「400床以上の病院」は合格圏内―中医協・DPC評価分科会09年度第4回
■ 「特定機能病院」「400床以上の病院」「専門病院」は合格圏内
5月14日の前回会合では、「新たな機能評価係数」の絞り込みを進めるために、「各項目の評価指標についての集計の例」を提示。前回は、平成15、16、18年度DPC対象病院(360か所)のデータを使用したが、今回は平成15―20年度DPC対象病院(718か所)を病床規模などで分類した上で、症例数や平均在院日数などとの関係を調べた。
それによると、特定機能病院や病床規模が大きい病院に有利な結果が出ている。このため、「新たな機能評価係数」は、大病院を優遇する係数として働くことが予想される。
また、厚労省は同時に、「総合病院と専門病院を区別する基準」も示しており、専門病院は「複雑性指数」や「高度医療指数」で高い数値を出している。
このため、高度な医療を提供するDPC病院と、慢性期の病棟を併設するケアミックス型のDPC病院などを差別化していく方針を裏付ける有力なデータに仕上がっており、今後も同様の方向で議論が進むものとみられる。
前回会合では、「総合病院」と「専門病院」とを区分する基準を示したが、これに関する委員からの指摘はなかった。ある委員によれば、乱立するDPC病院を何らかの基準で差別化することは暗黙の了解であり、「あえてそこは突っ込まなかったのだろう」と話している。
問題は、DPC対象病院の9割以上が該当する「総合病院」の運命。
厚労省の分析によると、「診断群分類のカバー率」「救急車で搬送され、入院した患者数」「緊急入院患者数」などについては、「総合病院」に有利な数値が出ている。
このため、厚労省は「救急医療で地域に貢献せよ。さもなければ退出してもいい」というメッセージを発信しているように見える。
今回、厚労省が示した分析結果をまとめると、▽特定機能病院 ▽400床以上の病院 ▽専門病院―のいずれかに当てはまる病院類型が合格圏内。これらの病院は、「調整係数」が廃止されてもなお、「新たな機能評価係数」で補填される可能性が高い。
一方、標榜診療科が多い「総合病院」は、救急医療をどのような指標で評価するかによる。200床規模の病院やケアミックス病院などは、「高度な急性期入院医療を担う」という意味でのDPC病院として存続することは難しくなるだろう。
厚労省は既に、「新たな機能評価係数」の選定を7-10に絞っているとの声もある。今後の焦点は、「新たな機能評価係数」の候補に挙がっている項目の「指標」として何を採用するかに移る。
例えば、救急医療を評価する指標としては、「救急車で搬送された数」「緊急入院の数」など9つの候補が挙がっている。小児や精神科特有の指標も混在しているため、出来高払いとの調整(二重評価)が再び議論になることも予想される。
いかなる指標を採用するかによって、「新たな機能評価係数」として導入された各項目の"重み"が変わってくるだろう。