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「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」第4回

重篤小児検討会第4回1.jpg 呼吸不全や多発外傷など重症の小児患者に対する救急医療体制の整備に向け、厚生労働省は5月13日、「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」の第4回会合で、24時間体制の受け入れなどを盛り込んだ「中間取りまとめ(骨子案)」を示したが、意見集約には至らなかった。(新井裕充)

 骨子案では、わが国の1-4歳児の死亡率が先進14か国でワースト2位である状況を踏まえ、▽搬送と受け入れ体制の整備▽小児の救命救急医療(3次救急医医療)を担う医療機関の整備▽高度な小児専門医療を提供する医療機関の整備▽地域医療と小児救命救急医療・小児専門医療との連携▽その他の整備(住民への周知など)―について、これまでの議論を整理した。

 このうち、「搬送と受け入れ体制の整備」では、都道府県が小児科医を構成員に含む協議会を設置して、小児救急患者の搬送と受け入れの実施基準を策定する必要性などを明記した。
 重症の小児患者を受け入れる体制については、「地域のメディカルコントロール協議会単位ではなく、都道府県単位で考える必要があるとの指摘があった」と記載したが、委員から「都道府県が中心となり、その下に地域のメディカルコントロール協議会がある」などの反対意見が相次いだ。

 「小児の救命救急医療(3次救急医療)を担う医療機関の整備」では、小児の救命救急医療を担う医療機関の要件として、「すべての重篤な小児患者について、診療科領域を問わず、24時間体制で受け入れることが期待される」としたが、「(期待ではなく)もっと強く表現すべき」「24時間体制を必要条件に入れてもいい」などの意見があった。
 小児の救命救急医療を担う医療機関の選定方法や、既存の救命救急センターに設置する小児救急専門の病床数、医師の確保などについては、これまでに出された各意見を併記するにとどめた。

 「高度な小児専門医療を提供する医療機関の整備」では、発症直後の重篤な時期(超急性期)と、この時期を脱した状態(急性期)に分けて、救急の受け入れ体制を整理。
 重症の小児患者が救急搬送される最初の"入り口"として、こども病院などの小児専門病院に「小児集中治療室」を整備するとともに、高度な小児専門医療が必要であれば、「たとえ急性期であっても小児集中治療室を設置した小児専門病院等へ転送する体制を整備するべきである」とした。

 「地域医療と小児救命救急医療・小児専門医療との連携」では、急性期を脱した後の転院をサポートする地域の体制を整備する必要性を指摘したほか、院内での体制にも言及。「急性期から慢性期までを一人の医師が主治医として担当する体制についても見直す必要がある」との意見を挙げた。
 
 最後の「その他の整備」では、以下の4項目を挙げている。
 (ア)小児救急医療体制の中に、新たに小児救命救急医療を位置付ける必要がある。
 (イ)小児の救命救急医療を担う医療機関を医療計画に明示し、住民へ周知する必要がある。
 (ウ)小児救急医療は地域内で完結することが望ましいが、小児の救命救急医療については、必要に応じて圏域を超えた連携を構築する必要がある。
 (エ)小児の救命救急医療を担う医療機関が、小児救急医療の臨床教育・研修の機能を果たしつつ、地域医療や地域保健に関与する必要がある。

 同日の会合では、小児の救急患者を受け入れる体制を中心に議論。既存の救命救急センターで小児救急が進まない原因として、診療報酬上の問題点や、救急医・小児科医間の連携不足などが挙げられた。
 同検討会は、次回5月29日に中間取りまとめを行う予定。

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