医療事故調 国会議員シンポ
『患者の視点で医療安全を考える連絡協議会』が主催し、6党6人の医師出身国会議員を集めたシンポジウム「医療版事故調~国会での十分な審議と早期設立を求めて~」が12日、都内で開かれた。会場との質疑応答に多くの時間が割かれたため、議員どうしが討論して各党の差異や接点を明確に浮かび上がらせるまでには至らなかったが、興味深いやりとりが繰り広げられた。少し丁寧にお伝えしていく。(川口恭)
『患者の視点で医療安全を考える連絡協議会』は、『医療過誤原告の会』、『医療事故市民オンブズマンメディオ』、『医療情報の公開・開示を求める市民の会』、『医療の良心を守る市民の会』、『陣痛促進剤による被害を考える会』の5団体で構成されている。この日のシンポジウムの趣旨は
厚労省が昨年6月「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」を公表し,民主党も「医療に係る情報の提供、相談支援及び紛争の適正な解決の促進並びに医療事故等の再発防止のための医療法等の一部を改正する法律(仮称)案骨子試案」及び「医療事故等による死亡等(高度障害等を含む)の原因究明制度(案)」を発表しました。とのこと。
しかし、その後、国会で医療版事故調査委員会(医療版事故調)の創設に向けた審議は行われていません。
医療事故再発防止、発生予防は早急に実現すべき国民的課題です。国会での審議、医療版事故調の早期設立が実現するよう、本シンポジウムでは、各党から国会議員の方々に参加いただき議論の緒を切っていただきます。
私の報告は、6人の国会議員全員が壇上に上がってからに絞る。
その前に簡単に模様を説明しておくと、まず主催者を代表して都立広尾病院事件遺族の永井裕之・医療の良心を守る市民の会代表が『シンポジウムにかけるおもい』と題してプレゼン。続いて登壇した大村秀章・厚生労働副大臣が「厚生労働省の第三次試案は、自民党の方向に沿って、私が作らせたもの。骨格は既に広く示している。それに対して患者さんの声、医療関係者の声、批判も寄せられている」と挨拶した。次いでコーディネーターとして大熊由紀子・国際医療福祉大教授と五阿弥宏安・読売新聞編集局次長が登場。国会議員5人が1人約10分ずつ簡単にそれぞれの思うところを述べ、6人目の自見庄三郎参議院議員(国民新党)はコーディネーターの静止も何するものぞ、時間大幅超過で熱弁をふるった。途中まで単なる過去の自慢話だと思ったのだが、最後にテーマと連関することが分かって驚いたので書き留めておく。
曰く「脳死と臓器移植の法案をつくったのは中山太郎さんと福島さん(この日も登壇した福島豊衆議院議員)と私。ただ家族が本人の意思を忖度してという条項には、弁護士出身の議員たちは絶対反対だった。そこを修正してしまったら、医療現場には絶対に応用できないと分かっていた。結果として臓器移植を待っている人が年500人いるのに移植できるのは5人。10年で5000人の人が助かるはずの命をなくした。法律家は、生命とは何か、科学とは何かを知らない。法律の世界が絶対な人は、人を殺す。医療事故調をつくるようなことは、臓器移植法と同じで、内閣が出す法律では絶対に止まる。国会議員が出して超党派でやるしかない」
では、いよいよ本題の報告に入ろう。