文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

医療基本法制定に4党議員前向き


鈴木
「私は教育基本法をつくるときの民主党の責任者だった。それから、医療基本法よりは少し先行して超党派でスポーツ基本法も進めている。戦後60年経って、根っこの部分から変えなければいけないものが続出しているということなんだろう。医療基本法で憲法25条を打ち出していくのは当然だろう。『健康で文化的な生活』の『健康な』を担うというコンセプトは素晴らしい。

そのうえで、ここまで詰まっているなら敢えてテクニカルなことを申し上げると、医療基本法なのか、医療・介護基本法なのか、健康基本法なのか、何でどういう順番でいくのか今後の課題になるだろう。それから、憲法というのは国家と個人との関係を規定したもので、その効力を中間団体にも適用できるのかというのは未だに議論が決着していない。医療の場合、医療機関という中間団体が重要な位置を占める。私人間効力というのだが、憲法の定める基本的人権に基づく権利行使を、個人が中間団体に要求できるか、判例はいくつかあるけれど確たるルールはない。

それから考え方として、職権主義と当事者主義というのがある。誰が担い手になるか。今までは国家主体。国に要求してやってもらうというのが一般的だった。これが職権主義というもので、引き続き重要なメインストリームであることは変わりないにしても、当事者間で基本的人権をどうやって保証していくか。全ての構成員で原則を再確認したうえで、みんなで了解したんだから、あなたも協力して下さいねという方式にして、権利の不足や侵害がある場合には、その原因となっている私人に対して直接求めて行く、これが当事者主義だ。1億3千万人の日々の行為に関して、いちいち権利の確保を政府に求めるのは、キャパの限界にブチ当たる。民民の努力を念頭に法を立案しなければならないだろう。この延長線上で、医師の権利と義務、患者や市民の権利と義務といったように、全ての構成員に努力義務が発生する。そこを一般の納税者、健康な人にどれだけ理解してもらえるかが重要なカギになってくるだろう。

EBMも大事だが、それと同じくらいevidence based policy makingも大切。事実に基づいて政策実現することが必要だ。4本目の柱に関しては、私は常々熟議の民主主義と言ってきた。関係当事者が全て入って議論することによって、プロセスに参加した人の理解が深まり、解が浮かび上がる。それぞれ何をしなきゃいけないかも分かる。それには現場主権が大原則であり、医療の場合の最大の当事者は患者であり、傍らにいる医療者、その方々が政策決定に加わるのは当然のこと。ただし色々な利益をどうやって代表するのか、利益を抽出することが難しい。例えば、難病に対する治療法を研究している人は将来それで治るかもしれない人の利益を代表している。一方で、現在具体的になっている利益もある。それと抽象的な利益とバランスをどう取るのかは難しい」

埴岡
「医療基本法でいくのか、医療介護でいくのか、健康基本法でいくのかという問題に関しては、我々もよく同じ質問をさせる。現段階での見解としては、タイミングとスピードが重要だろうと思っている」

小池
「4本の柱は肝となる適切なものと思う。前回70年代に医療基本法が検討された時以上に、必要性は増している。80年代の臨調、83年の医療費亡国論の流れのまま高すぎる窓口負担や医療崩壊につながっているし、後期高齢者医療制度にもつながっている。社会的弱者に対するアクセスを確保することが大切。公的保険があるのに窓口負担が3割もあるのは異常だ。それから国保が深刻だ。年収200万円から300万円の世帯で保険料負担が30万円から40万円もある。2割の世帯が払えてない。こうした事態を解決するためにも基本法は必要だと思う。難病や慢性疾患の予算は毎年毎年予算を決めていく不安定さがある。恒常的に確保していく必要もある。そのためにも基本法が必要」

埴岡
「皆さん丁寧にお答えになった。加藤さん、言い忘れたことなどあったら」

(更新途中)

 1  |  2  | 3
  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス