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DPCは"アリ地獄"―退出ルールの大枠固まる

■「お仕置きを入れるのか」

4月27日DPC評価分科会2.jpg DPCからの退出について厚労省は、一定の猶予期間を設けることや、猶予期間中は「マイナスの機能評価係数を設定」することを提案。退出時期については、「改定が行われる年度の前年度末についてのみ認めることとし、その意志は6か月以上前までに示さなければならない」とした。

 このうち、大きな焦点となったのは「マイナスの機能評価係数」との文言。山口委員は「機能評価係数に関してマイナスはないと理解していた。こういうやり方をどんどんされると非常に圧迫されているような感じで、『猶予』しているのではなく『ペナルティー』を与えているような感じになるので、やめていただいた方がいい」と求めた。

 厚労省保険局の宇都宮啓企画官は「義務的なものを満たしていないことに対するマイナスなので、本来の(プラス評価の)機能評価係数の考えとは違う」とした上で、次のように言葉を濁した。
 「(DPC対象病院の基準の1つである)10対1(入院基本料)を満たさない場合の13対1や15対1に対する措置と同様のもの、その意味では新たにつくるということになる。あくまで義務としての基準を満たしていない場合に......、『特別な』というか、本来あってはいけない、そういうものに対してという発想で、ま、それがどうしても困ると言うのであれば、また、もうちょっと違う観点から議論しなければならない」

 これに対し、小山信彌委員(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)は、「決して困るという訳ではなく、それは当然」としながらも、「今、機能係数として、0.000......、あれを外すだけじゃ駄目なのか? お仕置きを入れるのか?」とさらに追及。
 宇都宮企画官は、「今は義務化されていないので、診療録管理体制加算を取っていればその分上乗せするということ。それが義務化されるということは、それを上乗せされた、もともとの、プラスマイナス零の段階で、そういう点数設定をするという意味。今、10対1も、その分、乗っかった形で入っている。自動的に、全病院に対して。だが、それを満たしていなければ当然、入っている分は引いてくださいと。それと同じ発想になる」と、あいまいな返答に終始した。

 西岡会長が「医療資源の投入量に合わせた点数になるという意味ですよね?」と確認を求めたが、宇都宮企画官は無言で苦笑いを浮かべるだけ。齊藤委員が「罰と言えばちょっと厳し過ぎるが、診療報酬上、放置できない問題だと病院が認識するような対応というのは、社会のルールとして当然ではないか」と声を強めると、大きくうなずいた。
 さらに齊藤委員は次のように述べ、「ペナルティー」の導入があり得ることをほのめかした。
 「(DPCに)入る時に、『そういうこと(減算)も起こりえますよ』を事前に周知徹底して、それでも良ければお入りくださいと。今はなんだか、われもわれもと、なりふり構わずDPCに参入しようという傾向があって、これは制度の健全な発展にとって憂うべきことなので、『事前にこういう不都合が発生しますよ』ということを、エントリーの病院にきちんと伝えておく仕組みがこれからは重要ではないか」

 発言中、宇都宮企画官は何度も大きくうなずいていた。

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