医学生の会勉強会1
この日の講師は土屋了介・国立がんセンター中央病院院長。後期研修班会議の班長でもある。参加した医学生は当初申し込みがあっただけでも10大学約80人とのことだった。全学年いたが、中心は3年、4年のようだ。
勉強会とは言うものの、実際は学生たちが土屋院長に意見をぶつけるスタイル。やはり気後れするのか、最初はお行儀のよい質問が続いたが、段々と自分の体験に根ざした勢いのあるものが出てくる。いくつかご紹介する。
慶應6年男性
「自分の世代の反省として、学生が上の言いなりだったと思う。実は、慶應2年ストレートの臨床研修を希望していたんだけれど、慶應の定員が急に60人から55人に減ったという事件があって、減ったのは2年とも慶應のコースが15人から10人になった。その過程が問題だと思うのは、願書を出した後に突然減った。なぜこういうことになったのか、受験票と一緒に紙が送られてきて、厚生労働省からの強い要望と書いてあった。たとえ、この措置が医師偏在の解消に役立つとしても、いきなり学生に負担を押しつけるというのはおかしくないか。変えるにしても、学生の声を聞いてからするべきではないのか。今まで何も声を上げてこなかったから学生側も簡単にやられてしまうのだと思った」
土屋
「臨床研修制度のできた経緯を見れば、大学がまじめに医師を育てようとしていないことは明白。(中略)学生も考えなきゃいかん、その通りだが、患者さんにとってという視点を忘れちゃいかん。それを基準に考えていけばズレない。(後略)」
東大3年男性
「患者さんのニーズと言うけれど、そこに学生側のインセンティブがなかったらうまくいかない。地方に学生を行かせるというので、最初は予算つけちゃえという所から始まって、それでうまくいかなかったら読売新聞のように強制的配置にしろという意見が出てくるけれど、でもそんなことしたら、しばらくはいいけれど、医師をめざす高校生が減って、結局医師不足が進むだけだと思う。学生に対して、どんなインセンティブを与えればよいと思うか」
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