新人看護師、「辞めてもいい」―日看協副会長
■「看護師自身がキャリアを考える」
この検討会は、今年3月に舛添要一厚労相主宰の「看護の質の向上と確保に関する検討会」がまとめた中間報告を受けて設置された。
中間報告によると、免許取得前の基礎教育段階については、「現在の教育年限を必ずしも前提とせずに、すべての看護師養成機関について教育内容、教育方法などの見直し・充実を図るべき」としており、卒後の新人看護職員研修については、「(新人看護職員研修の)普及を図り、充実させることが必要」と提言している。
卒前教育の在り方については、4月28日に「看護教育の内容と方法に関する検討会」を開催し、現在3年の看護基礎教育を4年に延長するための議論を開始している。
次いで開かれた4月30日の「新人看護職員研修に関する検討会」では、卒後の研修制度について全国的な統一基準(ガイドライン)を策定するための議論をスタートさせた。
卒後研修に関する4月30日の意見交換で、羽生田俊委員(日本医師会常任理事)は「小規模な施設になればなる程、新人研修はしていない」と指摘。福井次矢委員(聖路加国際病院長)も、「看護師免許を取得するルートは(3年制の養成校や4年制の大学など)たくさんある。ルートにかかわらず、同じプログラムなのか、バリエーションを付ける必要があるのか」と尋ねた。
厚労省の担当者は「まさに多様なルートがあるので、そのようなプログラムが良いのか、この検討会でご議論いただきたい」と明確な回答を避けた。
坂本委員は、「現場では、養成のコースに応じて教育するのは基本的には不可能に近い気がする」とした上で、「保健師、助産師らに対しては、別建てで考えていかないといけない」と述べた。
庄野泰乃委員(徳島赤十字病院看護部長)は、「一つの病院では一つのプログラムでないと混乱する。必要最小限のバリエーションにすべき」、猪又克子委員(北里大病院教育看護科長)も「バリエーションがあればいいが、実際には難しい」と同調した。
同日の会合では、看護師の養成を医師のようなローテート方式で行うかどうかについても意見が交わされた。石垣座長は「4万5000人から5万人いるので、医師の臨床研修制度と同じようにはいかない」としながら、次のように述べた。
「最近、単科の専門病院が増えてきたので、卒業の時点で最初は救急の場で身に付けて、それから地元に帰って地方の病院で働こうとか、あるいは急性期をやってから高齢者の施設に行こうとか、看護師自身がキャリアを考えて病院を選ぶことが増えている」
同検討会は、来年3月の取りまとめに向けて8回にわたって開催し、「新人看護研修ガイドライン」の内容や普及方法などについて議論する予定。
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