悲しい」
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