チーム医療の中心は薬剤師―DPC評価分科会
「薬剤師の病棟業務は、医療の質にとって非常に重要なファクター」「(病棟薬剤師を評価しないと)病院のチーム医療は進まない」―。病院の機能によって診療報酬に差を付ける「新たな機能評価係数」について審議している中医協の分科会で、病棟薬剤師の配置を評価することに賛同する意見が相次いだ。(新井裕充)
中医協の診療報酬調査専門組織「DPC評価分科会」(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)が6月8日に開かれ、2010年度の診療報酬改定で導入される「新たな機能評価係数」について議論した。
その中で、日本病院薬剤師会(堀内龍也会長、日病薬)の常務理事を務める佐藤博委員(新潟大教授、医歯学総合病院薬剤部長)が、「DPC病院における薬剤師の病棟業務に関する実態調査」の結果を示した。
調査は今年3月、08年5月時点でのDPCを導入している1428施設を対象に同会が実施し、1017病院から回答を得た(有効回答率65.3%)。
それによると、▽DPC対象患者100人当たりの薬剤師数は5.31人(全施設の中央値) ▽「薬剤管理指導料」など診療報酬で評価されている薬剤師数を除いた病棟薬剤師数は、DPC対象患者100人当たり0.32人(中央値) ▽「薬剤管理指導」などに従事する人数も含めた病棟薬剤師数は、DPC対象患者100人当たり1.26人(同)―としており、診療報酬で評価されていない業務での薬剤師の配置が薄い実態が浮き彫りになった。
調査ではまた、特定機能病院(平成15年度DPC対象病院)について、DPC対象患者100人当たりの病棟薬剤師の数が多い施設の方が平均在院日数が短い傾向にあることも明らかになった。
佐藤委員の報告に対し、「病棟薬剤師が非常に良いアドバイスをしてくれるので、ぜひ薬剤師の評価を大きく付けていただきたい」など、病棟薬剤師の配置を評価することに賛成する意見が相次いだが、卒後1年目の薬剤師をカウントしないようクギを刺す意見もあった。
一方、専門看護師の配置などへの評価を求めている嶋森好子委員(慶應義塾大看護医療学部教授)は沈黙した。
委員の発言要旨は、以下の通り。