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後発品が進まないのは在庫がないから?

6月24日の中医協検証部会07.jpg 先発品と有効成分が同じで価格が安い後発品(ジェネリック医薬品)の使用がなかなか進まない。厚生労働省は後発品の使用状況について追加の調査を実施する予定だが、「薬局に在庫がないから」という理由に落ち着くかもしれない。とすると、"犯人"は誰になるのだろうか─。(新井裕充)

 医療費を抑制するため、国は後発品の使用を積極的に推進しているが遅々として進まない。過去2回の診療報酬改定で後発品の使用が進むように処方せんの様式を変更したが、効果は今ひとつ。

 後発品の使用状況について前回の調査では、「後発品の使用に関するボトルネックが薬局にあるものと推測される」と分析しており、薬局の取り組みが不十分であるとされている。

 これに対して、日本薬剤師会の山本信夫副会長は、「必ずしも薬局だけの責任ではない」と反論。在庫を用意しなければならない薬局の経済的な負担などを挙げている。

 後発品の使用が進まない理由について、診療報酬改定などを審議する中央社会保険医療協議会(中医協)では、「品質に不安」(日本医師会)、「広報が不十分」(同)、「医学・薬学教育に問題」(病院団体)、「損得勘定で動いている可能性」(専門委員)などが挙げられている。

 そこで、厚生労働省は前回よりも詳細な調査を実施して原因を解明する方針だが、1つ気になる点がある。それは、薬局が後発品について説明しなかった理由の選択肢に「後発品の在庫を持っていないから」という理由が新たに加えられること。
 
 中医協の遠藤久夫会長は6月24日の中医協・診療報酬改定結果検証部会(部会長=庄司洋子・立教大大学院教授)で、「在庫管理が大変だという理由で持っていないものを推奨しても仕方がない」と指摘した上で、「在庫を持っていない」という選択肢を入れることを提案し、了承された。

 調査結果は11月ごろに出る予定だが、もし「在庫がないから」という理由を挙げる薬局が多かった場合、"犯人"は誰になるのだろうか─。
 
 日本薬剤師会の山本副会長は5月20日の中医協総会で次のように述べている。
 「医薬品をつくる側にも多少の責任がある。 メーカーに対しても十分な指導を、つまり後発品が使用できるような環境をつくるということも含めて、ご指導いただかないと」

 なお、前回調査との違いについては次ページを参照。後発品の使用状況に関する「調査実施案」を大筋で了承した6月24日の中医協・診療報酬改定結果検証部会から。

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