診察時間の目安、「必要でない」55.8%
厚生労働省の調査によると、外来管理加算の時間の目安について、「必要でない」(55.8%)と考える患者が「必要だ」(33.8%)よりも多かった。
2008年度の診療報酬改定では、外来患者が再診でリハビリや処置などをしない場合に加算される「外来管理加算」に、おおむね5分の診察をすることが新たな要件に加わった。表向きの理由として、懇切丁寧な説明を通じて患者とのコミュニケーションを十分に取るために「5分」という時間要件を入れたと説明された。
しかし、真の狙いは医療費の削減で、薬の処方せんを受け取るために来院する「お薬外来」での算定を抑制する目的だったとされる。診療所の再診料引き下げ問題で紛糾していた当時、厚労省の担当者は公益委員に、「5分要件を入れれば1時間に12人しか算定できないので、再診料2点分(1点は約120億円)が出る」と説得したという。「5分要件」の導入によって生じた約250憶円は、勤務医の負担軽減策に必要な財源に充てられた。
ところが、厚労省の試算以上に病院や診療所の経営を圧迫していることが問題視され、日本医師会をはじめとする関係団体から反発の声が上がっている。「患者の待ち時間が長くなった」との声も出ており、外来管理加算は岐路に立たされている。
こうした中、08年度改定の影響を調べている中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬改定結果検証部会(部会長=庄司洋子・立教大大学院教授)は4月22日、「勤務医の負担軽減」や「外来管理加算」など、昨年度に実施した5項目の調査結果について、厚労省が示した報告書案を大筋で了承した。
報告書案によると、外来管理加算の算定状況は病院で96.5%、診療所87.9%だった。外来管理加算を算定した患者1人当たりの平均診察時間は、病院7.3分、診療所7.5分だった。
「患者1人あたりの診察時間が長くなったか」との設問では、「大いにあてはまる」と「ややあてはまる」と回答した病院が44.6%、診療所では34.8%。「診療時間の延長が多くなった」との回答は、「大いにあてはまる」と「ややあてはまる」を合わせると、病院では35.0%、診療所では28.6%だった。